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GHOS朋也第八話

「ようやく見つけた……か」

天界の中でも地獄に近いとある場所。
全ての魂を管理するその場にて、管理責任者の地位を与えられた男が呟く。
ようやく、ようやく先日の逃走霊魂の反応を捉えることができた。
実は、その霊魂ではなくそれを追っていった天使の反応を追っていたら偶然にも近くにいただけであるが。

「それにしても、本当に気配が希薄だ。
 どうやら本当に気配遮断やジャミングのような能力を無意識下に使っているようだな」

天界から出た霊魂は、何らかの能力を得る。
それは、霊魂らしく何かに憑依したり、物を思念で動かしたり、自然発火、おまじない、その他不思議な現象の根源となる。
ポルターガイストとよばれる現象もまた、その霊魂の仕業である。
あまりにも強力な能力を得た霊魂は、その存在だけで人を殺し、そして呪いや怨念を残すので、真っ先に捕らえなければならない。
しかしながら、天界が全て管理を行えるというわけではなかった。
その管理しきれなかった霊魂が、この世の心霊現象や未だに迷宮入りとなっている事件を引き起こすのである。

その霊魂が逃げ出してから、最早数週間が経っている。
能力はおよそ無害なものだが、それが何を現世にもたらすかわからなかった。
そのためにも、彼は霊魂を捕らえ、なんとしても天界に戻さなければならない。

「しかし……これはこれは。
 なんという奇妙な運命……というやつかな?」

画面に映る家を見ながら、男、“K”は苦笑いを浮かべた。









GHOS朋也 第八話














お昼。
朋也は庭の整備をしていた。
縦に横に、360度立体機動をしながらぐるぐると忙しなく動き、木を整えていく。
その背に、某目つきの悪い兵長を幻視させるその動きは、まさしく超庭師。
某ヤンデレ武将にもこの庭師には手出しできまい。
ことみは花壇を整備している。
ハーフツインの髪をいつもの髪どめで結っているのも当然。
家に遊びに来たいつもの三人、杏、椋、渚が騒ぎながら菓子を食べるのも当然なのだ。
久しぶりに見た気がするが気のせいということにしていてほしい。
もう三年はみてない三人だが、そんなことはこちらの世界での話なので関係ない。

「でさぁ、あの先生の声電車にかき消されちゃって……」
「都会の学校は大変そうですね……」
「私はそこまで駅が近くないから電車の音はしないからなぁ……」

駅前の学校に通っているが故の悩み“先生の声が電車にかき消される”という愚痴を、杏が二人に投げかけている。
ことみは作業に夢中になっているのでぶっちゃけあまり声をかける意味があまりないのだ。
あまり邪魔しても悪いし、そもそも庭の整え方がわからないので彼女達は手伝いようがない。
それに、彼女が言うには、

『朋也くんと二人でやるのが楽しいの。
 ラブラブなの。だから、杏ちゃんも椋ちゃんも、渚ちゃんも朋也くんを取っちゃ、めーなの』

という食えたものではない惚気とけん制をぶちかましてきている。
ご馳走様。お菓子とのろけ話の両方でご馳走様。
ちなみに今彼女達がつまんでいるのはことみ特性マーブルクッキーである。
作った本人の分まで食い散らすようにむさぼっているのは杏だけなので椋渚ファンの皆様は安心してほしい。
杏については「いっぱい食べる君が好き」ということで。

「ふぅ……ひと段落だな……ことみ、片付いたぞ。
 そっちはどうだ?」
「お疲れ様、朋也くん。
 こっちも終わったの……あ、ちょっと待っててね」

そう言うと、ことみはとてとてと家の中に入っていき、次に出てきたときには白いタオルを手にしていた。

「はい、朋也くん。
 冷蔵庫に入れといたからひえひえなの」

待ってましたといわんばかりににこやかにタオルを渡すことみ。
本人曰く、一度やってみたかったらしい。
中学時代実は経験済みの朋也は苦笑いを浮かべる。

「空、上からはどう?」
「多分大丈夫だと思いますよ。
 とっても綺麗ですから。
 ことみ様、ハイ、写真」
「そう、それならよかったの。
 ありがとう空」

うんうんと頷きながら、朋也はタオルを肩にかける。
透けた身体に白いタオルと、ともすれば死装束を思わせるコントラスト(?)ではあるが、その姿はまさしく労働者のそれである。
ちなみに今日は彼の仕事はおやすみだ。ご都合主義とはいいものだなァ!(ヤザン感)

「どれどれ……おお、良く撮れてるじゃない!」
「うわぁ……とっても綺麗です!」
「さすがは岡崎くんですね」
「ま、それほどでもある」
「うわ、何調子乗ってんのアンタ」
「ひどくねーか?」

ことみの肩ごしに写真を覗く元演劇部(仮)三人娘。
もちろん調子に乗った朋也にツッコミを入れるのも忘れない杏。
実に絶好調であった。

「でも、どうして上からの写真なんて撮ったんですか?
 縁側のところからとればいいと思うんですけど……」

写真は、結構な上空からの撮影である。
撮影班は、堕天使“空”。
庭は見事に整えられており、上空からもその出来栄えは確認できた。
が、写真として撮るためにはどっちかというと近くで撮ったほうが良いのではないかと思うのだが……。
天才、一ノ瀬ことみは首を振る。

「お父さんとお母さんに、見て欲しいから。
 朋也くんと、空と、私とで頑張って作ったお庭。
 ちょっと前はボロボロで、みてられないくらいだったけど……朋也くんがなおしてくれて、朋也くんがお世話してくれたこのお庭を、お父さんと、お母さんに見て欲しいなって思って」
「ほうほう、なるほど?
 それで上空からの見栄えを気にしていたと」
「なんだか、素敵なお話です」
「泣いでもいいでずがっ」
「渚ちゃん、もう泣いてるよ……?」

自分、涙いいっスか?といわんばかりの泣きの速さに一同が戦慄する。
なんともまぁ速いその涙は「なにやってるのよ」といいつつ手元のハンカチで目を拭ってやる杏の行動によって床をぬらさずにすんだ。
流石は保育士志望である。

「で、どうだことみ。
 これで大丈夫そうか?」
「うん、きっと大丈夫なの」

ことみはうれしそうに笑うと、朋也の腕に抱きついた。
たわわに実った胸部が腕に押し付けられて歪むが、朋也は意にも介さず、いや、少しばかりそっぽを向いているので恐らく恥らって入るようだ。

「お父さんとお母さん、喜んでくれるかなぁ」

そういってふわりと笑った瞬間、生垣の裏から何かが聞こえてきた。

お、おぉぉぉおぉ…………!

「……うめき声?
……ことみ、ちょっと待ってろ」
「……うん、気をつけてね」

朋也はそれをいち早く察知すると、ことみをそこに留め、生垣に顔を突っ込んだ。
幽体だからこそできる行為である。
奇妙に思った杏はかばんに入れていた辞書を構えた。
空は高枝切バサミを構えたが、危ないということで椋渚の両名に回収された。

「……ことみ、ちょっと来てみ」
「……?」

朋也に呼ばれて恐る恐る近付いていく。
そして、生垣の隙間からちらりと外を見ると、そこには一人の男性が立っていた。

「ぐ、うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん……!!」
「え……?
 誰……?」

号泣していた。
というか、涙を滝のように流していた。
いつの間にやらことみの後ろにいた杏がその疑問をそのままに口から発す。
その問いに答えたのは、本人ではなく、朋也とことみであった。

『(ことみの)お父さん……?』
『は?』

静けさの中に、彼の泣き声だけが響いていた。
































無事に(?)急展開にすることができました。
お久しぶりですめたるみーと。です。
本当に久しぶりのSS投下です。
ハーメルンも連載、なろうも連載、ブログで連載……自分でまいた種を今すぐに摘み取らなきゃいけないんです。
さながらその姿はことみルートラスト手前の朋也が雑草刈りをしている姿に酷似していなくもないようないないような気がするかもしれない可能性が微粒子レベルで存在してそうなアトモスフィアかもし出していたりしたりしてるみたいな感じですよね?
自分で撒いた種を今すぐにリリースしてギガプラスーぺロンファティタニアルするんでもう少し時間をください。
がんばります。
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GHOS朋也第七話

空の朝は早い。
元、天使の彼……いや彼女?
とにかく性別は不明な元天使の朝はそれなりに早いのだ。
空の寝床は、ことみ、朋也の寝る場所とは違う。
それは、やはりあの二人の邪魔をしないようにということ。
そしてさらに、空自身が分けてほしいと言ったわけが、今、二人の部屋にあった。
寝床として充てられたリビングの一角に敷いた布団からのそのそと出ると、あくびを一つ。

「ふぁ……あぁ……」

頭を掻くと、立ち上がり、背伸び。
そのまま洗面所へ。
顔を洗うと、ゆっくり階段を上がる。
勿論、二人を起こすためである。
いつもならば、ことみが、朋也が。
さっさと起き、そして朝食を作る。
しかしたったひとつだけ例外の日が存在する。

「あー……ザーザー降ってますね……」

雨。
ということはもちろん電気工の朋也の仕事は休みである。
つまり、かなり気まずい状況がこの家に続くことを示す。速い話が今日は彼らのいちゃつきday。
悩んでいても始まらないので、空は朋也とことみの部屋のドアをたたいた。

「朝ですよー……」

ガチャリとドアを開ける。
目の前に、仲睦まじく寝ている二人の男女。
朋也は普通に仰向けで寝ているものの、ことみは違う。
朋也の体に頭をあずけ、寄り添って、ひっついて寝ていた。
明らかにいちゃつくカップルである。
だが、大分熟年夫婦のような雰囲気まで醸し出している。
長年連れ添った夫婦の様な、新婚ほやほやの夫婦の様な、高校生のカップルの様な、仲良しの兄妹のような。
どうにも微笑ましい気分になってしまったり、殺意が芽生えたり。
嫉妬心とともに庇護欲がわいてくる?
なんというか、わからない感情を抱かせるこの光景は、この家では毎晩見ることができる。
このツアー、彼らが就寝してる時のみ開催。
お値段なんと20万!お安い!

「誰がいくんや!」

私がいく。
メタな地の文と地の文への突っ込みはさておき、普通に起こさないと飯にありつけない空。
ことみの肩をつかんで強引に揺らす。

「ことみ様ー?
 おきてくださいよー」
「むぅ……」

僅かにことみが目を開ける。
おっ、と期待に目を輝かせる空。
さらに揺らす。

「ことみ様ー。
 ごはんにしましょーよー」
「う、ん……朝……ごはんー……?」
「うんうん、朝ごはんにしましょ?」

もうちょっとである。
頼むから起きてくれ。なんとしても、なんとしても起きて俺に飯を作ってくれ。
そんなどこかの実況じみた脳内音声が響き渡る中、空はことみを起こすことに必死になっていた。
あともう少しで起きてくれるというとき。

「ん……」
「ふぁ……ん……」

腕がことみを抱いた。
その腕は、もちろんお隣の幽霊、岡崎朋也である。
無意識なのか、それとも意図的にか。
霊体である朋也の身体は、なにやら霊的な現象からなのかずいぶんとひんやりしている。
おかげで夏でもとっても快適な眠りをお届けすることができる。
その霊特有(?)の現象は、二人で一緒に寝るのにとても適していて、ことみはこのちょっとひんやりした朋也の腕で眠るが好きだった。

「ともや……く……」
「ことみ……」

寝言ですら互いを呼び合う。
空はげんなりした。そして、完全に寝てしまったことみを見て、今日の朝ごはんは冷や飯だなぁと冷蔵庫に向かうのだった。




























GHOS朋也 第七話














結局、その後に二人が起きたのは約二時間後であった。
当然のごとく空の朝飯は冷蔵庫の冷ご飯になるとおもいきや、そういえば冷ご飯は冷蔵庫の中だったと思い立つ。
一応隷属したとは言え、ここは他人の家。冷蔵庫を勝手に開けるのは心苦しく、結局のところぼーっとテレビを見て空腹を紛らわせていた。

「ごめんね、空。
 今ご飯作るから許してほしいの」
「別にいいですよー。
 JIP!面白かったし」
「あぁ、あのオリーブオイルめっちゃ使うイケメンか」

とめどない雑談をしつつ、ことみは簡単な料理作っていく。
朋也はお湯を沸かし、コーヒーを入れている。
空はこれでも食ってろと朋也に渡されたうなぎパイを食べている。

「さくさくおいしい!」
「俺の好物だ。
 味わって食えよ」

春原も大好き!うなぎパイ!(なお、信じるか信じないかはあなた次第です)

「さて、今日は休みだが……何をするかね」
「わたしも大学はお休みなの。
 はい、空。ごはんなの」
「わーい!
 何やってるんですか朋也さん!新聞読んでないで早く!はりーあっぷ!」

空に急かされ、朋也は新聞を折りたたみ、空と一緒にことみのもとへ歩み寄る。
食器と料理を持つと、二人でテーブルに持っていく。
空の身長が150ギリギリということもあり、その光景はなかなかどうして親子のようであった。
それにしては父親が若すぎるが。

「きょうのごはんは、オムレツと、白ごはんと、海老のシーザーサラダなの。
 時間がないから簡単に作ったけど、これでもいい?」
「文句なし!さ、食べましょー!」

毎回毎回食事のたびに馬鹿みたいに騒ぐ空。
そこまでのほどかと思いつつも、朋也も椅子に座りなおした。

「いただきましょう」
『いただきます』
「めしあがれ」

この流れ、必須である。










































「ごちそうさま、うまかった」
「ごちそうさまでーす!」
「おそまつさま。
 食器持ってきてほしいの」

はーい。そう空が答える。
朋也は休みだからと、部屋に掃除機をかけている。
空はまとめて食器をことみのいるキッチンへと運んだ。

「ありがとう。
 全部置いといて?」
「はーい。
 ことみ様手伝うことありますか?」

朋也が掃除機をかけている今、何とかして用事を見つけ、二人から離れなければあの桃色空間に囚われてしまう。
それだけはなんとしても避けなければならない。

「じゃあ、おつかいお願いできる?
 メモ書くからそれに書いてあるやつをお願い」
「はいはい!
 (よし、これでとりあえず砂糖を吐瀉することを回避出来る)」

傘をさし、ウキウキ気分で空は買い物にいった。
目的は、隣町のホームセンターである。
庭の整備をするための道具の買い足し。
空は、隣町まで歩いていくことを決めると、さっさか足を進めたのだった。










































「朋也くん、お茶なの」
「おう、ありがとう」

しとしとと降り注ぐ雨の中、朋也はカッパを着て庭の整備をしていた。
整備といっても、木の枝を軽く整えるだけで、とくに難しいことはなかった。
カッパを脱ぎ、窓から家に入って、恋人の入れた茶をすすりながら、朋也は空を見上げた。
相変わらずの雨模様。その天気は、ふたりにとってはとてもいい天気だ。

「ごめんな、ことみ。
 晴れの日に休み取れたら、もっといろんなところに遊びに行けたのに」
「ううん、いいの。
 私も大学があるし、予定を合わせるのもちょっと大変だから、時々こうして朋也くんとゆっくりできるととっても幸せ」

そう言ってことみはふわりと笑う。
本当に嬉しそうな笑みをみせることみに、朋也もつられて笑う。

「そういえば、空は?」
「お買い物に行ったの。
 多分、気を使ってくれた……のかも……」

照れくさそうに笑うことみの頭を、朋也はやさしく撫でた。
それをことみは心地よさそうに受け入れる。

「よし、じゃあ今日は何をするか……」
「どうしよっか」

二人で首をかしげた。
ゆっくりと考え込んだ末に、ことみは朋也を押し倒した。

「お、おい?」
「別にえっちなことするわけじゃないの。
 ただのおひるね……だよ?」

ことみは胸に顔をうずめて、赤面した顔を隠しながら言った。
朋也は苦笑いをすると、ゆっくりとことみの髪の毛を梳いた。
さらさらと黒髪が朋也の手のひらを流れて落ちていく。
とても柔らかく、触り心地のいい上質な布のような手触り。
後頭部をぽんぽんとやさしく叩く。

「昼飯まで、な」
「うん」

そう言ってもう一度眠りに就いた。






































「あー……このおふたりは……」

帰宅した空が見つけたものは、寄り添って眠る二人。
穏やかに眠る本日二度目のふたりの寝顔に、空は苦笑いすると、二回からタオルケットを一枚持ってきて、二人にかけた。

「イチャつくの見せられるよりはマシですけどね」

























頑張っていちゃつかせようとしましたが、もう限界でした。
次回、急展開(急展開とは言ってない)

ただただぎゅっとされる話

夏。
そう、夏だ。
今年もくそ暑いこの季節がやってきた。

「うだるような暑さに、どうやら春原の真の姿が「真の姿は今眼前にあるこれだよっ!?」え、ちがうだろ。
 だって妖怪だし」
「ちがうわっ!!」

目をくわっと開いてツッコミを入れる目の前の妖怪。
金髪で、およそ人とは思えない外見をしている」

「人だよっ!?」
「え、マジで?」
「なんで意外そうな顔してるんですかねぇ!?」

ま、冗談はさておいて。
今年もまたこの季節がやってきてしまった。
演劇部は惜しくも部活とはならず、しかし、古河には少しばかりの友人ができた。
藤林姉妹は日々女子で楽しく過ごしながら夢に向かって邁進している。
俺はといえば、この妖怪春原と毎日バカをやる日々である。
いや、一応やることはあるといえばあるのだが。

「で、今日は放課後どうする?
 ボク、金ないよ」
「俺だってないよ。
 こないだ使っちまった」
「あの鬼が僕の金をカンパと称して巻き上げたせいさ……畜生……」

涙を目元に浮かべて、講義の目線をこちらに向けてくる。
俺に向けられても困る。

「第一、お前は了承しただろ。
 可愛い女の子の手料理が食べられるからカンパしろって言ったら、お前、いの一番に飛びついたじゃないか」
「うっ……それは……!
 ま、まぁ美味しかったからい、いいかなーっ……はははっ」

睨みつけると、目を泳がせる。
俺にビビってどうするんだコイツは。

「で、ほんとに今日どうするの?」
「残念だが、パス。
 今日は金曜日だって。
 お前、曜日感覚ないのな」
「あ、ほんとだ。
 っていうか岡崎、お前がうちのカレンダーゴキブリ叩くのに使ったからだろ!?
 なんでわざわざ画鋲で貼り付けてあるのを使うんだよ!あんときお前、手にちょうどいい雑誌持ってただろうが!!」
「まだ読み途中だったし」
「随分自分勝手な理由っすね!
 しかもそのあと、画鋲なくしてそのままにしただろ!
 床にそのまま落ちてて、危うく足に穴が開くところだったじゃないかよ!!」
「大丈夫大丈夫」
「…………」
「…………」
「何もないのかよっ!」

逆にコイツは何かあるとでも思ったのだろうか。

「とにかく、俺は今日はいけない。
 いつものだよ」
「へっ!
 彼女持ちはいいね~。
 どうせ、家でもイチャイチャしてんだろ?」

何やら意味ありげな表情で聞いてくるが、別にどうということはない。
普通のことだ。

「当然だ。
 お前では考えつかないことをたくさんしてる」
「マジ!?」
「おっと、そろそろ行かないと。
 じゃ、俺は愛しの彼女のもとへと行くとするか」

すっと立ち上がり、そのまま教室を出る。
後ろからは、春原の叫び声が聞こえる。
そんなに悔しがるなら聞かなきゃいいのに……そう思わざるを得ない。






































「あ、朋也くん、こんにちは」
「あぁ」

待ち合わせ場所はいつもの図書室前。
一ノ瀬ことみ。俺の彼女だ。
学校に一緒に登校したり、昼飯を一緒にとったりはしているが、下校は、一日おきだ。
なぜかというと、ことみにもことみの交友関係があるからだ。
月曜日は俺。火曜日は古河と藤林姉妹。水曜日俺。木曜日クラスの友達。金曜日俺。
ちなみに火曜日のやつは俺と一緒に帰るときに混ざってくるときがある。
ことみが楽しそうだから別にいいけど、ちょっとくらい気を使ってくれても……まぁ、気を使ってくれている方なのだろう。

「今日も暑いの~……」
「そうだな……水分、取ってるか?」
「うん、問題ないの」

はい。と、渡されたのは水筒。
なるほど、どうやらこれで水分補給を行っていたらしい。
はいとくれたからには、くれるのだろうか。

「ん、サンキュ」

そういうと、ごくごくと飲む。中身は麦茶のようだ。
氷は結構溶けていて、小さい氷が少し口に流れ込んでくる。
キンキンに冷えた麦茶が、喉を潤す。

「ふぅ、うまい」
「あ、あ……」

ふと見ると、急激に顔を赤らめて停止する恋人の姿。
どうしたのだろうと手元を見てみると、そういえば半分くらい量が減っていたことを思い出す。
つまり、これはことみが飲んだあとの水筒だということだ。

「ははは……ことみ、間接キスなんて、今更だろ?」
「……むー!」

そう笑って言うと、柔らかそうなほっぺたを膨らませてこちらを睨んでくる。

「そんなに睨んでも可愛いだけだ」
「っ!」

ぽかぽかとパンチが飛んでくる。
真っ赤な顔はそのまま、可愛らしいパンチである。

「ふははは、きかん」
「む、ならこれなの」

急にパンチを辞めると、今度は急に抱きついてくる。
ぎゅっと、力を込めて俺の体を抱きしめる。
その豊満な胸がむにゅりと形を変えて押し付けられる。
この技は、鋼鉄ことみちゃんのことみブリーカーか。

「おいおい、暑いぞことみ」
「知らない」
「はぁ……まったく」

仕方ないと、抱きついてくる彼女を抱きしめ返す。
「ふぇ」と、声が上がるが、この際無視。

「と、朋也くん。
 暑いよ……?」
「あぁ、暑いな。
 でも、ことみに抱きついていられるなら、この暑さもアクセントだ。
 嫌いじゃない、むしろ好きだよ」

汗の匂い嗅げるし。というと、まるで顔から火が出るみたいに顔を赤らめる。
何回赤らめるのやら。

「か、かいじゃだめ……」
「だめか?」
「……その、変なにおいだと、思うから……!」
「全然そんなことない。
 むしろ、すごくいい匂いで、落ち着く」

図書室の前でいちゃつくバカップル。
なんとはた迷惑な存在だろうか。
でも、なんでか止まらない。ぎゅっと抱きしめる。

「あの、朋也く……」
「何?」
「あ……その……」

なんだ?と、抱きしめながら、聞く。
すると、ことみは俺の体をさらに力を込めて抱きしめて、顔を俺の体に埋めた。

「……わたしも、朋也くんの匂い……好き」
「……なんか、恥ずかしいな」

結局、帰路に着いたのは午後六時。
翌日、昨日の俺たちの行動を杏に散々からかわれたことみが、俺に泣きついてきたのがとても可愛かったと言っておく。



















































暑さで錯乱して書きました。
ことみちゃんの汗の匂いを今すぐに用意しな。
エンドレスサマーにしてやるぜ(錯乱)

HAPPY birthday!

誕生日おめでとうことみ!





















「ん……」

日の光がカーテンの隙間から差し込む。
美しく、あどけない顔をした黒髪の少女。
一ノ瀬ことみは小さく伸びをすると、普段はハーフツインテールに縛っている髪を揺らしながら、自分の服の入ったクローゼットへと向かった。

「……着替え……」

いつもの大学用の私服を着ようと、寝ぼけ眼のままにパジャマのボタンをはずし始めた。
可愛らしい薄いピンクのレースがついたブラジャーがみえようとした瞬間。









「はいちょっと待て!」
「ふぇ?」

恋人の手によってその胸元は隠された。



















「毎回言ってるだろ?
 朝起きたら俺を起こせって」

また見ないとも限らんぞ。
そう言ってため息をつく青年。
少しばかり青みがかった黒髪と、つり上がった目に端正な顔立ち。
彼女の恋人である岡崎朋也である。
現在彼等は同棲中であり、ご近所でも美男美女のお似合いカップルとして有名であった。

「別に朋也くんならいいのに」
「はい、その話は夜にしてくれ。
 止まらんぞ」

むう、と少し頬を膨らませることみ。
その様子を見て、朋也は少しだけ笑って言う。

「おはよう、そして誕生日おめでとうことみ」
「……おはよう、それとありがとうなの」


























『いただきます』

二人の声が重なる。
今日の朝食はサラダとトースト、そして焼き魚である。
焼き魚は何故かというと、それはあったからというより他になかった。
サラダとトーストだけでは足りない朋也が何か一品付け足したかったが故の和洋合体である。
ししゃもであるのはことみの好物だからだ。
酒を嗜むようになってからのことみの好物で、中でも子持ちが彼女にどストライク。
二人のつまみとして大変な大活躍をしてくれている。

「今日は学校か?」

朝はブラックコーヒーかと思いきやミルクだけは入れる朋也が、マグカップを持ちながらそう聞いた。
流石に朝から酒は飲まない。
そこまで酒好きではなかった。

「うん。
 でもね、今日は午前中だけなの」

朝はゆったりと紅茶派なことみは、幸せそうにふんわり笑う。
どこまでも純粋なその表情を見て、一層その笑みを深める朋也。
そんな朋也を見て、幸せな気分になることみ。
やはりバカップルの素養が十二分に備わっているようだ。

「それじゃあ今日は俺休みだから、家で料理作って待ってるからな」

ふと外を見ると、そこは雨。
電気工は雨の日は休みである。
前にも休みだったことがあったので間違いはなかった。

「……ふふ」
「?
 どうかしたか、ことみ?」
「ううん、なんでもないの」

朋也くんがおやすみ……空もお祝いしてくれてるみたいなの。

「……その割に、ちょっと外は暗いけど」
「何か言ったか?」
「ううん、なんでもないの。
 そうだ朋也くん、わたし、今日学校に行かないで朋也くんと居ることに決めたの」
「はい?」


















おとうさん、おかあさん。
ことみは元気です。

「よし、じゃあアイツ等呼んでパーティーだな」
「いっぱいお料理つくらなくちゃ」
「作りすぎるなよ?」
「ええと……てへ?」
「誤魔化すな天才」

朋也くんは本当にいつもわたしといてくれます。
ずっと一緒だったら凄くいいなぁと思います。

「夫婦の共同作業なの」
「まだ夫婦じゃないだろ?
 ……いつかな、ことみ」
「うんっ。
 待ってるの」

新しくお友達もたくさんできました。
その子達といると、とっても楽しいです。
楽しくて楽しくて、時間を忘れる位。

「ことみ~!ともや~!きたわよ~!」
「お邪魔します~」
「ことみちゃん、誕生日おめでとうございます」
「皆いらっしゃいませなの。
 いっぱいつくったからいっぱい食べてね?」
「作りすぎだ……」

おとうさん、おかあさん。
ことみは今幸せです。

「それでは一曲……」
『ストォォォォォップ!!!!』

ギュオオオオオオオ!!!!!































「誕生日プレゼント、気に入ってもらえたかな、水恵」

「まったく、朋也くんが困っちゃうわよ?」

「いや、でもいい案だっただろ?」

「雨を降らして、お仕事が増えたらどうするんですか?」

「ことみの恋人なんだからこれくらいしてくれなくちゃな」

「ことみも学校をサボるなんて……今回だけなんですからね」

「ほら、楽しそうだよ水恵。
 僕達の贈ったくまのぬいぐるみも一緒だ」

「見えてますよ、あなた。
 ……大きくなったのね」

「そうだ、せーので言ってみようか」

「えぇ、いいわよ」

「せーの」

『お誕生日、おめでとう。
 可愛いことみ』















-------ありがとうっ。














「朋也くんちゅー♪」
「あぁ、もう酔っ払いめ!
 んっ……満足か?」
「うんっ♪」




































言い訳をさせてくれないか。
まず、この小説はGHOS朋也とは関係ありません。
ことみの誕生日を祝う為に速攻書き下ろした作品ですので出来は期待しないで下さい。

以上でした。
ことみ誕生日おめでとう!

GHOS朋也 第六話

「粗茶なの」
「おかまいなく」
「ありがとう、ことみちゃん」

ことんと三人の前に湯飲みを置くことみ。
風子はこきゅこきゅと可愛らしい音を立てながら茶を飲み干して行く。

「むっ、これはお茶ではありません!」
「あ、風子ちゃんにはお茶じゃなくてりんごジュースなの。
 果汁100%なの」

きっと苦いと飲めないと思ったからと、ことみは誇らしげに胸を張る。

「むー……一ノ瀬さんっ!
 風子はもう大人なのです!」

だから大丈夫です!とことみとは対照的に薄い胸を張る。

「何か馬鹿にされた気がするのです」

気のせいです。

「うーん……わかったの。
 じゃあ、今入れるからジュース飲んで待っててね?」
「分かりましたっ!」

そういって風子は嬉しそうにジュースをこくこくと飲み始める。
その光景を微笑みながら見守ると、芳野は件の彼らに向き直った。

「で、そいつが天使とやらか」
「お初です。
 今は空と名乗ってますのでそちらで」

あと、今は堕天してるんで。と付け加えると、コップに自分でサイダーをつぎ、半分ばかり飲む。
実は今彼の大好物は炭酸飲料である。

「で、すけっすけのお前が岡崎か……」
「えぇ、そうですね」

芳野は斜め上に視線を向けると、空中で正座している自分の後輩(幽体)を見た。
何故正座なのか、何故空中に居るのか、そして何故幽霊の分際でお茶を飲んでいるのか。
疑問はいくつか沸いたが、とりあえず一言。

「浮いてないで座ったらどうだ?
 話しづらい」
「あ、すいません」

高度を下げ、椅子を引いて着席する。

「(……椅子は引けるらしいな)」

しばらく考え込む芳野。
そしてさらに少しの間黙ると更に一言。



































「愛だな」























GHOS朋也 第六話


























「世界を、生と死をも超え、愛する人の傍に。
 これが愛で無くて何が愛か……」

あぁ、いつもの芳野さんだ。
つい懐かしんでしまった朋也。

「あの、この人何言ってるんですか?」

ソラが朋也に問う。

「あれだよ、この人自称愛の伝道師だから」

そういうと、朋也は机にある湯飲みを取る。
ことみの入れたお茶をすすり、「うまい」と一言。
そしていつのまにか傍に居たことみの頭をなでる。

「ってことみ様いつのまに!?」
「えへへ……じゃ、風子ちゃんのお茶とってくるの」
「あぁ、行っておいで」

いつの間に朋也の横に居たのか。
そして何故その接近を朋也が気付いていたのか。
とりあえず、“愛”故にと言っておこう。

「それこそが……愛っ!!」

あ、帰って来た。














































で、結果から言うと。

「いやぁ、よかったねぇ岡崎君。
 僕の方も色々助かるよ」
「いえ、本当にこちらも無理を言ってしまいまして……また、頑張らせていただきます。
 よろしくお願いします」

朋也は復帰できた。
















































「朋也くん、みんなに受け入れてもらえてよかった」
(なんでこの街の人ってこんななんだろう)

ソラは、主を背負いながら首をかしげた。


























あれだけ時間かけたのに短くてすいません。
もっといい感じに書けるようにならんかねぇ……。
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アニメやゲームのキャラを自分の子供に勝手に認定するめたるみーと。(フリーター)です。
嫁?なにそれおいしいの?

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