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東京密林


買ってしまいましたトーキョージャンゴー。
今からプレイします。
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ルーンファクトリー4

ルーンファクトリー4が少し前に発売されました。
3DS無いわ負けた。
欲しい……欲しいよぉ……。

さて、夏休みだ

夏休みが始まりました。

社会人の皆様は熱中症等にご注意ください。
学生の皆様は宿題を忘れないでください。

私?
私はいいんです。
小説書くんで!
げっへっへ・・・携帯でも書いちゃうぜぇ・・・どこだろうとかいちゃうぜぇ・・・!

十一話 杖にと狩人の魂に

トリステイン学院の一室に全教師が集められた。
その中の人間は皆一様に渋い顔をしている。
教師のそんな姿を見ながら、部屋の隅に座り込んでいるサイトは面白そうに見ていた。

「宿直の方は何をしていらっしゃったのか……まったく理解に苦しみますな」

とある教師が、シュヴルーズを横目で見ながらそう言い放つ。
シュヴルーズは俯いてしまった。


なぜこのような集まりがあったのかと言うと、昨日貴族専門泥棒である“土くれ”のフーケが現われ、学院に伝わる秘宝“破壊の杖”を奪い、逃走したのである。
優れた実力を持つ教師の目を掻い潜り、スクウェアクラスの固定かをも突破し、秘宝を奪った。
当然、責任は教師が持つことになる。
故に彼らは責任の擦り合いをしているのだ。
だが、そんなことをしている場合ではないと、オスマンが騒ぎを治めると、コルベールに尋ねた。

「で、犯行の現場を見ていたのは誰だね?」
「この三人です」

コルベールがそう言って、後ろに控えているキュルケ達を差した。
サイトは部屋の隅で胡坐をかいており、その横にはルイズが壁に寄りかかっていた。
平民で使い魔のためかサイトは数には入れなかったようだ。

「ふむ、君たちか…詳しく説明してくれるかね?」
「はい」


キュルケが一歩前に出る。
その真っ赤な髪を揺らしながら、昨日の事態を事細かに説明した。





わかりやすいかいせつ

キュルケ&タバサ学院に到達と同時にゴーレムと戦闘開始

再生とかマジ卑怯

サイト&ルイズ到着

こんなのハンターじゃねぇ!

「マ○ドゥ先生の作ったB○よ!」

以上



「ふむ、なるほどの。
 わかった、諸君らの勇気、非常に誇らしく思う」

オスマンはそう労うと、教師諸君に向けて声をかける。

「さて、諸君。
 生徒達は勇気と貴族の誇りを持って盗賊に立ち向かった。
 今度は……我々の番ではないのか?」
「しかし、オールド・オスマン!
 相手はもしかしたらスクウェアかもしれんのです!
 それも歴戦の!彼女たちが生き残ったのも、奇跡としか言いようが無い!」

そう言うと、教師たちは皆眼を背ける。
怖いのだ。それは誰だって死にたくは無い。
そんなとき、ドアが開いた。


「おや、ミス・ロングビル。
 探していたぞ、今の今まで一体どこにおったのじゃ」

今まで不在だった秘書のミス・ロングビルが、興奮した様子で現れた。

「盗賊フーケの足取りを、追っていました」
「なんと!?」

教師は皆驚いた表情でロングビルを見つめる。
何でも、逃走中のフーケを見たという農民がいたらしく、そのことについて詳しく調査したところ、森の近くの廃屋に黒いローブを羽織った人間が入っていったという情報を掴んで来たようだ。

「その森までは、馬車で数刻程行ったところじゃな……。
 最早、一国の猶予もならん!生徒でさえ戦った相手に、何をおびえているのじゃ皆の衆!」

オスマンはフーケを捜索する者達を募り出したが、案の定誰も名乗りを上げない。
王室へ報告しよう、という案も出た。しかし、それをしている間にフーケは逃げてしまうだろうということ、侵入された魔法学院の沽券にも関わるということで却下された。
そんな議論をよそに、腹を抱えている男が一人。

「ど、どうしたのサイト。
 お腹痛いの?」

そう、サイトだ。
やがて体を震わせると、サイトは一気に吹き出した。

「ひっひひひひひひひひひーひゃはははははっ!!!!!
 ……あー、笑った笑った。
 ぷっ、いや、すんません!
 あのね、あまりにその……ね?
 あれだったもんで、ぷっ」

いまだ笑いが収まらないらしく、口を押さえながら床に置いたデルフリンガーを腰のベルトに鞘ごと差込む。
そして、右手をあげて言い放つ。





「俺が行く。
 俺が、そのフーケって野郎をとっちめればいいんだろ?」





教師は驚愕する。
平民が、しかも使い魔が。
主を差し置いて賊を退治するといったのだ。
少し、困惑の中にあったルイズも、杖を掲げた。

「ミス・ヴァリエール!
 何をしているのです?」
「誰も掲げないじゃないですか!」

ルイズがキッとなって叫んだ。
確かにそうだ、皆、『誰かがなんとかしてくれる、だから自分はやらなくていい』そんな安堵と不安の入り交じった表情をして、サイトとルイズを見ていた。
だからルイズが杖を上げても、一斉に反対したりせずにガヤガヤと話し込むだけ。

「そこらへんの偉そうにしてる貴族様達は?
 行かないんだよな?だって、誰もあげねーし。
 だったら俺とルイズでいいだろ?
 なあ、じいさん」

オスマンに同意を求めるような視線を送る。
しかし、今度はキュルケとタバサが杖をあげ始めた。

「ヴァリエールには……負けられませんわ」

が、その視線は何故かサイトに向いている。
タバサの視線も前を向いているようで、ちらちらとサイトへ向いていた。

「心配……」

オスマンはその四人を見据えると、少し考え込み、そして笑う。

「そうか、では頼むとしよう。
 くれぐれも、くれぐれも注意してくれ。
 君たちを失いたくは無いのでな」
「本気ですかオールド・オスマン!!
 この子達は生徒ですぞ!」

コルベールが心底心配そうな表情でオスマンに問い詰める。
が、オスマンは涼しい顔その問い詰めを回避し、言った。

「彼女たちは敵を見ている。
 ミスタ・コルベール。君が思うほどに、生徒達は弱くないじゃろう」

オスマンはタバサを見つめてこう言う。

「ミス・タバサは若くしてシュヴァリエの称号を持つ騎士だと聞いておる。
 実力もお墨付きじゃろうて」
「えっ? 本当なのタバサ!」
「……一応……」

キュルケやルイズはおろか、教師たちですらその言葉に、驚愕していた。
本人は一応と言ってはいるが、『シュヴァリエ』の称号は純粋に行なった偉業の数によって与えられる、いわば実力の証明でもあるのだ。
最下級とはいえ、それをこんな年端も行かぬ少女が持っているのだから、周囲は驚きを隠せず、ただただ少女を見つめるだけだった。

「そして、ミス・ツェルプストーは、ゲルマニアの優秀な軍人を数多く輩出した家系の出で、彼女自身の炎の魔法も、かなり強力と聞いているが?」

次いでそう言うオスマンの言葉に、キュルケはまったくの無関心でサイトを睨んでいる。
当の本人はまったく気にしていないようだが。

しかし、オスマンの言葉が詰まった。
褒めることが見当たらない。ルイズは座学は優秀だったが、実習となると点でだめだったからである。
しばらく心の中でう~んと唸りながら、言葉を探り探りにして選ぶように言った。

「ミス・ヴァリエールは……その、数々の優秀なメイジを輩出したヴァリエール公爵家の息女で、うむ、なんだ……少々あれだが、爆発の威力は測りしれん」
「なんがか褒められた気がしないわ」

ルイズはぼそっと呟く。

「そして、その使い魔は。
 平民ながらあのグラモン元帥の息子である、ギーシュ・ド・グラモンと決闘し、そして傷ひとつ追うことなく勝利したという噂だが」

実はこれは結構有名なので大して驚きは起こらなかった。
サイトにしてみれば、退屈が無くなればどうでもいいのだが。

「そんな彼らじゃ。
 きっとやってくれるじゃろうて」

オスマンは思う。
ギーシュとの決闘、あの時の身のこなし、そして謎の剣。
決してフーケ相手にも遅れをとったりしないだろう。
彼があの伝説のガンダールウなら――。
隣でコルベール、彼女らに心配そうな眼差しで何か言いたそうなのを目で制して、改めてオスマンは四人を見据える。

「魔法学院は、諸君らの努力と貴族の義務に期待する」

それに応えるように、三人は直立し、「杖にかけて!」と唱和してスカートの裾をつまみ、恭しく礼をした。
それがよくわからなかったサイトは、デルフを掲げ、こう呟く。







「狩人(ハンター)の魂にかけて……面白くしてくれよ?」




こうして、サイト達は、フーケ搜索のため目的の廃屋へと出発することとなった。

続きを読む

恋姫に色んな人を放り込んだところ何だかおかしなことになりました。

原作しらない
暇つぶし作品以外の何物でもない。

いつかこの作品でチート描くんだ!

破界の王

射殺せ

赤鬼

祖龍の鎌

切り裂き美容師

『矢』

もっと俺を楽しませろ

農奴が来る!

伝説の左腕

爆風の焔獣

蘇りしは

赤鬼

楽進の日課。
ただ、修行である。
身体の傷は、修行6:戦4といった割合だ。
だが、そんな彼女に新たな日課が出来た。

「いるか?」

とある洞窟の入口から、楽進は声をかける。
ここは、とある山の中腹にある洞窟である。
麓の村ではこの山は赤い鬼が出るとか、言われている。

「……楽進か……」

洞窟の奥に、一つの影があった。
その影は、洞窟の奥からゆっくりと入口に向かってきている。

「調子はどうだ?」
「あぁ、お前の親友のおかげだ」

洞窟から出て来たのは、まさに赤い鬼。
恐らく2mを超える巨体、全身赤い肌。
そして、両腕には鋼の拳。
楽進は鬼に駆け寄ると、その肩に飛び乗った。

「こら、降りろ楽進」
「いいじゃないかテイガー。ほら、今日も持って来てやったぞ」

そう言いながら、楽進は自分がテイガーと呼んだ鬼に竹で出来た水筒を手渡した。

「あぁ、すまない。
 お前達には世話になり通しだな」
「気にするな。
 私も、鍛錬を手伝ってもらっているのだからな」

テイガーは巨大な手で器用に水筒の蓋を開けると、中に入った油をくいっと飲み干した。
その様子を、楽進はにこやかに見ている。

「うむ、お前の親友に礼を言っておいてくれ」
「大丈夫だ。
 アイツは未知のからくりをいじれるだけで十分礼になっていると言っていた」

そうか。とテイガーが返すと、拳が煙をあげて開き始める。
テイガーはその拳を見つめ、何事か呟いている。

彼は人間ではない。
かといって、鬼でもない。
彼の名は、TR-0009 アイアン=テイガー。
サイボーグと呼ばれる、機械人間なのだ。

楽進が彼と初めて会ったのは、とある雪の日。
山道をぶらぶらと歩き、修行に丁度いい場所を探していた中でのことだ。
少し開けた場所で、テイガーがつうしんきとやら(あとで教わったが、遠くに居る人間と話すことができるからくりなのだとか)をその巨大な手で器用につまみ、耳に当てながら首を振っていた。
楽進は思い出す。
この山には、鬼が出るという噂を。
体が勝手に動き出していた。

「はあっ!」
「むっ!?
 甘いっ!」

鬼……テイガーは楽進の蹴りをその拳で受け止めた。
そのまま楽進を掴むと、ぐるぐる回り始める。

「おおおぉぁぁあぁぁ!!!???」

楽進は遠心力で脳を揺さぶられ、思考能力を失った。
テイガーが叫ぶ。

「ジェネシック!」

その掛け声と共に、楽進は宙を舞う。

「エメラルド!」

テイガーもそれを追い、その巨体からは考えられない跳躍を見せる。

「テイガー……!」

宙に浮いた楽進を掴み取ると、急降下。
楽進は何がなにやらである。
だが、これだけはわかった。

「(不味い……!)」

楽進はほぼ無意識に気を全開にする。
腕力を上げ、抜け出そうといたのだろう。
が、時既に遅し。

「バスター!」

楽進は地に叩きつけられ、気を失った。









「ん……?」

楽進が目を開くと、空は煌々たる星々。
つまり夜だった。
視界の端に、焚き火が見えた。

「……!鬼は!?
 ってこれは……?」

彼女の体の下に敷かれていたのは器用に編まれた草の敷物。
恐らく、彼女の体を何者かが気遣ってしたのだろう。
地べたにそのまま寝かせるわけにはいかないという気遣いだ。

「誰がこんなものを……?」

楽進が首を傾げていると、後ろに気配を感じて振り返る。

「どうやら起きたようだな。
 具合はどうだ?」

先ほどの赤い鬼が熊を引きずっていた。









テイガーと楽進は互いに名乗り、ひとまず腹拵えにしようというテイガーの提案に楽進は乗った。
正直腹が減っていたのである。

「男料理ですまないが、我慢してくれ」

テイガーはどこから調達してきたかわからない大きな鍋に捌いた熊を入れ、そこらで見つけてきたという山菜を鍋に放り込み、火にかけた。

「さて、楽進……だったか。
 私をいきなり襲ったのは、何故だ?」

楽進はドキリとする。
今までの流れから、彼は見た目からは考えられない程とても紳士的で、鬼だと思って攻撃しましたとはとてもいい出せない。
かといって他に理由らしい理由が見当たらない。

「あー……うー……」
「……ふっ、まあいい。
 それよりも、鍋が出来た。
 食べてくれ」

話を切り、鍋をどこから調達してきたのかわからない陶器の皿に盛り付けて楽進に差し出した。
恐る恐る手を伸ばし、食べる。

「美味しい……」

テイガーは、その様子を見て微笑んだ。



































それからというもの、楽進とテイガーは友人になった。
テイガーは目的があり、それまでの付き合いだと笑っていたが。
共に修行し、飯を食べる。
テイガーもサイボーグであるため、メンテナンスが必要な時があった。
そんなときは楽進のからくりの好きな友人がメンテナンスを行った。
楽進が村を守るために賊退治にでかけたときは、テイガーが彼女を援護した。

そして、今。
旅立ちのときがやってきた。

「私は自らの主を探すために、旅に出る」
「……そうか、ならば私も行こう。
 恐らく沙和や真桜も行くのだろう?
 お前達がいなくなったら、ろくなメンテナンスも受けられず、私はここで錆び付いていくだけだからな」
「あぁ、最初からそう言うと思っていたさ」
「私は元の世界に戻るために」
「私は理想の主を見つけるために」
「……行くか、凪」
「あぁ、これからもよろしくなテイガー」






























BLAZBLUEより アイアン=テイガー

射殺せ

突然だが、黄巾党の軍三千は、逃げていた。
何故三千もの大軍が逃げなければならないのか。
相手が一万を超える大軍? 否
一騎当千の武将が百人? 否
彼等の敵はたったの一人。

白い羽織に、内側に黒い着物を着た銀髪の男。
だが、その姿をみた者は既にいない。
かなり遠くから、目がいい黄巾党の一人がその特徴を伝えた後、絶命したからだ。
何かが、彼の心臓を一突き。
それだけだった。
それだけ。

何が心臓を突いたのかわからないまま、彼に駆け寄った二人が頭を同時に何かに貫かれた。

そのまま、周囲に居たものが次々と絶命していく。
気が付けば、三千あった勇猛果敢な兵士達は、既に五百は死んでいた。
前線の兵が恐怖から逃走を始める。
後ろの方にいた兵士は、何がなんだかわからず、逃げてきた兵士ともつれ合い、大混乱になった。
次々と倒れる黄巾党の兵達。
兵に押し潰され、圧死する者も多数いた。

黄巾党の三千の大軍は、闘わずして千の被害を出し、退いていった。









黄巾党が狙いをつけていた村の入り口にて、一人の男が笑っていた。

「まさかこの程度で退いてくれるなんて思わんかったわ~」

ラッキーやな。そう呟くと、彼は短い刀を構えて言い放つ。
自らの刀の名を。









「------射殺せ、神槍」









今、さらにいくつかの命が散った。

















BLEACHより、市丸ギン


破界の王

「--------来たな。」

水関にて、一人の男が佇んでいた。
その眼前には、数万の兵。
董卓は今十常侍と共に悪政をはたらいている、そんな根も葉もない噂を口実にできた連合軍。

「こりゃあ、随分といるじゃねえか……奥のほうには小粒がちらほらと……。」

男は嘲笑する。
数万の兵だろうと何だろうと、彼は別段気にしない。
何故なら、数万等彼にとっては虫に等しいからだ。

馬に乗った、黒髪の槍を持った女が近付いてくる。

「我が名は関羽。
 貴殿は何故このような場所にいる?
 ここは戦場だ。我々は今からこの水関を落とす。
 この場から退いてはもらえないだろうか」

至極丁寧に、男に話し掛ける関羽。
だが、男はこたえる。

「もらえないな」

ニヤリと笑う男。
関羽は、明確な敵意を感じ、槍を男に向ける。

「退屈だ……退屈だ。
 まったくもって退屈だ」

男はため息をつくと、目をあけた。
関羽は未だに槍を構え、殺気を男に当てているが、男は一切動揺も恐怖もしていない。

「お前、華雄を呼ぶつもりだったんだろう。
 残念だが、華雄も呂布も、董卓の近しい奴らは今城で寝てるぜ?」

男は笑みを深め、その巨体故、上から関羽を見据える。

「十常侍は全員殺した。
 この乱世で偉い奴だっていうからどんな強さかと思えば……ただの人間だった」

期待はずれにもほどがあると男は笑う。
彼女の後ろの兵は、その異様さにどこか恐怖を覚えた。

「さて、何故俺がここにいるかだが……お前らを待ってたんだよ」
「何……?」

肩を回し、首をゴキゴキと鳴らす男。
関羽は男から違和感を感じると、そのまま男に切りかかっていった。





















しかし。

「遅え」
「なっ……!」

男の首を瞬速にて切り捨てようとしたその刃は、男の指二本によってあっさり止められてしまう。
関羽は自分の武には自信があったし、この世は女性の方が強いのが当たり前である。
その関羽の槍が、男によってあっさり、呆気なく止められた。

「なるほどな。
 お前の得意な分野は一騎打ちか?
 なら、俺も名乗って、一騎打ちといこうか」

男から溢れ出す何かが、大気を揺らす。
関羽の後ろの兵は既に逃げ腰になっている。

「名前は覚えてねえが、ガイオウって呼びな。
 結構気に入ってる」

破界の王は、この乱世で何を望むのだろう。
さらなる戦乱か、それとも強者との闘いか。
それは、破界の王たるガイオウにも、わからなかった。





























第二次スーパーロボット大戦Zより ガイオウ

とある元ピザのクソッタレな無双紀

テンプレ的に転生した北見歩夢ことラグナ・トゥレイト。
容姿やら名前やら何から何まで厨二病に染まってしまった元ピザな彼が、とあるの世界でひたすら無双する話。
完全不定期更新。
作者の頭がよっぽど沸いた時に筆を走らせます。

というのがあらすじ
つまり、私が暑さでやられた時に無意識に書いていた作品
でも、主人公の能力とかこういうの書いてみたかったから続きを書いてみたら意外と楽しかった作品です
連載は続けよう

プロローグと参りましょうか

第一話 チート乙って言うけど使い方次第よね

第二話 んほぉぉぉぉぉぉっ!!びりびりするのほぉぉぉぉぉぉぉっ!!

第三話 あ、なんか強盗入ってるね

第四話 戦 ら な い か

番外編 俺達がカラオケに行くとこうなる

主人公設定を今更ながら

第五話 セブン○レブンのトンテキ弁当うまかったけどなくなっちゃったね

第六話 介旅初矢の奇妙な冒険 前編 中編 後編

第七話 ファミレスに行ったら中学生が絡まれてたゾ(ホモは嘘つき)

第三話 あ、なんか強盗入ってるね

「何度言えばわかる!
 年上のお姉さんが着る割烹着こそが至高!
 最早これは真理だと!」
「なーにいってるのかにゃかみやーん!
 義妹&メイド服!これすなわち国宝!」
「義妹、割烹着も双方共に素晴らしいものや……しかし!
 あえていわせてもらうなら、君達は髪型に拘らん!
 ツインテ、ポニテ、セミロング、ショート、etc.!
 そこまで拘ってこそやとボクは思うわけや!」
「視界が狭いと損だね……確かに髪型、衣装、シチュエーション、どれも重要!
 しかし、忘れていることが幾多あるだろう!
 それはデレのタイプ!
 ツンデレヤンデレクーデレ!
 コアな部分だとMデレやらSデレやら!
 これ以上言うとノクターンだがな!」

公園で駄弁ってるラグナです。
ちなみに、俺土御門青髪ピアス上条さんで四馬鹿スクウェアとか言われてます。
なかなかどうして嬉しい。
自分はミーハーではないと思っていたのだが。









「……あれは……!」

超電磁砲四人組がクレープ食ってた。
うん、あの黒髪ロングは佐天さんや!
花畑は初春、ツインテが黒子さんやね!
そして御坂さん、先日振りです。

「あぁぁぁぁぁぁっ!!?」

あ、見つかった。

「げ、ビリビリじゃねぇか……。」
「あれかみやん、お知り合い?
 だったらボクにも紹介してぇなー!」

青ピが美少女軍団を見て張り切り始めたぞ。

「ここで会ったが百年目……!
 勝負しなさい!」

あ、周りに人いるから自重してるのね。
いきなり電撃とか勘弁だもんな。
そこらへんわきまえてるみたいでよかったよかった。

「勝負ってお前……ここでやるのは無しだぞ?
 それに、上条さんはいまから遊びに行くんですって」
「ねぇねぇかみやん。
 紹介してぇな」

青ピしつこい。

「っていうか、上条さん財布の中身、おいくらなわけよ」
「…………銀行……どこ?」
「「「そこ」」」

予想してた。









とりあえず自己紹介って感じで八人がベンチ周囲に集合。

「僕のことは青ピって呼んでや」
「土御門元春だにゃー」
「上条当麻だ」
「ラグナ・トゥレイトなんていう人の底辺に属するもんでさぁ。
 お嬢さん方、よろしくおねげえしやす」
「Vシ○マ見過ぎだろ!」

ゴン!

「痛い」

上条さんにそげぶされちまった。

「ふふ、初春飾利です。
 よろしくお願いします」
「佐天涙子でーす。
 ちなみにレベルは0です」
「風紀委員の白井黒子と申しますの。
 あと、お姉様に近付いたら50m上に飛ばして差し上げますからそのつもりで」
「……御坂美琴よ」

ありゃ、みこっちゃん機嫌悪そうね。
「百合っ娘かいな~こりゃまた萌える設定やなぁ!」とか青ピうるはい。

「なあなあ、なんでそんなに不機嫌なんだよ」
「うっさいわね!
 こないだの続きここでやる!?」

上条さんとみこっちゃんは仲良しだなあ。

「あのー……」
「うん?」

後ろを振り向くと、初春さんと佐天さん。

「3月10日は佐天さんの日」
「へっ?」

いかんいかん、ちょいと失言だた。

「何かご用でっしゃろか?」
「いや、その髪とお名前から、外国の方ですか?」

あ、そか。
俺今真っ赤なんだった。

「うんにゃ、日本人よ。
 宗教は仏教で好物はいちごみるく好きなことは運動とゲーム嫌いなものは勉強の根っからの江戸っ子でい」
「江戸っ子っていちごみるくが好きだったんですね~」
「マジにとらないでよ泣けてくる」

初春さんマジ天然。

「俺に構ってないで、上条さんのところ行ってきたら?
 あっちのほうが楽しそうだよ?」

指を指すと、その先は戦場。

「……うーん、前言撤回。
 上条さんは放置プレイといこう」
「あはは……」

乾いた笑いも可愛い佐天さんマジ第四波動。

「つっちー、白井さんは?」
「ん?多分予想通りだと思うにゃー」
「青ピに追いかけられてるとみた」
「御名答!
 正解者にはこちら、土御門君人形をプレゼントだぜい!」
「いらんわ」

なかなかのカオス状態。

「あいたっ」

俺の足に何者かが正面衝突。
振り向くと園児である。
ショタである。

「大丈夫かい?」
「あ、うん。
 ありがとお兄ちゃん」
「ノンノン、おじちゃんでもう一度」
「お、おじちゃん?
 えへへ、変なのー」

かあいいなぁ。
かあいいなぁ。
持って帰りたいなぁ。

「見たとこかくれんぼ中?」
「うんっ!」
「そかそか、頑張れよい」

バイバーイと手を降るショタ。
かあいいなぁ。
かあいいなぁ……。

「かあいいなぁ」
「いつも通りだなラグナ……」
「おや、上条さんジャマイカ。
 御坂さんは?」
「後ろ」

上条さんの後ろを見る。
みこっちゃん息切らしとる。

「体力だけは無駄にあるね」
「上条さんはそれだけが取り柄ですから」
「あ、あんたら……はぁ……化け物ね……」
「「失敬な」」









はてさて、銀行が爆発しました。

「お仕事いややー!」
「はいはい早く行きますわよ!」

青ピって風紀委員だったんだ……一番風紀乱してそうなのにね。

「そう言う三下の台詞は……」

ガッ!

「死亡フラグやっていうのがわかっとらんなー」

ドゴッ!

えげつなー。
黒子が合気道よろしく投げ飛ばし、青ピが着地タイミングに合わせて顔面に踵落とし。
あ、気絶してる?
ってか相性いいじゃないですか青ピ君。
で、息を切らした保母さん登場。

「男の子が一人いなくなっちゃったんです!」

男の娘とな!?

「任せて下さい先生。
 僕達が、必ず見つけますから……」
「あ、あの……はい……」

顔を赤らめていく保母さん。

「顔美形なだけに誤魔化されやすいけど変態だから気を付けろよ」
「上条貴様ぁ!」

そこ、超電磁砲組に変な知識与えない!









ショタ捜索は困難を極めた。
我々は公園を中心に周囲を探索。もしかしたら原作と違ってるかもしれないので徹底的に探す。

「てめぇこの女ぁ!」
「ダメ!ダメぇ!」

はっ!
佐天さんだ!
原作通りジャマイカ、ヤバい。
このままだと犯人の便所虫にも劣るきたねえ足如きに佐天さんの玉のお肌に傷がぁ!

「上条さんゴー!」
「任せろ任しとけ任せなさい三段活用!」

召還獣“幻想殺し”。
発進!

「そぉい!」
「グホォ!!」

ざまぁみやがるぇぇぇぇぇぇぇぇい!!

あ、逃げた。




「大丈夫か、佐天!」
「は、はい……ありがとうございます……!」
「なんのなんの、上条さんはこんな可愛い子にいいところを見せられただけで満足ですよ」
「か、可愛い……」

みるみるうちに赤くなっていく佐天さん。
流石歩く旗(半分俺のせい)。









ズギャァァァアァァァァァァァァアン!!!!!!

あ、車。
レールガン食らったのか。
って、あら不思議。
こっちにくるわあの子。

「ラグナ!?」
「よ、よけて!!」

あらあら、心配してくださるの?
っていうかいつの間にか上条さんみこっちゃんの横に。
大丈夫大丈夫、よけるから……はっ!
ここ、ロリショタおるやんけ。
やらせるか!みこっちゃん上条さん後でなんか奢れ!
そういう意味で、俺はにこやかに笑いながら、目は笑ってないけども、手を前に差し出して呟いた。









「起きろ、ユキアネサ」









美琴 side

レールガンを食らった車は、あの時アイツと一緒にいた、真っ赤な髪の奴に向かってやまなりにゆっくりと飛んでいってしまった。
その直線上には、さっきの子供達もいた。
危ない!そう思ってもう一度レールガンを放とうとした時。

「起きろ、ユキアネサ」

彼の手に、一振りの剣が握られていた。

「レールガンはいらねーぞビリビリ」

後ろからあいつの声が聞こえる。

「ラグナ・トゥレイト。
 レベル2AIM誘導の能力者」
「その能力は非常に貴重で、普通のレベル2よりも多く貰ってたりするってのがあいつの表向きだ」
「表向き……?」
「アイツは言ってた」

「『俺は大富豪でいうと、ジョーカーだ』『なんにでも化けて、何にでも勝つ』」
「アイツは自分のことを“切り札”だって言ったんだ」

剣を抜くと、周囲の温度が急に下がった気がした。
その剣は、日本刀のような片刃の剣で、白い煙を纏っている。

「で、今のこれが、アイツの本当の能力の一部だ」

宙を舞う車に向けて、刀を振りかぶる。

















「凍牙氷刃(とうがひょうじん)」














一瞬。
すでに剣は虚空に消えていた。

「……何……あれ……」

車体は真ん中から真っ二つになっていて、その車体を“氷”が覆う。
巨大で、分厚い氷が。
















「学園都市に八人しかいないレベル5」
「その序列第八位……切札創造(クリエイトジョーカー)、ラグナ・トゥレイトの手札。
 ハートの7、“アークエネミーユキアネサ”」

第二話 んほぉぉぉぉぉぉっ!!びりびりしゅるのほぉぉぉぉぉぉっ!!

やあ、ラグナ・トゥレイト(旧北見歩夢)だよ。
あれから、上条さんとは友達になれました。
ちなみにクラスにも少し慣れてきた。

青髪ピアス。
同胞だ。
俺は落下型ヒロインのみならず、義姉義妹義母義娘双子未亡人先輩後輩同級生女教師幼なじみお嬢様金髪黒髪茶髪金髪赤髪青髪緑髪ロングへアセミロングショートヘアボブ縦ロールストレートツインテールポニーテールお下げ三つ編み二つ縛りウェーブくせっ毛アホ毛セーラーブレザー体操服柔道着弓道着レオタード保母さん看護婦さんメイドさん婦警さん巫女さんシスターさん軍人さん秘書さんロリショタ男の娘ツンデレヤンデレクーデレMデレチアガールスチュワーデスウェイトレス白ゴス黒ゴスチャイナドレス病弱アルビノ電波系厨二病妄想癖二重人格女王様お姫様ニーソックスガーターベルト男装の麗人メガネ目隠し眼帯包帯スクール水着ワンピース水着ビキニ水着スリングショット水着バカ水着人外幽霊獣耳娘までいける。
青髪ピアスとは、意外と話が合うのだ。

土御門。
なんだかこの子シスコンの鏡ね。
義妹を馬鹿にすると怖いよ!

小萌先生。
合法ロリをリアルで拝めるとは思わなんだ……感動した。
可愛すぎてヤバいのであります。
時々撫でてしまう癖をどうにかしたい。

吹寄。
一発いいのをもらっちまった……。
なんて火力とパワーだよぉ!!?

上条さん?
あぁ、ちょっと待ってね?









「不幸だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「はっはっは!!
 上条さんといると退屈しないよ!!」
「笑ってる場合かよラグナ!?」
『まてやゴルァァァァァァァァァァァァァ!!!!!』

後ろからDQNの皆様が追ってきてるから。









「はぁ……はぁ……。」
「いやぁ……やっと逃げ切ったねぇ。」
「ふ、不幸だ……。
 なんでこんなことに……。」

恐らく、金を吸い取られるあの自販機公園。
そこのベンチで上条さんと俺は一息ついていた。
前世ではピザだったからなぁ。
こんなに走るのが楽しいとは思わなかったよ。

「まあまあ、いいじゃないか。
 俺は楽しかったし。」
「上条さんは楽しくないですよ……。」

ま、いつもの不幸が発動してしまったわけだ。
上条さんに会ってからもう何回目かね。
いやはや、この方は七割が女の子絡みだから飽きない飽きない。

「今回の女の子もあれだね。
 レベル高かったねぇ……学園都市はそんな女の子が多いのか、それともそういう星の元に生まれたのかね上条さん。」
「はっ、そんな星の元に生まれてるならとっくに彼女がいますよ上条さんは。」

カッカッカ。
GO☆KE☆N☆SO☆N
実際、わかりますよ……助けた人皆上条さんのことキィラキラした眼で見てたから。
いいね。いい兆候だ。
これで上条ハーレムへの第一歩だね!」

「何が上条ハーレムなのか説明して貰おうかラグナ・トゥレイトさん?」
「そうだね。
 今度から弁当のおかず一切分けないと言うなら構わないぞ?」
「わたくしめが悪う御座いました。」

上条さんはレベル0。
どう足掻いてもレベル2(ほんとは5)の俺に財力じゃ勝てないんだぜ。
日々日の丸弁当か購買で惣菜パンの上条さんはおかずを欲している。
で、時々俺が弁当のおかずをくれてやるわけなので、力関係はこんなもんだ。



さて、今の俺の状況を話そう。
今の俺は、学園都市に八人しかいないレベル5の第八位“切札創造”(クリエイトジョーカー)。
だが、上に掛け合ったところ、普段はレベル2ということにしてくれることになった。
で、レベル2としての能力。
“波導誘導”(リードリード)を“AIM誘導”って改名されました☆彡キラッ
くそ……俺のイラストが……あんな科学者共に……。
パーソナルリアリティ……もとい、自分だけの現実は、必要ないみたいね。
そういえば、結構上条さんと付き合ってスキルアウトやらなんやらとマラソンしたけど、まだ美琴と会わないね。
なんでかなぁ。

「さ、上条さん。
 帰らんと、明日遅刻しまっせ。」
「はぁ……そうだな。
 帰るか……。」









道端。
不良の集団が常盤台の制服の茶髪女子中学生を囲んでる。








ついに、ついに来ましたよ……。
ツンビリお嬢様(?)第三位“超電磁砲”御坂美琴様が!
やべっ、このシーンを生で見られるとは!

「上条さん。
 あれ、どする?」
「勿論、助けますよ上条さんは。」
「にひひ。
 本日二回目のマラソンだね!
 さあ、ウニ頭。体力の貯蔵は充分か?」
「誰がウニ頭か!?」









「ちょっとすいませんね~……おぉ、いたいた。
 すんませんね~うちのツレがご迷惑をおかけしたみたいで……。」

うん、原作通り自然だね!
あ、でも駄目だ。
めっちゃ怪訝な眼で見られとる。
お、説教開始?

「まだガキじゃねえか!」
ピクッ

あ、キレた。
うん、ちょっと準備しとこう。
何事も原作通りにいくわけでは無いし、俺というイレギュラーがうまれた時点で、この物語は変わっていくんだしね。









「私が一番ムカつくのは……アンタだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」

御坂美琴。
学園都市に八人しかいないレベル5の第三位“超電磁砲”の異名を持つ、常盤台中学“電撃使い”(エレクトロマスター)のエリートである。
その能力は、レベル1から努力でのし上がった証。
彼女の誇りだ。

今日の彼女の行動は至ってシンプル。
授業をこなし、後輩に電撃を浴びせ、コンビニで立ち読み、後輩に電撃を浴びせる。
気絶する程度に手加減だってお手の物である。
だから、今さっき不良に囲まれた時に割り込んできたウニ頭の男も、気絶する位の威力で電撃を放った筈だった。

「……え?」

煙が晴れたところに立っていたのは、右手を前に突き出し、こちらを睨んでいるウニ頭。
そして、その後ろに赤い髪のヘラヘラした男。
彼女は混乱する。
なんだこいつらは。

「あーもう……幾分慣れてたよコイツ……。
 助けなくてよかったじゃん。」
「いやいや、でも助けちゃうのが上条さんだね。
 流石のフラグ体質!今日もまた何人の女性が上条さんの餌食になると言うのだ!」
「上条さんでも怖いときは助けませんよ。
 ってか意味分からんぞ」

ウニ頭は、上条と言うらしい。
だが、そんなことはどうでもいい。

「あ、あんたら……何で電撃が効いてないのよ!」

一応ではあるが、周りの不良は残らず倒れ伏している。
しかし、上条と名乗る男と、赤髪は、全くの無傷。

「ふむ。
 なんだか不穏な空気よ上条殿。」
「帰りましょうか。
 これ以上不幸にはなりたくない。」
「把握。
 では、ちょっとスキを作る。」

赤髪が前に出る。
美琴は、警戒故か、いつでも電撃を出せるように構える。
すると、赤髪が下を指差した。

ガシッ

「いっ!?」

足を掴まれる感覚。
恐る恐る下を見る。









倒した筈の不良が足を掴んでいた。

「紛らわしいわっ!」

蹴り倒す。
ウニ頭と赤髪はもう随分遠くへ走って行った。
だが、まだそこは射程圏。

「待ちなさいよ!」

手加減気味に電撃を放る。
彼等は後ろを向いているから当たる筈。
そう思った矢先、赤髪が手を上げた。
それにならうように、ウニ頭も右手を上げる。
赤髪が、ウニ頭の方へ指を指すと、電撃は一筋の光になって、ウニ頭の右手へ集中する。

















キュイーン!



















途端、電撃は弾け飛び、離散した。
そのまま、二人は走り去って行った。












「何……アレ……。」

自分の放った電撃が無効化された。
その事実と、ウニ頭の顔が何故か頭にちらついていた。

第一話 チート乙っていうけど使い方次第よね

さて、意図せずもこんな容姿になってしまったわけだが。
ポジティブに考えようじゃないか。
イケメンになれたのだ。
普通に生活していれば彼女位できるかもしれない。

「まぁ……無いかなぁ?」

こんなへたれに惚れるわけないとは思うが、夢位見ていいよね。













さて、予想外だったのはここがとあるの世界だということ。
まぁ、世界はランダムだし仕方ないね♂
そして、能力が思いのほかチートだったこと。
ここで、俺がバッグに入れていた物を思い返してみよう。

・遊戯王のデッキ5つ
 ・植物
 ・E・HERO
 ・インフェルニティ
 ・ロマンアームド
 ・社長の嫁
・デュエマのデッキ4つ
 ・連ドラ
 ・闇水蘇生
 ・ボルメテウスコントロール
 ・光自然加速大型
・PSP
 ・ソフト
  モンハン2G、3
  ゴッドイーターバースト(アペンド版)
  DFF
  DDFF
  セブンスドラゴン2020
  BLAZBLUECS
  ぷよぷよ7
・自作イラスト入りファイル
・財布
・携帯
・布教用ゲーム
 ペルソナ4
・筆箱
・数学のプリント

以上だ。
さて、能力はどうやって使うのか、封筒にまだ何かあるかもしれないので、探ってみると、一枚のUSBメモリが入っていた。
それの表面に、『これをテレビ画面に入れて下さい。』と、書いてあった。

「テレビ画面に入れて下さい……?」

ちょっとよくわからない。
わからないながらも、USBメモリをテレビ画面に近づけていく。
すると、

ズブッ!
「うおぉっ!?」

USBメモリは画面にずぶずぶと入っていった。

「……ワロタ、完全にファンタジー。」

テレビが勝手についた。
画面には、俺を送り出した黒髪の男、ユダが椅子に座っていた。

『北見歩夢様、もといラグナ・トゥレイト様。
 このUSBメモリは、能力の使い方、そして、その他の知識をお教えする記録でございます。
 なお、この記録は、閲覧が終了次第、消滅致します。』

その点をご了承下さい。と、礼儀正しく礼をした。

『では、説明に移ります。
 まず、時系列。
 時系列においては、まだ超電磁砲が主人公である“上条当麻”に出会ってません。
 そして、その部屋の隣が主人公“上条当麻”の部屋となっています。』

ほう、ということは俺は上条さんと同じ学校に通うのか。
ロリ教師に青ピ、吹寄が見られるのはなかなかうまい。

『あなたは、上条当麻と同じ学校に所属するはずの、転校生です。
 クラスも一緒になるはず。
 原作は、どんなにいじっても何をしてもかまいません。
 ここは幾多の平行世界の中の一つ。
 “物語に貴方というイレギュラーが存在していたら”の世界なのです。』

なる程、なら俺が原作に関われば、それによって物語も変化していくのか。

『最後に、能力の使い方についての説明をしたいとおもいます。
 貴方の能力は、貴方の生前持っていたバッグの中身の異能らしき物全てです。
 つまり、貴方が自分で書いたイラスト等の妄想をも能力化してしまうことになります。』

……予想はしてたけども。
待ってくれ、俺の黒歴史を能力化だと?
色々やっちゃってる厨二時代の俺の黒歴史を能力化だと?
……素晴らしいじゃないか。

『貴方の能力はそちらの世界で言うレベル5。
 超能力者です。
 序列は、第八位となります。
 使い方はいたって簡単。想像して下さい。
 貴方の手の中に、神機があるイメージです。
 目は瞑らなくても結構です。』

言われた通り、イメージする。

「うおっ!?」

手にずしっとした重さが来たと思ったら、俺がゴッドイーターで愛用していた“神斬りクレイモア 絶”が握られていた。

『様々な機能、そして技能さえも、貴方の想像が重要なのです。
 私達神界連盟では、これを“切札創造”。
 クリエイトジョーカーと名付けました。』

わお。
四文字なところとか、能力とか……厨臭いぜ……。

『どの能力も、貴方の想像が発動のキーとなります。
 演算は必要ありません。
 そして、遊戯王等のデッキは、呪文、罠カード、魔法カード以外は、全て召還という形で貴方を守ってくれることでしょう。
 デュエルマスターズにおいては、マナという概念はありません。
 遊戯王だけは召還権が存在します。』

あ、そういえばアレイスターさんが盗聴してたりするんだっけ?
その辺どうなんだろう。

『なお、この部屋にアレイスター=クロウリーが介入することは不可能となっています。』

あ、そすか。

『以上です。
 それでは、北見歩夢様……もといラグナ・トゥレイト様。
 第二の人生をお楽しみ下さい。』

テレビ画面がぶつりと男をたてて消える。
画面は暗いまま、そこに映っていたのは、厨二な顔の自分だった。









「さて、今からすることは……。」

しばらくして、色々やらなきゃいけないことを整理した。
まず一つ目に能力の整理。
いざという時に使えないなんてことにならないように、しっかりと練習しておくこと。

二つ目に、転校する時の説明。
ユダは、俺が転校するときの理由を言ってなかった。
もしかしたら杞憂かもしれないが、考えてはおこう。

三つ目。
自分の能力の隠蔽。
レベル5の新しいやつだなんだって言ったらなんかワラワラスキルアウトとかが来そうで怖い。
そうだ、これを先に解決しよう。

俺は想像する。
俺の自作イラストの中の一枚。
“波導誘導”(リードリード)を創造する。

“波導誘導”とは、人が少なからず放っている電波やらなんやらを、全て操ることが出来る能力。
ここでは、AIM拡散力場を操り、相手の能力の軌道をこちらが操る能力と言ってもいいだろう。
例えば、御坂美琴の超電磁砲は、コインを中心に放っている為に誘導は不可能だが、砂鉄の波や普通の電撃ならば誘導できるだろう。
見立てで言うと、これでレベル2か3位になると思う。
後で練習しよ。









さ、整理が終わったところで、ご近所に挨拶に行かないとな。
上条当麻にも会いたいし、土御門にも会ってみたい。
お裾分けとかした方がいいよな。
あ、冷蔵庫に何か入ってないかな?
お、豚のブロック肉ジャマイカ!
勝つる!
角煮を作るぞ!









作りすぎた。
上条さんにお裾分けしてこよう。
も、無理。
元デブでも辛いものは辛い。

ピンポーン
『……はい……何でしょう……?』

うわ、暗っ!
何があったの貴方に。

「すみません、隣に越して来たトゥレイトと言います。
 ご近所にご挨拶に来た次第でして……。」
『ん……あぁ、そうか。
 小萌先生から聞いてます、ちょっと待って下さい。』

ガチャリと扉が開く。
黒いウニ頭の男が、顔を覗かせた。









当麻 side

今日も朝から不幸……。
なんにもない所で躓くわ、バーゲンの卵を逃すわ……。
散々だ。

「はぁ……今日の飯もパンの耳か……。」

わたくし、上条当麻、パンの耳は健全な男子高校生としての夕食ではないと思う。
レベルは0で奨学金も少ないし……。
はぁ……。

ピンポーン

誰だ?
新聞なら間に合ってます。
あ、学園都市には新聞の勧誘は来ないんだった。

「……はい……何でしょう……?」

テンション上がらねー。
不幸引きずってんなぁ……いかんいかん、ポジティブシンキングだ上条当麻!

『すみません、隣に越して来たトゥレイトと言います。
 ご近所にご挨拶に来た次第でして……。』

扉の向こうから聞こえてきたのは男の声。
あぁ、そういえば小萌先生が言ってたな。

「ん……あぁ、そうか。
 小萌先生から聞いてます、ちょっと待って下さい。」

ガチャリとドアを開ける。
目に入って来たのは燃えるような赤い髪。

「(こいつ……イケメンじゃねえか……。)」

爆発しないかな。

「こんにちは。
 隣に越して来たラグナ・トゥレイトです。
 これから宜しくお願い致します。」

目の前の男、ラグナは斜め45℃で頭を下げた。

「あ、これはご丁寧に……。」
「それで、お近づきの印に、豚の角煮を作りすぎてしまったので食べていただけな……なんで泣いているんですか?」
「いや……グスッ……ここ最近……ヒグッ……パンの耳しか食ってなかったから……。」

爆発しろなんて思ってごめんよぉ……。

「ありがとう……ありがとうラグナ……。」
「えっ?
 あの、ちょっと?」

思わず抱きついてしまった。









「うまい……うまい……!」
「いや、そこまで美味しそうに食べて貰えると作りがいがありますね。」

プロローグと参りましょうか

僕の名前はラグナ・トゥレイト。
年は16歳。
所謂転生者と言う者だ。
容姿は燃え上がるかのように鮮やかな深紅の短髪と瞳をした、「あんた二次元から出てきなすったか?」と言われてしまいそうな整った顔。
まさにテンプレート通りの厨二顔だ。
そしてスラッとした高身長。
所謂細マッチョと言えるような体型。
前世がこうであったらどんなに良かったことか。
ん?あぁ、すまない。
転生者ならば貴様はどの世界にいるのかと問いたいのだろ?
まぁ、僕の目の前を見てくれよ。









「不幸だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

ツンツン頭の高校生が走っているだろ?









僕は前世、なんの変哲も無い一学生だった。
特に何もすることがないので、様々なカードゲームをしたり、ゲームをしたりしていた。
さらに言おう。
僕はデブのキモオタだった。
いや、友達が居なかったわけではない。
ただ、十数人位だな。
コミュ障の僕が、頑張って集めた友達とカードゲームで遊び、皆でエクバで「ガン○ムファイトォォォォォォォッ!!」やら「光になれぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」やら色々言いながら遊んでいたのは鮮明に覚えている。


ある時、いつも通りに皆が遊びに来たので、バッグを持ってカードショップに遊びに行った。
勿論カードショップだからと言ってカードばかりやっているわけもなく、僕はPSPとカードが入った黒い箱を学校のバッグにぶち込んで自転車でカードショップに向かったのだ。


が、しかし。

「ん?」

ちょっとした段差に乗り上げた瞬間、僕は自転車のタイヤがパンクしたことに気が付いた。

「どした?」
「……まさか?」

友人の柚木と沢山が僕を心配そうに見る。

「あ、お前またパンクしたのか?
 流石はファ○太郎だなお前。」
「今日はやめとくか北見?」

もう二人の友人である逢坂と橋宮が自転車を止めて近付いてきた。
パンクの具合からして、このまま行けば確実に転ぶことが、過去三回自分の体重+何らかの衝撃+回数でタイヤを割ってきた僕の経験からわかる。

「うん、ちょっと無理そうだ。
 せっかく誘ってくれたのに悪いな。」
「しょうがないだろ?
 パンクしちまったんだしな。
 幸いお前んちから行き過ぎてないし、歩いて帰れるだろ。」

橋宮がさり気なく気遣ってくれる。
こいつは高校生として標準な奴だが、我々の中で唯一彼女がいるのはさり気ない気遣いのせいなのだろう。
普段のテンションは無駄に高いが。

「ちっ、今日はデュエマ無しか……。」

逢坂、こいつは欲望に忠実だ。
僕のエロ方面の知識から、カードの知識に至るまではこいつからが主流だった。
しかし、こいつ頭がいい。
クラス一位になる程。
故にかは知らないが、外道成分が多少含まれている毒舌である。
あとこいつを形容する言葉と言ったらロリコン位しかない。

「いやいや、俺のナイトが相手するって。」

柚木は付き合いのいい奴だ。
ゲームに誘ったらやってくれるし、暇していたら何かしらの暇つぶしに付き合ってくれる。
ただ、ゲーム、カード中、テンションが勇者王である。

「もうそろそろだと思ったんだよね。」

沢山は僕と同じ体型で、同じくオタクだが、女の幼なじみを数人持つと言う人外地味た奴である。
まぁ、その幼なじみ全員に彼氏がいるらしいのだが、逢坂に並んで性格の悪い奴のことだ。
実はその彼氏俺自身です。なんてカミングアウトがいつ来るか分かったもんじゃない。

「すまん。
 また今度相手するから。
 んじゃ、またな。」

そう言って、僕は家に帰っていった。









さて、帰り道。
ちょっと小腹が空いたのでコンビニでいちごみるくとメロンパンを買う。

「ありゃとうざいまひた~」

いつもの滑舌の悪いおばさんが会計後のお決まりの台詞を言う。

「やっぱりいちごみるくは至宝ですな……あ、“みるく”だからなミルクじゃないから。
 そこらへんこだわるから。」

誰もいないところに指差す。
たまにやりたくなるんだよこんな奇行を。
そのまま自転車を押して行く。
うん、メロンパンうまい。
ふと横を見ると、小さな女の子が道端で遊んでいる。
あぁ、もう。
こんなところで遊ぶなよと思いつつ、横を通る。
次の瞬間、後ろから車のブレーキ音が聞こえてきた。
その車は、真っ直ぐに、女の子に向かって突撃してきている。

「マジかよっ!?
 くそぉっ!」

怖いはずなのにな。
何故か体が勝手に動いちまったんだ。
気が付くと、僕は自転車を放りだして女の子を突き飛ばしていた。



ズガァン!









痛い。



痛い痛い。



僕は体中焼けるような痛みに襲われながらふらふらっと立ち上がる。
手にはレジ袋。
うん、まだ生きてる。
左を見ると塀に衝突した乗用車のギリギリ後ろに、女の子がぼーっとしていた。
よく見なかったが、幼稚園の年長位の女の子だ。
僕は覚束無い足取りで女の子に近付く。

「うっ、うぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」

あぁ、泣き出しちまった。
しょうがないなぁ。
僕は霞む視界を無視して、何故か無事なレジ袋からいちごみるくを取り出して、女の子の手に置いた。

「ひっ……ひっ……いちごみゆく……?」
「あぁ、これあげるから……泣くな?」
「ほんと?おじちゃんこえくえゆの?」
「あ……ぁ、ほんとだと……もさ……。」
「わぁ……あいがとっ!」

あぁ、やっぱ笑顔っていいなぁ。
幼女の笑顔は見るだけで癒される。
ロリコンで良かった。
そう思いつつ、僕は自転車に戻る。
あ、くそ、やっぱり歪んでやがる。
二回パクられてんだぞこっちは。
くそっ、また買い直しかよ。
メロンパンも道路に落ちてるじゃねぇか。
こりゃ弁証だな……。





どさり。


あれ、力が入んねー。
なんか体の痛みも無くなってきたな。
ははっ、まるで今から死ぬみたいじゃねーか。
聞こえてきた携帯の着メロ。

『~♪~♪』

only my railgun……おかんか。
ぴっ。

「もし……もし……?」
『あ、歩夢?
 お母さんちょっと遅くなるからご飯先に食べて……。』

いやぁ、それ無理っぽいわ。

「……悪いね……ちょいと……むりっぽ……」

僕は意識を手放した。









「知らない天井in北見歩夢(きたみあゆむ)」

目を覚ました瞬間訳の分からないことをしゃべってしまった。

「いやぁ……あの、起きました?
 なんか、すいませんね。
 お呼び立てしてしまって。」

なんか目の前に礼儀正しい白衣の男がいる。
黒髪でなんかどことなくへたれた匂いの人。

「あのですね、簡単に説明致しますね。
 私神、あなた死んだ。
 間違えて殺してしまったので転生しない?
 チート。
 以上ですが何か質問は?」
「……はぁ、一応ありません。」

え、何これ転生?
あぁ、よくあるよね二次創作で。
テンプレ。
えっと、ってことは俺死んだのよね?
じゃあとことんまでテンプレに行動してみるのも無難でいいかもしれないなぁ……。

「で、チートなんですけど、何がいいですか?」
「うん、じゃあね、性別は男で、人間にして、体をいくら食べても太らないようにして、体型はちょっと痩せ気味がいいな。」

だがこれだけは譲らん。
痩せたい。
全国ピザの願いであろう。

「顔も少し見られる位にして、背は高くして下さい。
 で、能力は、適当でいいです。」
「あれ、意外と慌てないからどんなチートかと思ったら容姿だけなんですね。」
「えぇ、だって、ね?
 前世ではデブなんで」

痩せた体に興味あるんだ。

「わかりました。
 では、能力もこちらで決めさせていただく形でよろしいですね?」
「はい、送る世界で十分生きていける位の力で結構ですので、よろしくお願いします。」

僕は深々と頭を下げた。
あ、忘れてた。

「そういえば、僕が助けた女の子は……。」
「あぁ、彼女なら無事ですよ。
 ただ、あなたの御家族が哀しまれています。」

ま、そうなるわな。

「できれば、僕の記憶を皆から消して欲しいのですが。」
「それは構いませんが……よろしいのですか?」
「はい、ですが、その分家族が幸せになるようにしていただきたいのです。」

お父さんにもお母さんにも迷惑をかけたからな。
せめてこの愚図な息子のことを忘れ、幸せになって貰いたい。
ぶっちゃけ罪悪感があるからなんだが。

「……わかりました。
 では、能力が決まったら、お送り致しますので、こちらの個室でお待ち下さい。」

神様が虚空を掴むと、そこにドアが現れる。
神様の誘導に従って、個室の中へ入っていく。









神 side

今時根気のある子だ。
事故で体がボロボロになりながらも、女の子を泣き止ませる。
まぁ、思考は少しアレだが。



さて、能力は……どうするか……主に伺いを立てるか?
私は彼のバッグに手を出した。









歩夢 side

「知らない天井in北見歩夢」

またわけの分からないことを。

「あれ、ここはどこだ?」

確か神様に個室に案内されて……。
そこはどこかのアパートのようだった。
家具は机と冷蔵庫、そしてタンス。
台所付きでトイレと風呂完備。
なかなかどうしていい部屋だった。
机の上に、封筒が置いてあった。
開けて読んでみる。









『この度は私ことユダが、あなた……北見歩夢様の運命を狂わせてしまった責任として、あなた様のご要望、ほぼ全て叶えさせていただきました。』

……ユダ?
ユダってキリストを裏切った人じゃね?
なんで神様になれてんの?

『さて、色々な疑問が浮かぶと思われますが、それは置いておいて、あなた様にはさらなるお詫びをしなければなりません。』

詫び?
いや、生き返らせていただいた上、こんなにいい部屋もついて、さらにどうやら体型にしても要望通りだし、多分不満は無いと思うんだが。

『容姿と能力の件、少々やり過ぎてしまいました。』

……は?

『我が主であるイエス・キリストが、“足りない”と仰せでしたので、色々追加させていただきました。
 追加した点、改竄した点その他は、同封の資料をお確かめ下さい。
 最後に、あなた様の第二の人生の幸せを、天界一同、心よりお祈りしております。
 ユダ』

僕は封筒の中にあった羊皮紙を広げた。






名前年齢:ラグナ・トゥレイト 16歳
容姿:炎髪灼眼の美男子
身体能力:どれもEX(強弱可能)
特殊能力:生前持っていたバッグの中のものの異能らしきもの全て。
付属効果:自分の能力に直接干渉してくる、または精神に干渉してくるものは全て無効化。


そして、最後に一言添えてあった。
それを見て、僕はカーテンを開けた。
そこに広がるのは、どこか近未来的な世界。
遠くの飛行船には、“システムスキャン”と書かれている。









「なる程……こいつぁ面白くなってきた」







“転生先:とある魔術の禁書目録・とある科学の超電磁砲






 御武運をお祈りします。”





さて、元ピザの僕がどこまで生き残れるかなぁ……。

使い魔は魔物で平民で狩人で

少年、平賀才人は退屈していた。
鏡に導かれ、次元の狭間に招かれた才人を待ち受けていたのは祖龍ミラルーツと始祖プリミル?
才人がアルビノ化して、
魔物になれる力を貰い、ルイズに召還される話。
ほぼオリ主みたいな才人。





小説家になろうからの移転
モンハンとゼロ魔のクロスオーバーのつもり
何よりの懸念は、作者自身が原作を知らないことである。
故に、ちょくちょく調べながらの投稿となることをご了承願いたい。





一話 使い魔は魔物で平民で狩人で

二話 契約と夜食

三話 洗濯と爆発

四話 決闘と斬破刀

五話 風上と雪風

六話 お休みと変身

七話 雪風と奢り

八話 青銅と香水

九話 武器屋とボロ剣

十話 土くれと破壊の杖

十一話 杖にと狩人の魂に

十二話 破壊の杖と再戦

十三話 我王と黒鎧

土くれと破壊の杖

「おや、ミス・ロングビル。
 このようなところで何をされているのですかな?」

虚無の曜日。
コルベールが昼食をとろうと食堂に向かう最中、学園長秘書であるミス・ロングビルが、学園の宝物庫の前で唸っていた。

「あら、ミスタ。
 いえ、昨日、宝物庫のリストを作れと学院長から言い渡されたのですが……。
 今日来てみたら、生憎鍵がかかっていまして」

本当に困った。そんな顔で宝物庫の扉をちらっと見る。
もちろん、そんな顔で見ても扉が開くはずが無いのだが。

「学院長に鍵をもらいに行けばよろしいのでは?」
「えぇ、先ほど行ってみたのですが、どうやら御就寝中だったようでして……」
「なるほど……それでは仕方がありませんな……」

コルベールは、しばし考えるしぐさをすると、少し照れくさそうにこう切り出した。

「その……今から昼食に行くのですが、ご一緒にどうですかな?
 学院長が起きるまでのお暇潰しにもなるかと」

ロングビルは、先ほどのコルベールと同じく、考える仕草をすると、笑顔でコルベールに向いた。

「そうですね。
 ご迷惑でなければ、ご一緒しても宜しいですか?」
「ご迷惑等とんでもない。
 是非ともご一緒に」
「ふふ、ありがとうございます」

コルベールは、彼女の笑みに違和感を感じたが、特に気にとめなかった。









ズズゥン……!

『着いたぞルイズ。』

「『…………』」

トリステイン魔法学院の近辺の森に、紅い龍が舞い降りる。
その背中には、桃色の髪の少女と、古びた剣が一本。
剣の方は顔が無いため分からないが、少女は疲労の色を見せている。

『いやぁ、空って意外と気持ちいいもんだな。
 どうだったよ、デルフリンガーは』
『なんつーか……相棒、竜になるってどうなのさ』

赤い龍、リオレウスは自らの背中を見る。
飛び立つ寸前はあんなにはしゃいでいた少女、ルイズが真っ白に燃え尽きている。
いや、はしゃいでいたからこそだろうか。

「あれ、ルイズ一杯一杯?」
「いや……ちょっと休憩してるだけ……」

竜が光を放つと、その光は収束していき、光が収まったそこにいたのは、白い髪に赤い瞳の平民……平賀サイトがルイズをおぶっている姿。
初めて空を飛んで、はしゃぎすぎたのだろう、少し眠そうにしていた。

「むふ……(サイトは……竜になれるし、剣だって強い……凄い使い魔呼んじゃったかも……)……えへへぇ……」
「まったく……部屋まで運ぶか……デルフ、ちょっくらごめんよ」
『ん?何がだよ相棒……ってうわぁっ!』

次元の裂け目に吸い込まれていくデルフ。
なんだか最後に叫び声が聞こえたが、気にしないことにした。

「さて……ルイズ、起きろ。
 自分の足で歩きなさい」
「なによ……使い魔なんだからおぶっていってくれてもいいじゃないの」

ルイズは拗ねたようにそう言うと、サイトの体にしがみつく。

「はぁ……はいはい、わかったわかった。
 部屋についたら降りろよ?」
「いーからさっさと運ぶ!
 これは命令なんだからね!」









再びトリステイン魔法学院宝物庫――――

「…………。」

あたりは少し暗くなっていた。
夕焼け空が段々と暗闇へと変わっていく。
その中で、黒いローブを被った影が一つ。
ローブの隙間から、少し緑色の髪が見えている。

「…………あいつは……いないね。」

黒いローブは周囲を確認すると、杖を取り出し、詠唱を始めた。

「(あの平民……あたしにとって、恐らく天敵だ。)」

黒いローブ……ミス・ロングビルはサイトの決闘を見ていた。
自分も、経験はかなりあると自負している。
しかし、彼には勝てる気がしない。

「ふん……まあいいさ……。」

詠唱を終えて、ロングビルは杖を一振りする。
土が草をかき分けて盛り上がっていく様を、彼女はどこか自嘲するかのような笑みで見つめる。

「あの平民が来ないうちに……やるしかないね。」

“土くれ”が、巨大なゴーレムへと変わっていく。
これが、彼女の二つ名の由来。
今の彼女はロングビルではない。

「いきな!」
貴族専門泥棒“土くれのフーケ”がそこにいた。









「なに……あれ……。」

キュルケとタバサは、タバサの使い魔、風龍“シルフィード”で学院に戻ってくる最中で学院に巨大な影が現れたのを見た。
目測にして、2~30メイル程の巨大な影である。

「……多分ゴーレム……。」
「嘘!?
 あんなデカいの見たこと無「捕まって」ち、ちょっとぉ!?」

キュルケが声を荒げると共に、タバサはシルフィードを加速させた。
キュルケは急な加速に思わずタバサにしがみついた。

ムニュ

「…………ちっ」
「?」


























「ん?なんだありゃ……。」サイトがルイズをおぶって学院に向かう途中、竜が空を駆けていくのが見えた。
ついでに、その竜の上の人物も。

「タバサと……キュルケだったっけ?」

よく注意してみると、横顔からどこか切羽詰まった感じがした。
その視線の先、魔法学院までは、もう少し。

「こりゃあ学院に何かあったか……?」
「何、どしたの?」
「いや……ちょっとな」

退屈しのぎにはなりそうだ。









サイトが学院に到着すると、黒い巨大な影が壊れた宝物庫に手を入れ、何かを掴み取っていた。

「ルイズ!」
「え!?あ、れ、錬金!」

ルイズは、ポケットから小石を取り出すと、杖を向けて錬金の魔法を唱える。
それが光った瞬間、ルイズは全力でそれを影に投げつける。
コツンという音が鳴った瞬間、影の相対していたタバサとキュルケに向かって叫ぶ。

「伏せろ!」
「!!」
「ちょ、何!?」

爆発。
これが、ルイズの武器、“セルフ手榴弾”である。
ちなみに命名サイト。
ルイズが石を錬金して、爆弾に変えるなんとも荒々しい技であるが、威力は抜群。
影の左腕が呆気なく粉砕した。

「ナイスルイズ」
「あ、当たり前よ!」

サイトはルイズを下ろすと、影を真正面に見据える。

「土……ギーシュのゴーレムの強化した奴みたいなもんか……」

ゴーレムの吹き飛んだ腕に、土がまとわりつき、そのまま腕を振り下ろす。

「おっと」

左に一歩移動してかわし、ポケットからデルフリンガーを取り出し、斬る。
土でできた腕は根から離れると、ただの土くれに戻った。

「デルフ、出番だぜ?」
「いきなり武器庫的な場所にご招待されたと思ったらいきなり出番かよ!
 剣使いが荒いぜ相棒!」
「そういうなって!」

再び相対するサイト。
巨大なゴーレムがサイトを見下ろす。
その迫力に、サイトは興奮が止まらない。

「ク……ククク……いいじゃんいいじゃん!
 退屈なんざありゃしねぇ!」

笑いながら、ゴーレムに向かって行く。
迎撃をしようと、ゴーレムが拳を振るが、サイトは跳躍し、ゴーレムの腕を走る。
肩にたどり着いた時、腕を根元から両断した。

「オラオラオラァ!
 こんなもんでいいのかゴーレムちゃんよぉ!」

叫ぶサイトが居る自分の肩に、ゴーレムはもう一つのサイトを掴もうとするが、サイトは迫り来るゴーレムの指を残らず叩き斬ると、ゴーレムから飛び降りる。

「デルフ、お前最高」
「見た目に騙されちゃいけねーってこった。
 そうだろ相棒?」

着地と同時にバックステップ。
後ろ向きのままゴーレムの足元へ。
腕を確認すると、もう半分再生していた。

「こういうのは、核となる部分があるか、操ってる奴がいるって相場が決まってるんだがな……っ!」

足をぶった斬る。
バランスを崩し、ゴーレムは膝をつく。

「もういっちょ!」
「おうよ!」

もう片方の足を切り裂き、足元から離脱する。
ちょっと無理な体勢だったので、少し飛んでゴーレムを足場にし、崩れ落ちるゴーレムの残骸を回避した。

「ルイズ!
 ラスト任せた!」
「えっ、ちょ、わ、わかった!」

ルイズは慌てつつも石を手の上に並べ錬金。

「キュルケとそこのアンタ!
 離れないと巻き込まれるわよっ!」
「…………了解」
「ちょ、タバサ!?」

タバサがいち早くフライで離脱。
キュルケも遅れて離脱する。
ゴーレムの残骸が集合し、再生を始めるその前に。

「吹っ飛びなさい!」

ルイズの石爆弾が着弾した。









宝物庫の内側の壁。
そこに、文字が刻まれていた。
真新しいものだ。
大穴の開いた宝物庫の壁から差し込む月光がそれを照らす。



-------破壊の杖、確かに頂きました。
-----------土くれのフーケ

武器屋とボロ剣

ギーシュの案内で、一行は武器屋へと向かった。

「こっちに“ピエモンの秘薬屋”があるから……あった、ここだ。」

そこは、如何にもな武器屋だった。
看板は剣の形の小さいのが、店先にぶら下がっていて、サイトは、『武器はちゃんと装備しないと使えないぜ!』としか言わない村人Bあたりが出てくるかと思った。

「じゃあ僕らはピエモンの秘薬屋に行ってくるからここでお別れだ。」
「あぁ、ありがとなギーシュ。」

軽く手を振ると、ギーシュはモンモランシーに腕を掴まれ、引きずられていった。

「あいつ、尻にしかれそうだなぁ。」

サイトがぼそっと呟くと、ルイズは頷いた。







武器屋の中は、サイトが先程行った店と同じように薄暗かった。
西洋の鎧やら何やらが乱雑に置かれ、棚や壁には槍に剣、盾等がかけられていた。
店主は入ってきた客が貴族だと知ったのか、愛想笑いを浮かべながらルイズに声をかけた。

「旦那。貴族の旦那。うちはまっとうな商売してまさぁ。
 お上に目をつけられるようなことなんか、これっぽっちもありやせんぜ?」

ルイズは腕を組むと、店の中をぐるりと興味深そうに見回し、

「客よ。」

と言った。

「こりゃおったまげた……。
 貴族が剣を!おったまげた!」

店主は心底驚いたような表情でルイズを見た。

「どうして?」
「いえ、若奥さま。坊主は聖具を振る、兵隊は剣を振る、貴族は杖をふる、そして陛下はバルコニーからお手をおふりになる、と相場は決まっておりますんで……。」

店主が決まり文句のような流れでそう言うと、ルイズが口を開く。

「使うのはわたしじゃないわ。使い魔よ」
「忘れておりました。
 昨今は貴族の使い魔も剣を振るようで……。」

そう言うと、店主はサイトを訝しげに見た。

「……こちらの旦那がお使いになるので?」
「えぇ、そうよ。」
「はぁ……そうでございますねぇ……最近は盗賊も出るらしいですから、下僕に剣を持たせる貴族様も多いようで。 若奥様もその類で?」
「盗賊?」
「えぇ、さようで。」

店主ははっきりと頷く。

「なんだか知りやせんが、貴族専門の泥棒、“土くれ”のフーケとか言う盗賊が世間を騒がせているとかなんとか。
 物騒なこの御時世です。
 少しでも安心したいんでしょうな、貴族様達は。」
「なる程ねぇ……ってあれ?
 サイト?」

話を聞いていたルイズは、自分の使い魔が横にいないことに気付いた。
ふと、店の奥を見ると、サイトが剣や槍の入った籠を漁っていた。

「色々あるんだなぁ……。」
「ちょっとサイト、恥ずかしいからやめなさい。」

あ、悪い。と、ルイズの横に戻ってくる。

「で、剣のことはよくわからないから、こいつに適当なの見繕ってやって。」
「へい、かしこまりました。」

そう言って店の奥に消えていく店主。
それを見送ると、サイトは周りを見渡した。

「しっかしまぁ……大抵の武器に魔力があるな。」

サイトはこの世界に来た影響か、魔力を肉眼で見ることが出来るようになっていた。
ちなみに、それに気が付いたのはつい昨日のことである。

「そりゃそうよ。
 武器には“固定化”の魔法が施されているのが普通だわ。」
「“固定化”?」

ルイズの話によると、固定化というのは物体をそのままの状態に保つ為の土属性の魔法だと言う。
学院の壁や剣等の武器にも使われ、スクウェアのメイジが固定化をすると、数百年以上もその姿のまま固定されることもあるらしい。

「へぇ……ルイズって頭いいんだなぁ。」
「と、当然よ!
 これでも実技以外はトップなんだから!」

少し嬉しそうなルイズであった。









しばらくして、店の奥から一本の剣を携えた店主が出てきた。

「良い剣がありましたぜ。
 かのシュペー侯の名作!
 どうですか?」

店主が差し出したのは美しい装飾の施された剣だった。
それを見て、どうやらルイズは気に行ったらしい。

「ほら、これ綺麗よ!
 これにしなさいよ!」
「えー……?
 でもさぁ……これ、魔力少ないんだもん……。」

そう、見えているサイトには分かるのだ。
固定化が甘いのか、ただの装飾剣なのか分からないが、魔力が非常に少ない。

「これ、ただの飾るための剣じゃねーの?
 おっちゃん、もっといいの無い?」
「はぁ!?
 うそだろ?これは二百エキューもしたんだぞ!?」
「……それは御気の毒に……。」

サイトは同情の視線を送った。

『ざまぁねぇな親父!
 そこにいる野郎の方が目利きがいいじゃねえか!
 素人に負けてどうすんだよ!』
「んだとゴラァ!
 てめーは黙ってろデルフ!
 黙んねーと貴族様に頼んで溶かしてもらうぞ!!」

どこからか声が聞こえてきた。
が、店内には店主とルイズ、そしてサイト以外にはいないのだが。それでも、サイトの耳は声のした方向を探り当てていた。

「うーん……ここか?」
『うわっ!
 なんだてめぇ!?』

サイトが掴んだ一振りの剣。
それは見るからに錆びたボロボロの片刃の剣だった。

「お前が喋ってたのか?」
『なんだおめーは、真っ白じゃねえか。
 小麦粉でもかぶったのか?』
「地毛だよ。」

店主は「やっちまった……。」と、天を仰ぎ見ていた。

「インテリジェントソード?
 随分珍しいわね?」
「へぇ、誰が考えたんでしょうなぁ。
 剣に喋らせるなんてぇのは。
 来る客来る客全部になんかこう……いいやがるんで……。
 その癖売れやしないんですよ。
 こいつを作ったメイジは、暇だったんでしょうなぁ。」

そんな店主の話等聞いてもなく、サイトは驚愕していた。
剣を持つまでわからなかったが、先程店主が持ってきた剣の百倍、いや、それ以上の魔力を内包していたのだ。

「ルイズ、俺コイツがいい。」
「はぁ?
 そんなボロボロのでいいのあんた。」
「うん、こいつがいいんだ。」

サイトはその錆びた剣をルイズに差し出した。
ルイズがため息を混じりに口を開く。

「これ買うわ。
 いくら?」
「へっ?
 あ、へい、わかりやした。
 こいつでしたら百エキューで十分でさ。」
「そう、これお金ね。」

ルイズが会計を済ませてる間に、サイトは剣と会話していた。

「なぁ、お前なんでこんなとこにいたんだ?」
『知らねーよ。
 っていうか、俺は“使い手”以外に振るわれる気はねえぞ。』
「冷たいなぁ。
 名前位教えてくれたっていいだろ?」
『俺はデルフリンガーだよ。
 名乗ったんだから元に……?』

と、ここでデルフリンガーは無い口を閉ざした。

「おい、どうしたんだよデルフリンガー。」
『……いや、おめぇ、ちょっとわかりにくいが……“使い手”……なのか?
 色々混ざってゴチャゴチャしてるような……そんな感覚だ……。』
「“使い手”?」
『うん、お前面白そうだしな……いいぜ、お前さんに買われてやるよ相棒。』

使い手という単語の意味はわからなかったが、とりあえずは目的をクリアである。























「よし、帰るか!」
「あ、今度もあのドスジャギィとかいうのになってよね?」
「え?
 もっと早いのあるけど?」
「はぁ?」
「空、飛んでみない?」
「……空?」
『空って、あの空か?』
「紅に染まりし鱗。
 その双翼を羽ばたかせ降臨せよ!
 天空の王、リオレウス!」


















森に、少女と剣の悲鳴が響き渡ったのは言うまでもない。

青銅と香水

キュルケの財布とSAN値がガリガリと削られていく中、ギーシュ・ド・グラモンは先日の決闘騒ぎから絶交されたモンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシのご機嫌取りに、ブルドンネ通りまで来ていた。

「……下級生のあの子でも誘えば良かったのに。」
「そんなことを言わないでくれよモンモランシー。
 僕はしっかり反省したんだ。
 だから機嫌をなおして、いつもの太陽のような笑顔を見せておくれ。」

顔を赤らめているのは満更でもないからなのか、怒りがこみ上げて来ているからなのか。

「……ふん、いくわよっ!」

恐らくは前者なのだろうが。














「ん?
 あれは……?」

貴族御用達の洋服店で、モンモランシーの買物につき合っていたギーシュは、ふと外を見た。
人ごみにまぎれて、見た事のある白髪と、桃色のブロンドが見えた。

「……ごめん、モンモランシー。
 ちょっと席をはずすよ。」
「え?
 ちょっとギーシュ!?」














「中々の乗り心地だったけど……。
 本当にびっくりしたんだからね……!」
「わ、悪かったよ……。」

サイトはその白髪をガシガシと掻きながら、主に謝っていた。
ご主人様はいまだにご立腹である。
何故こうなったかは色々と省くが、三行で表してみよう。

サイトがでっかい蜥蜴になる
ルイズビビる
ride on!

以上。

「で、武器屋はどこにあるんだ?」
「ちょっと待ってね……。
 確か……「やっぱり、ルイズと使い魔君か。」ギーシュ?」

ルイズが振り向くと、少し息を切らしたギーシュが立っていた。
サイトも、少々驚いているようだ。

「ギーシュじゃないか。
 どうしたこんなところで。
 まさか……またやろうってか?」
「キミね……先日の事を謝りに来ただけだよ。
 いくら僕でも一度踏んだ過ちは繰り返さないさ。」
「冗談だよ冗談。」

サイトとギーシュは互いに笑いあう。
ルイズは横でなんだか分からないような顔をしていた。

「まぁ、改めて。
 あの時はすまなかった。
 頭に血が上っていたんだ。
 一応だが、あのメイドにも迷惑をかけたから、謝っておいた。
 モンモランシーとケティ……二股をかけていたあの子たちにも、ちゃんと謝った。
 あとは、キミたちだけだったんだが……中々会う機会が無くてね。
 このような場所での謝罪になってしまったが、許してくれ。」

ギーシュが頭を下げる。
サイトは若干苦笑しながら、ルイズの方を見た。
ルイズは、ただ困惑していた。

「おいおい、ここは大通りだぜ?
 貴族様が平民に頭下げちゃいけない。
 もういいから、頭をあげてくれよ。」
「……許してくれるのか?」
「許すも何も……俺は、自分の為にお前に挑んだんだ。
 謝られる筋合いはないぞ。」
「自分の為……?」

ギーシュは頭を上げ、サイトの顔を見る。
サイトは、少し困ったような顔をしていた。

「勿論。
 俺は退屈が嫌いでね……俺の国じゃ、龍や巨大な獣に挑んだ記憶はあるが、魔法と戦った事は無い。
 どんなもんかと思って、口出しをさせてもらったわけだ。」
「「りゅ、龍!?」」

ルイズとギーシュが同時に叫ぶ。
サイトは頷いている。

「だから、あれは自己満足。
 俺は立派だと言われる資格も、お前に謝られる資格も無いんだよ。」
「……ははは。
 勝てないわけだよ。」

ギーシュはうつむいて首を振った。
そして、サイトに向き直る。

「じゃあ、せめて僕の友人になってくれないか?
 こっちも隠さずに言うと、下心満々だけどね。」
「ほう、目的はなんだ?
 わかりきったことだけどな。」

再び、互いに笑う。
ルイズには分からないのだろうが、変な友情が芽生えつつあるらしい。

「勿論、キミが持つ剣……決まっているだろう?
 僕は土のメイジ。
 しかし、あそこまで美しい武器は見たことが無い。
 僕は、あれを越える武器を作ってみたい。
 グラモン家として、何より一人の土メイジとしてね。」
「ククク……!
 いいぜ、気に入った。
 今度見せてやるよ。
 鬼哭斬破も、それ以上の剣もな。」

がっしと握手を交わす二人。
ルイズ、置いていかれてるぞ。

「ギーシュ・ド・グラモン。
 二つ名は“青銅”。
 土のドットメイジだ。」
「平賀才人。
 こっち風で言うとサイト=ヒラガ。
 二つ名とかはわかんねぇけど、あえて“狩人”とでも言っておこうか。」
「「よろしく……悪友。」」

サイトに悪友ができた。














「……で、合流したと?」
「怒らないでくれよ僕のモンモランシー。
 ほら、こっちの服なんてどうだい?」
「ふむ、いや、こっちの方がいいんでね?
 ちょっとサイズがアレだが。」
「いや、こっちの方がいいわよ。
 で、ネックレスはこれよ。」
「なるほど、流石にルイズはヴァリエール家の娘だからね……センスがいい。」
「なんで私の服をあんたら三人で決めるのよ!?」

サイトとルイズはギーシュに連れられ、洋服店にやって来た。
実は、ルイズが武器屋の場所を忘れてしまったので、ギーシュに案内してもらう事になったのだが、モンモランシーの買い物が終わるまで待ってもらうということでギーシュは承諾したのだ。
で、何故かサイトとルイズが口を出して今に至る。

「……そもそも、私とギーシュのデートなのに……。」ボソッ
「ま、いいじゃねぇか。
 ダブルデートってことでよ。」
「なんで平民とゼロとダブルデートしなきゃいけないのよ!?
 っていうかなんで聞いてるのこの平民!」
「おい、ギーシュ。
 意外とコイツ乙女らしいとこあるぞ。」
「それはそうだよ。
 なんたって、僕のモンモランシーなんだからね。」
「…………バカ。」

ちなみに、ルイズはモンモランシーの服が決まると同時に、奥に向かっていたので聞いてない。
恐らく、ダブルデートという単語を聞いた瞬間サイトは吹っ飛ぶだろうから多分。

「あ、ギーシュ。
 俺、換金できる場所に行きたいんだけど、どっかにないか?」
「あぁ、それならこの店の向かい側だ。
 行くならすりに気を付けていきなよ?」
「ガキじゃねぇから大丈夫だっつの。」












店に入ると、がっしりした体格の三十歳半ば位の店主がカウンターで出迎えた。
店の中は、色々なガラクタのような物から、アクセサリーまで、さまざまなものが置かれていて、サイトは、ここは地球で言う「リサイクルショップ」みたいなものだと認識した。

「らっしゃい。
 おや、旦那。
 この辺じゃ見ない顔だね。」
「あぁ、多分、ちょくちょく来ることになるからよろしくな。」
「へい、で、旦那。
 今日は何をお持ちで?」

サイトはポケットから事前に出しておいたそれを取り出し、二つほどカウンターに転がした。

「ふむ……これは……水晶の類ですな。
 しかし……このようなに美しい物は見たことが無い……。
 こっちは鉱石……しかもかなり硬い……少なくとも鉄ではないですね。
 これは一体?」
「こっちが虹水晶。
 七色に輝く水晶で、装飾なんかに使われたり、土産物として扱われたりする。
 こっちはマカライトっていう鉱石。
 別名燕雀石。
 鉄より硬く、使い勝手もいい。
 どうだ?これ、買ってくれないか?」

店主は、虹水晶とマカライトをじっくりと見る。
サイトはポケットに手をいれたまま店主を見ている。
そして、何を思ったかマカライトに向かって、腰についていたハンマーを振り下ろした。

ガキィィィィィィィン!!!!

「……かーっ……!
 硬いねぇ……なるほど、これを熱で溶かし、武器や農具に混ぜれば……すっげぇ代物になるでしょう。
 しかも、こっちの水晶も素晴らしい美しさだ。
 水晶だからって侮っちゃいけねぇもんですな。
 磨けばさらに美しく光る……いいでしょう。
 買わせていただきやす。
 二つとも、素晴らしい品だ。
 こちらの水晶が70スゥ。
 こっちの鉱石が80スゥでどうですかい?」
「あぁ、それでかまわねぇよ。
 じゃ、交渉成立ってことで、コレ、品物な。」

店主から金を受け取ると、サイトはそれをポケットに突っ込み、店主に会釈して店を出た。

「……こいつぁ、あの旦那に感謝しなきゃならねぇな……。
 にひひひ……自称加工屋の腕が鳴るぜ……!」

店主はその日、早めに店じまいをした。














「犬!
 あんたどこに行ってたのよ!」
「あれ、ギーシュから聞いてない?
 むこうの店にいってたんだけど。
 ってか犬ておい。」

雪風と奢り

さて、ルイズがサイトにビビっていた頃。
ブルドンネ街。
トリステイン城下町で一番大きな通り。
その通りに並ぶ店先の一つに、二人の少女の姿があった。

「タバサぁ~……まだ食べるのぉ……?」
「余裕。」

雪風のタバサと微熱のキュルケである。
彼女等が何故ここにいたのか。
そして、何故タバサの周りに皿が山積みになっているのか。
それは、サイトとギーシュの決闘の少し後まで遡る。









「嘘……。」

キュルケは唖然としていた。
隣では親友のタバサがドヤ顔を見せている。
その要因は目の前の光景である。
学園の実技でも上位の成績であるはずのギーシュが、平民に負けた。
この決闘を見ているほとんどの者が眼を疑い、ある生徒は試しに目に向かって水の魔法をかけてから広場の中心を見るが、光景は変わらない。

「貴方の負け。」

キュルケは気付く。
サイトが勝ったということ。
それすなわち明日の自分の昼食の消滅。

「(た、確か明日のメニューは……?)」

考える。考える。

「明日のメニューだったら、たしか貴方の大好きな鴨肉だったはず。
 ……悪い事をしたけどこれもルール。」

ニヤニヤと普段の彼女からは考えられないニヤけっぷり。
この余裕と軽く見下すような視線。
まさにドヤ顔。

「……タバサ……。」
「何か?」
「……








虚無の日に昼奢るから明日は勘弁して……。」
「乗った。」

その日、キュルケはサイトに八つ当たりすべく追走していった。







そして、現在に至る。

「確かに奢りとは言ったけど食べ過ぎよタバサ……。」
「……ここからここまで全部。」
「かしこまりました。」
「タァバサァァァアァァァア!!!?」

追加。









「けぷ。」
「財布……?
ふっ……ふふふ……。」

すっからかんになった財布を見つめ、笑い出すキュルケ。
顔に生気がない。

「大丈夫。
きっとあなたの彼氏が貢いでくれる。」
「そんなこと一度もしたことないわよ!」
「……え……?」
「何初めて聞いたみたいな顔してんの!?」

それにしてもこのタバサ、ノリノリである。

お休みと変身

「武器が欲しい?」

虚無の曜日。
一般的にこの日は学生達は休みである。
トリステイン魔法学校の生徒達もそれは例外ではない。
ルイズも昨日の一件で少々疲れたので、今日は休む算段だったのだが。

「あぁ、武器が欲しい。魔力の塊みたいな武器がな。」

ルイズの使い魔にして平民。
しかし、先日の決闘騒ぎでは、貴族であるギーシュを圧倒して魅せ、ポケットから身の丈程もある片刃の剣を抜いたり、ギーシュのワルキューレの武器をポケットにしまったり等、
手品じみたことまでする男。
平賀サイトである。

「はあ……あんた、自分で武器持ってるでしょ?」

その男が、武器を欲しているのである。
ルイズが、今日は休みだと言った次の瞬間だった。

「な?頼むよご主人様。」

確かにこの間家から小遣いが送られてきて、別に使うことも無かった為に多少の余裕はある。
それに、少々小腹がすいた。
学園の食堂でばかり物を食べるのも飽きてくる。
様々なものをローテーションで食べることで飽きを回避しなくてはならない。
食とは、飽きがきては終わりなのだ。
それのついでにサイトに剣を買ってやろうと頭の中で出費と財布の中身を計算し、節約しようと心がけるルイズ。
言ってはならないだろうが、思考はともかく、財布を節約するのは平民思考である。

「いいわよ?」
「よっしゃ、じゃあ早速行こうぜ!」

まるで子供のように喜ぶサイト。
昨日戦ってた時はかっこよかったけど、こんな表情もいいわね-----って何考えてるの私は!!
突然出て来た乙女思考に自分で戸惑うルイズであった。









サイトは自分の戦い方に疑問を抱いた。
今は先日のように裂け目から剣を取り出して斬るのでいいだろう。
だが、強い敵、自分より強い敵に会った場合、いちいち裂け目を開く余裕があるだろうか。
答えは否。
そうサイトは考えた。
そして、思い出す。
ブリミルが言った“魔力による武器変化”である。
元々の武器の魔力が桁違いに多い武器ならば、武器を呼び出さなくても、戦闘中に自由に武器を変えられる。
つまり、サイトが持っていた武器が短刀だとして、相手はリーチを計ったつもりでかわす。
が、次の瞬間には短刀は太刀に変わっていて、相手は抵抗虚しく斬られるというわけである。
奇襲という意味では自分の経験の無い頭でよく考えたと言わざるを得ないほどの案。
これ素晴らしくね?
と、誰かに自慢したい程である。
よって、サイトは機嫌がものすごく良いのだ。
どの位かと言うと、某格闘ゲームで鎖の蛇を使う諜報部大尉が蒼の魔導書を手に入れた時位である。
『コードSOL!ブレ○ブルー!起動!』
『ついに手に入れたぞ!“蒼”の力を!ヒーヒャハハハハハハハハ!!!!』
まあ、こんな笑い方は今までしたことはないが。
故に、サイトは若干緩くなっていたのである。
思わず主に秘密を暴露する位。









「さて……じゃ、馬を借りにいくわよ。ちゃんとついてきなさい。」

ルイズは街に行く為に必要な馬を調達しようと、部屋をでた。
勿論、サイトも後ろである。

「ワクワクワクワク」
「あんた口に出てるわよ。」

まったく子供っぽい使い魔ね。
ルイズは頬を緩ませながら馬小屋へ急いだ。









「申し訳ありません。本日はもう馬はないんです。」
「なんですって……?」

珍しい。
本来なら馬が必ず二頭は居るはずだが、今日に限って無いとは。
魔法の才能も無ければ、今日は運も無いらしい。
などと自虐ネタを心の中で言いながら、ため息をつく。

「ありがとう。また、今度にするわね。」
「申し訳ありません。」

馬小屋の管理人は、深々と頭を下げる。
ルイズは、外で待っていたサイトに駆け寄り、馬が無いことを告げる。

「そっかぁ……。」

急にしょぼーんとするサイト。
外見より幼く見えて、ルイズは何故かドキッとする。
が、次の瞬間、サイトは手を叩いた。

「いい方法があるぞルイズ!」









トリステイン魔法学校の正門からいくらか先に進んだ森。
その中に二人はいた。

「で、外に出たはいいけど、どうする気よあんた。」
「おう、馬がないなら、俺が馬の代わりになる(・・・・・・・・・・)!」
「…………はぁ?」

突拍子もないことを言い始めたサイト。
思わずジト目で見てしまうルイズ。
二人の間に変な空気が流れる。

「…………あんた……そっちの趣味だったの?」
「違うわ!ああもう!見てやがれ!ジャギィ!」

サイトは両手を打ち鳴らした。
その瞬間、サイトの身体は鱗に包まれた。

「……え?」

いや、鱗ではなかった。
赤と紫のグラデーションの衣服と帽子をかぶっていた。
まるで鱗のような外見の色合いの厚手の服をサイトは着込んでいたのだ。

「あ、あんた……いつの間に着替えて……?」
「まだまだ……見てろよルイズ。」

そう得意気に言うと、サイトは何かを呟き始めた。

「咆哮は同胞を呼び、怒りは狩人達の妨げとなる。
狗竜ドスジャギィ!」

刹那、突風が巻き起こり、ルイズはおもわず目を瞑った。
恐る恐る目を開けたその先には……。

















「ぐるぐるぐる…………。」




巨大なトカゲが佇んでいた。

風上と雪風

「なによ……これ……!」

ルイズがヴェストリの広場に着いたときには、サイトは防戦一方だった。
いや、むしろサイトは楽しんでいたようにも見える。
無邪気な子供のように走りまわり、熟練の大道芸人も真っ青なアクロバティックな動きを繰り返しながら回避する。
ギーシュのワルキューレの攻撃をひらりひらりとかわし続けていた。

「……いや……かわしてるだけじゃない……。」

ルイズがそう思ったのは、サイトがワルキューレの槍をかわした時。
突貫してくるワルキューレの槍をかわしながら、サイトの腕が一瞬消えた。
次の瞬間、ワルキューレの槍の先がへし折れた。

「攻撃をよけながら……一瞬で武器を無力化してる……?」

刃である先端を、一瞬で叩き折った。
青銅とはいえ、金属を素手で。

「な、何者なのアイツ……。」









サイトは、まずギーシュのワルキューレの攻撃速度、間合いを把握した。
槍、剣、徒手空拳。
そして、それを視界に捉えると同時、サイトはまずは武器の無力化を図った。
実を言うと、サイトが使ったのは鬼哭斬破刀真打だけではない。
圧倒的な速度で彼が振り回していたのは……。

「…………。」シャッ

砥石である。
青銅の剣、槍を、高速の砥石さばきで刃を平坦にし、斬るという力を消失させたのだ。

「(……アイツ眼悪いな……もしかして見えてないのか?)」

それに気付かないギーシュをひたすら挑発し、単調な攻撃を誘う。

「(それにしても……変だな。
  砥石を持った時から体が軽い……。)」

砥石を持った瞬間から、身体能力があがっていることに違和感を覚えた。
何か、物を持てば発動するハンターの能力の副産物かとも思ったが、その考えは手の甲に刻まれていたルーンの輝きの前に消えた。

「コイツの力か……。」

ニヤリと笑う。
サイトは、このルーンの力を理解した。

「さて……そろそろ準備運動はここまでとしよう。
 だいぶこの身体の使い方にも慣れてきたしな。」

―――――ショーの始まりだ。









遠見の鏡。
それは、トリステイン魔法学校に存在するマジックアイテム。
ぶっちゃけると、どこでも見れる覗き見鏡。
その鏡を通し、ヴェストリの広場を見る、老人と1人の男性教師がいた。

「……勝ってしまったの……。」

老人、オールド・オスマンがそう呟く。

「……勝ってしまいましたね……。」

男性教師、コルベールが、オスマンの言葉に続け呟いた。
二人が見ていたのはヴェストリの広場にて行われていた決闘。
元来、決闘は貴族間では禁止とされており、教師陣は秘宝“眠りの鐘”の使用許可を求めた。
どうせ子供のやることとたかをくくっていたオスマンはそれを却下。
だが、その決闘している人物の名前を聞いた途端、表情が凍りついた。
一人はギーシュ・ド・グラモン。
グラモン家の四男。
そしてもう一人、ヴァリエール家の三女、ルイズ・フランソワーズの使い魔にして、平民。
現在、伝説の使い魔、“ガンダールヴ”の疑いがある、平賀サイトである。

「あの動き、まさしくガンダールヴではないですか?」
「いや、そう早合点するでない。
第一、もしガンダールヴだとして、お主はどうするつもりじゃね?
ミスタ・コルベール。」
オスマンが鏡から目を離さぬまま問う。
その横顔からでもわかる鋭い眼光にたじろぎつつも、コルベールは答えた。

「……王室に報告……ですかな。」
「それは駄目じゃ。」
「どうしてですか?これは世紀の大発見ですよ!現代に蘇ったガンダールヴ!」
「ミスタ・コルベール。君は、戦争がしたいのかね?」
「……っ!」

オスマンはコルベールを睨みつける。
そして、それと同時に気付いてしまった。
自分の思慮の浅さに。

「王室に報告なんぞしたら、上のバカ共はガンダールヴを使ってまた戦争を起こしかねん。
あの暇人共は戦が趣味らしいからの。
使い魔も主も、王室に連れて行かれ、玩具扱いになるじゃろう。
のぅ、ミスタ・コルベール。」
「……申し訳ありませんオールド・オスマン……私が浅はかでした。」

素直に頭を下げる。

「よいよい、ミスタ、まだまだ若いのじゃ。
精進せい。」
「はい……!」

そんな会話が部屋で行われている最中、鏡の中の少年がこちらに向かってニヤリと笑っていた。








その日の夜、サイトは外で肉を焼いていた。
腹が減ったらとりあえず肉。
この身体になってから、随分と腹が減る。
これも龍だからか?
と思いながら、サイトはある名を呼ぶ。

「……Sソル。」

右腕が銀に変わる。
ゴツゴツとした籠手が右腕を銀に輝かせ、月の光を浴び、さらなる輝きを見せた。
先の決闘では、防具を使うことはなかった。
何故なら、自分のスピードを落としたくなかったからだ。
何よりそれは、ギーシュ・ド・グラモンを相手取るには最善だと思ったから。

「ドラゴン。」

どこまでも黒い漆黒の翼を持った鎧を纏う。
装着するだけでとてつもない強さが手に入ったようだった。
何故このような人気の無い場所に深夜にサイトがいるのか。
それは間違ってもご主人様に怒鳴られて、「し、し、心配したんだから……っ!」
等と涙目で言われた挙句、抱きつかれて大泣きした後ルイズが寝てしまったのを尻目にトイレに出かけたら、フレイムの主人に色仕掛けされた結果逃げ回っている最中に見つけた場所で、草むらも多く人の気配もまったくなかったので、隠れるにも丁度いいと思ったからでは断じてない。
断じて……。

「はぁ……はぁ……アイツ……どこにいったのよ……。」

ビクッ!
まぁ、ぶっちゃけそうなのだが。
驚きのあまり装備品を全て戻した。
ま、不味い……。
今ここを立てば、肉は生焼け。
そんなものは許されない。
こっちくんな。精一杯の念を送るサイト。
しかし、願いも空しくキュルケはこちらの草むらに近付いてきた。
万事休すか……?
と、思ったその時だった。

「キュルケじゃないか。
 どうしてこんなところに?」

太った男子生徒が何かを食べながらキュルケに声をかけた。

「あら、マリコルヌ。
 貴方こそ何故?」

マリコルヌと呼ばれた彼は、眠そうな眼をしながら、額のくるっとした巻き毛みたいなものを触りながら、これまた眠そうにキュルケを見据えた。

「あぁ、また太ってきてさぁ。
 少しでも痩せようと思って歩いてたのさ。」
「ふぅん。
 あんた、無駄な努力はやめなさいよ。」
「無駄とは何だ。
 せっかくキミがお探しの人物の居場所を教えてあげようとしたのに。」
「なんですって!?」

オワタ。
今、サイトの中にいるのは、コイツ→\(^0^)/である。
ってかコイツどっから出てきたんだ……!
しかし、マリコルヌのとった行動は予想とは違った。

「あっちの校舎に入っていくのを見たよ。
 くまなく探してみたらどうだい?」
「あっちね?
 ありがとうマリコルヌ。
 減量がんばってね~♪」
「言われなくても。」

と、言って、キュルケは去っていった。

「出て来ていいよ、平民。」
「……すまないね。
 貴族様。」

どういうつもりか、彼は自分を助けてくれたらしい。
そして、途端にあたりの風がやんだ。

「彼女が風で煙を飛ばしてなかったら、見つかってたよ?
 感謝しなよ。」
「彼女?」

サイトはあたりを見回す。
すると、いきなり後ろから誰かが肩を叩いてきた。
振り向くと、そこには青い髪とメガネ。

「タバサ?」
「迂闊。」

そう言って、持っていた巨大な杖で小突かれた。
ちょっと痛かったので睨みつけた。

「いやぁ、助かった。
 ホント助かった。
 お礼と言っちゃなんだが、肉、食べない?
 今焼くからさ。」
「……いいの?」
「おうおう、俺にお礼もさせないとか言わないでくれよ?
 そっちの……誰だったかな?
 あんたも一緒に。」
「いいの?
 じゃあお言葉に甘えて。
 実はお腹すいてたんだよね。」

















「う……!」
「う……!」
「「うまい……っ!」」

“風上”のマリコルヌ・ド・グランドプレ。
風のドットメイジ。
“雪風”のタバサ。
若きシュバリエにして、トライアングルのメイジが、サイトのこんがり肉の餌食となった。

決闘と斬破刀

「……いつも……こうなのよ。」

ルイズがほうきで教室を掃きながら口を開く。
ルイズの錬金術は、失敗し、周囲を爆発で巻き込んだ。
一番近くに居たはずのルイズは少し服がすすけているものの、怪我は一切ない。
が、シュヴルーズは気絶。
その後、保健室に移送。
当然授業は中止である。
残ったルイズとサイトは教室の片づけを命じられた。

「いつもいつも、どんな魔法を使っても、
 爆発爆発。
 魔法成功率「ゼロ」のルイズ。
 それが私の二つ名の由来よ。」
「…………。」

サイトは口を開かずに黙々と掃除を続ける。

「……呆れたでしょ?
 これで貴族ってんだから、笑っちゃうわよね。」

そういうと、ルイズは自嘲気味な笑みを浮かべる。
サイトは、ルイズに近づくと石をルイズの手に乗せる。

「…………?」
「それがお前の武器。」
「……は?」
「だから、それがお前の武器だって。」

ルイズは首をかしげた。
何を言ってるんだこいつは。

「とんでもねー威力の爆発。
 俺の世界の兵器並の爆発を、こんな石みてーな小さいので出せるんだ。
 お前の魔法は、とんでもなく凄い。」
「え?
 そ、そうなの?」
「あぁ、もちろんだ。
 それに、「ゼロ」じゃないだろ?」

そういうと、サイトは笑った。
元から、端正な顔立ちではあったので、ルイズはどきりとする。

「俺。
 俺を召喚した。
 それで、「ゼロ」じゃない。
 きっとお前は凄いメイジになれるさ。」
「……ほんと?」
「あぁ、保障するよ。」
「……そ、そうよね!!
 あーあ!!私らしくもないわ!!
 さっさと片付けて、お昼ごはんにするわよ!!」
「……ふっ。
 はいよ、ご主人様。」

最後にちいさな声で、「ありがとう」と聞こえたのは、聞こえないふりをしておいた。









食堂に到着。
サイトはルイズの座る椅子を引き、その横の床に胡座をかいて座った。
カチャカチャとメイドが食事を並べていく中で、サイトはシエスタを見つけ、小さく手を振る。
シエスタも気付いてくれたらしく、少し控えめに笑った後、すぐ仕事に戻った。
そして、自分の皿を見ると、今朝と同じパンとスープに加え、鶏肉の皮が添えてあった。

「く、癖になるといけないから、今回だけよ!」

ご主人なりのお礼に思わずくすりと笑うが、とりあえず口の動きだけで礼を言う。
ルイズは顔を赤らめてそっぽを向いてしまったが。
サイトは、そのご飯をペロリと平らげた。








「なあ、ギーシュ! お前、誰と付き合っているんだよ!」

ある男子生徒の声が聞こえる。
どうやら恋愛の話になると、どこの世界でも騒ぎ立てるやつは絶えないようだ。

「誰が恋人なんだ? 教えろよ、ギーシュ!」

ギーシュと呼ばれた金髪の男子生徒は、気障ったらしく薔薇を手に大仰に答えてみせた。

「つき合う?
 付き合うだって?
 僕にそのような特定の女性がいるわけないだろう。
 薔薇は、多くの人を楽しませるために咲くのだからね。」

リア充爆発。
この台詞がサイトの頭に流れた。
彼女でもいれば向こうの世界も楽しかったのだろうかと考えてみたが、そんな姿を想像するだけ無駄だと思ったのでやめた。
ごとんという音がして、意識をギーシュに向ける。
足元に紫色の小瓶が、転がっていた。
どうやらポケットから落ちたらしい。
サイトの嗅覚は、ハンターと同等か、それ以上である。
ふたが閉まっていようが、ここからでも匂いはわかる。なんの匂いかはわからなかったが、香水であることがわかる。

「あの……すみません貴族様。」
「ん?なんだい?」

シエスタが、恐る恐ると言った感じで声をかけた。

「申し訳ありませんが、こちらの小瓶はあなたのものですか?」

足元の小瓶を拾い上げ、ギーシュに差し出す。

「これは僕のじゃない、君は何を言っているんだね?」

が、周りの友人達はその小瓶の出所に心当たりがあったらしく、大声で騒ぎ始めた。

「おお?
 その香水は、もしや、モンモランシーの香水じゃないのか?」
「そうだ!
 その鮮やかな紫色は、モンモランシーが自分のためだけに調合している香水だぞ!」
「そいつが、ギーシュよ、お前のポケットから落ちてきたってことは、つまりお前は今、モンモランシーとつきあっている。そうだな?」

面白い。
修羅場が始まりそうだ。
サイトはニヤリと笑う。
その視線は、ギーシュの後ろで泣きそうになっている茶髪の女生徒を見ていた。









バシィッ!!
「さようならっ!」

ギーシュ・ド・グラモン。
属性は土。
ランクはドット。
軍人一家の四男に産まれ、将来は父のような軍人を夢見ている。
そのギーシュは、今冷や汗をかいて、そして、両頬に紅葉を描いていた。彼の二股の相手、ケティとモンモランシーによってである。
そして、たった今ふられた。
隣の友人達はポカンとした顔でギーシュを見ていた。
この騒動で自分の印象が悪くなると感じ、フォローにでた。

「か、彼女等は薔薇の魅力が理解できないようだね。」

苦し紛れだった。
が、ギーシュはとにかく話題をそらしたかった。
これでは今まで築いてきた自分への友人の評価がだだ下がりだ。
横を見ると、小瓶を渡してきたメイドが呆けていた。
誰かは知らないし、(平民の名前を覚えるのも無駄なので、知ろうともしないが)美しいとは思うが、所詮平民。
ここは、このメイドを盾にする事にしよう。

「おい、お前!
お前が小瓶を拾ったせいで二人のレディが傷ついてしまったじゃないか!」

もはや、ギーシュには責任転嫁しかなかったようである。

「え?
あ、そ、その!も、申し訳ありま「シエスタ、謝る必要なんざねーぞ?」」

謝ろうとしたシエスタの言葉を誰かが遮った。

「全部そいつの自業自得。
シエスタが謝る必要なんざまったくない。
だよな!貴族様達よお!」
「そうだ!
ギーシュ!二股なんてしていたお前が悪い!」
「責任転嫁なんてカッコ悪いぞ!」

非難の声があがる。
最初に周りを煽ったやつの声がした方を睨む。
その先には、白髪で赤い眼をした平民が立っていた。
ニヤニヤとした笑みを浮かべている。

「君は……確かルイズが召還した平民の使い魔じゃないか。」
「あぁ、そうだぜ?薔薇君?」

貴族を前にしてこの態度。
ギーシュは粛正が必要と判断した。

「たかが平民が……流石、「ゼロ」のルイズの使い魔だ。
貴族に逆らうなんて、よっぽどのバカと見える。」
「残念ながら、二股やってんのがバレて、両頬に手形作ってるバカが目の前にいるんでな。
そいつよりは頭がいいと思うぜ?」
「貴様……言わせておけば……いいだろう!
その言葉!僕への挑戦とみなすぞ!
君に決闘を申し込む!」









「さ、サイトさん……?」
「ん?どうしたシエスタ。
顔が青いぞ?」

シエスタは顔を真っ青にして、小声で呟いた。

「あ、あなた……殺されちゃう……。」

それだけ言い残すと、シエスタはギーシュが去っていった方とは逆方向に走り去ってしまった。
それと入れ替わりにルイズが血相を変えて駆け寄ってきた。

「あ、あんた何やってんの!?」
「ん?
あぁ、決闘するんですって。」

へらへらと笑うと、サイトはパーカーのポケットに手を突っ込み、歩き出す。

「ヴェストリの広場まで、案内頼む。」
「あぁ、ついて来な、平民。」

ギーシュの友人の一人が先導し、サイトを誘導する。
その後ろを、ゾロゾロと貴族達がついていく。
どうやら皆暇らしい。

「え?ちょ!サイトォ!」

後に残ったルイズも、ヴェストリの広場に走った。









「ミス・ロングビル。今日は何色かね……?」

オールド・オスマン。
このトリステイン魔法学校の学園長である。
かつては四系統の魔法全てを極めたと言われる、歴戦のメイジである。
その口もとのヒゲと、長い白髪にいかにも魔法使いのようなローブを着こんでいる歴戦のメイジは退屈していた。

「オールド・オスマン。申し訳ありませんが意味が分かりかねます」
「ワシは何色と聞いておるのじゃよ……?
 ミス・ロングビル。ワシくらいの男児が色を聞いたら一つしかあるまい?」

ミス・ロングビルと呼ばれた女性は軽くプルプルと震えた後、ため息をつき、呟いた。

「…………黒ですわ。」
「ヒャッホウ!!ワシの勝ちじゃよ!モートソニグル!」

イヤラシイ目で笑った後、自らの足元の鼠へと話しかけた。
彼の使い魔と思われるその鼠は、主と同じ様な目つきでニヤニヤと笑っている。

「オールド・オスマン。朝からそのような下卑た事ばかり仰るのでしたら・・・私にも考えがありますよ?」

彼女の周りからドス黒いオーラの様な物を感じる。
窓や机が振動しているような気もする・・・。
この世界にはいつのまに“気”という概念が存在したのだろうか。
あ、なんか後ろに見える。
ス、「幽波紋」(スタンド)ッ!??

「……ごめんちゃい……。
 寂しいジジイの言う戯言じゃよ……ボーナス1割増しするからアレだけは止めて欲しいのじゃ……。」
「そうですか。
 反省されているのなら私も今日の所は水に流しましょうボーナス2割増しして下さる事ですし」
「え……?わし、一割って…… 「何かおっしゃいましたか?」」

人のものとは思えない殺気が部屋を支配した。
モートソニグルにいたっては泡を吹いて意識を失っている。
セクハラに対する女子の怒りは、どうやら火竜の咆哮をも上回るらしい。

「……ゴメンナサイ……。」

コルベールが学院長室の前へと到達すると、扉一枚隔てた向こうから言い知れない殺気を感じた。
炎蛇のコルベールと呼ばれた彼にさえ感じた事の無い種類の殺気である。
呼吸を整え、いざ扉を開く。

「失礼します。オールド・オスマ……どうなさったので……?」

部屋のドアを開けると、軽く意識を手放しているオールド・オスマンと自らの席に鎮座している
ミス・ロングビルが彼を出迎えた。

「だ、大丈夫じゃ……ちと、やりすぎただけじゃ……のぅ、モートソグニル。」

足元の鼠は、いまだ泡を吹いて気絶している。
視線をミス・ロングビルにむけると、我関せずといった感じで黙々と自分の仕事を行なっていた。
コルベールは、少し考えたが、そういえばいつものことだったと思いなおし、オスマンに一つの本を差し出した。

「オールド・オスマン、昨日の使い魔召喚の儀についてなのですが……。
 ご報告したい事が。」
「“始祖ブリミルの使い魔”?
 また随分と古い本を……ん?」

そのコルベールの渡した本の一ページに、一枚の紙がはさまれていた。
オスマンは、そのページをめくる。
途端、先ほどロングビルの殺気におびえていた好々爺の面影は、消え去った。

「ミス・ロングビル。
 席をはずしてもらえないかね?」
「……かしこまりました。」

ロングビルが退室して行く。
オスマンは、テーブルの下から、パイプを取り出し、一服する。

「……詳しい話を聞こうじゃないか。
 ミスタ・コルベール。」









「決闘だ!
 ギーシュが決闘するぞ!
 相手はあのルイズの使い魔の平民だ!!」

ヴェストリの広場に声が響いた。
中心に立つのは、薔薇の杖を持ったギーシュ・ド・グラモン。
そして、紅の眼を輝かせたサイト。

「まずは、逃げずに来た事を褒めてやろうじゃないか。
 が、平民君。キミは無謀だよ。」
「無謀かどうかは、俺が決める。
 勝てない相手なら、絶対に戦わないしな。」
「……言うじゃないか……。
 僕はギーシュ。“青銅”のギーシュ。
 土のメイジだ。故に、僕は魔法を使って、キミをたたきのめす。
 来い……っ!“ワルキューレ”!!」

ギーシュが杖を振ると、土が一か所に集まり、石像の形となる。
それを、キュルケはつまらなさそうに、タバサは興味深そうに見ていた。

「ねえ、タバサ。
 あなたどっちが勝つと思う?
 賭けしない?」
「……構わない。
 明日のお昼ごはんでどう?」
「オッケー。
 じゃ、あたしから。
 ギーシュにサラダとデザート。」
「……じゃあ、サイトに全部。」
「……正気?
 あんた、明日何も食べないつもりなの?」

キュルケが、信じられないといった眼でタバサを見る。
タバサは、静かな声で、こう言った。

「私は全部賭けた。
 なら、あなたもそうするべき。」
「ふふふ……明日が楽しみねぇ……。
 いいわよ。」

タバサは、にやりと笑うと、サイトに視線を戻し、つぶやいた。




「――――――始まる。」







「くっ……一々すばしっこいな!
 平民ごときが!!」
「鬼さんこちら……手のなる方へ……って、なっ!」

先ほどから、サイトは回避に徹している。
故に、ギーシュは攻撃の手を緩めない。
一体だけだったワルキューレは二体、三体と増えていき、現在では自分が出せる最高の六体のワルキューレがサイトに襲いかかっていた。

「くそっ!!
 なんで当たらないっ!?」
「そりゃあお前の指揮が下手だからだろ?
 指揮者がしっかりしないと、オーケストラは回らない。
 なぁ、ギーシュ。」
「くっ、黙れ!!」

槍を持ったワルキューレが、サイトのこめかみを捉えた。
が、サイトはしゃがんでワルキューレの足を払う。
バランスを崩したワルキューレに、蹴りを一発お見舞いし、バク転で距離を取る。

「はぁ……はぁ……。
 くそっ……!」
「ふぅ……ま、でもよ。
 いい眼だと思うぜ?
 俺を見る眼。俺を、屈服させようとする眼……おしいんだけどなー。
 もうちょっと殺気がこもってれば、狩人になれたのによ。」
「ぼ、くは……貴族だ!
 狩人なんて、ならない……っ!」
「……そいつは残念だ……。」

サイトはやれやれと首を振る。
そして、腰のベルトからハンターの必需品である剥ぎ取りナイフを抜いた。

「さて……そろそろ準備運動はここまでとしよう。
 だいぶこの身体の使い方にも慣れてきたしな。」
「はぁ……はぁ……準備運動……だと?」

ギーシュは戦慄した。
あれだけ激しい動きを続けていたのにも関わらず、この平民は息も切らしていない。
ただでさえこちらはワルキューレの運用に精神力を使っていると言うのにだ。

「そう、準備運動。
 さて、ここでびっくりなイリュージョン!
 はい、これ。
 なんに見える?」
「何にも何も……ただのナイフだ。」
「そう!その通り!!正解だ!」

そう言って拍手をするサイトに、苛立ちを隠せないギーシュは、声を荒げた。

「それがなんだというんだ!!
 こないのならこちらから行くぞ!!“ワルキューレ”!!」

剣を持ったワルキューレが二体。
サイトに切りかかった。
だが、

「お疲れさん。」
「なっ!?」

サイトは、そのナイフ一本でワルキューレの剣撃を受け止めた。
これには、周りの観客達も驚くばかりである。

「さてさて、このワルキューレちゃんの槍と、剣をいただきまして。」

そういいながら、ワルキューレを蹴り飛ばし、剣と槍を奪う。
すると、サイトはポケットに槍と剣を収納した。
勿論、“次元の裂け目”を使用して。

「なっ!?
 け、剣をどこにやったんだ!」
「そんなことどうでもいいじゃんよ、ギーシュちゃんさぁ……。
 さてさて、サイト=ヒラガのビックリショー……!
 皆様、ご堪能下さい?」
「……来る。」
「え?た、タバサ?」

タバサがその眼鏡越しの眼でサイトを凝視する。
訳も分からず、キュルケもである。
サイトはポケットに手を突っ込み、次元の裂け目から何かを掴んだ。

「“鬼哭斬破刀真打”」

その剣は身の丈ほどある片刃の剣。
ギーシュは見た事もない剣だったが、何よりもその剣に驚いた所は、刀身が雷を纏っているところである。

「――――――美しい……。」

ギーシュはその剣に見とれていた。
だからなのかは知らない。
気づいたときにはワルキューレは残らず青銅の塊になっていた。

「……え?」
「ボーっとしちゃ駄目だろ?
 ほら、ギーシュ。
 まだ終わってない。
 俺はここに生きているし、お前はその薔薇の杖を落としても無い。」

サイトは鬼哭斬破刀真打を軽く振った。
すると、ギーシュの前に一筋の雷光が音も無く落ちてきた。

「ぐっ……!」

その雷が、地面を伝ってギーシュの身体を駆け巡る。
その痛みで、ギーシュは杖を落としてしまった。

「はい……おしまい。
 これからは浮気なんて馬鹿な真似をしないように……。
 あ、後、ルイズをゼロだなんだって馬鹿にしないように……あぁ、もうひとつ。
 平民だからってやつあたりしない事。
 以上、じゃあな」

サイトは、杖の落下を確認すると、ポケットに鬼哭斬破刀真打をしまい、その場を立ち去った。
広場は静寂に包まれていた。
それもそのはずだ。
平民が、最低ランクのドットメイジとはいえ、貴族に勝利した。
それは、いままでの常識であった平民はメイジにかなわないという常識が覆された瞬間だったからである。
ギーシュは、一人広場の中心でへたりこんだ。
そして、つぶやく。

「――――――――――完敗だ……。」

洗濯と爆発

それからしばらくして、サイトは窓を見た。
夜が明け、朝日が登ってきていた。

「じゃ、俺洗濯行ってくるわ。
お前は学校の準備してろよ?」

立ち上がり、洗濯物であるシルクのパンツを拾い上げ、出て行こうとする。

「あ、待って。
これもお願い。」

そう言うと、ルイズは来ていたネグリジェを脱ぎだした。
とっさにサイトが目を逸らす。

「じゃ、頼んだわよ。」

恥じらいとかないのかなあの主人は……。
そう思いつつもネグリジェを拾い上げ、部屋から出て行くサイト。
ルイズは自分の服に着替えると食べた肉の余韻に浸っていた。








「洗濯するっつってもなぁ……。
この世界の科学レベルからして洗濯機とかなさそうだから……もみ洗いか……。」

シルクとか洗うの初めてなんだけどなぁ……。
優しく手揉み洗いしなきゃかな……?

「ってかあれだ。
水場探さねーと。」

洗濯なんざできねーしな。
そう独り言を呟くとサイトはとりあえず歩き出す。
幸い、ハンターとしてのスキルなのか水の匂いがわかるのでそれを辿っていことにする。

「あわわわわわわわ……!」

ふと横を見ると、洗濯物の山がこちらに向かってくるのがみえた。
洗濯物はふらふらっとよろけている。
正直ほっといても良かったが、とりあえずルイズの洗濯物を山のてっぺんに乗せ、
上半分を持つ。

「え……?
あ、その……?」
「手伝うよ。」

洗濯物からでた顔は、こちらの世界では珍しい艶やかな黒い髪に、端正な顔立ちをした少女だった。
髪にはヘッドドレスがついていたことから、メイドのようなものだろうことがわかった。
流石貴族。学校にメイドがいるなんてな。
素っ気なく無表情で答え、歩き出すサイト。

「あ、待ってください!」

後ろから駆け寄ってサイトの三歩後ろにつくメイド。
ハンターの嗅覚を使い、メイドの持っていた洗濯物ごと、水場へ向かった。









「へぇ……あなたがミス・ヴァリエールが召喚した平民さんだったんですかぁ。」
メイド……シエスタが洗濯しながら会話を続ける。
洗濯をしながら、サイトはシエスタから様々な質問を受けていた。
名前、出身地、年齢、好きな食べ物。
なんだか懐かれたようである。
出身地についてはどこだったか忘れたと言ってごまかしたが。

「さっきから思ってたんだけどさ。」
「はい、なんですかサイトさん?」

満面の笑みを浮かべながらサイトに顔を向ける。
とても上機嫌なようだ。

「シエスタの髪、綺麗だな。」
「え?
そ、そうですか?」

シエスタは少し恥ずかしそうに黒い髪の毛に触れる。
うっすらと頬を赤らめるその表情はとても可愛らしかった。

「俺も前まではそんな感じの髪の色だったんだけど……色々あってさ。」
「へえ~。
召還された時に何かしらあったんでしょうか?」

一度生まれ変わったなどとは言えない。
さて、このような雑談を交わしながら洗濯を進めていると、
どこからか視線を感じる。

「……?」
「どうしました?」
「いや、ちょっとな……。
……そこ。」

ビュッとポケットに入れていたこんがり肉の骨を樹に投げつける。
骨は回転しつつ樹に向かう。

かんっ
「っ……!」

小さい呻きと共に落ちてくる小さな影。

「おいおい……覗きはいけねーな……貴族様?」
「…………迂闊。」

むくりと起き上がる貴族と呼称された影。
青い髪と小さな体躯に合わぬ大きな杖。
その眼は若干気怠げで、眼鏡をかけた女生徒だった。

「あわわわわ……さ、サイトさん!
き、貴族様になんてことを……!」
「いい。
元々隠れて見ていた私が悪い。」
「おぉ、寛大な貴族様みたいで感謝感謝。
ま、覗きはいただけないがな。」

少しおどけてみせるサイト。
青い髪の少女は立ち上がり、服についた埃をはたいている。

「で、俺になんか用か?
貴族様。」
「タバサ。」
「あ?」
「私はタバサ。」

落ちた時に少しズレた眼鏡を直しながら自己紹介をするタバサと名乗る少女。
何が目的なのかは知らないが、わざわざ名乗るところを見ると、敵対する訳では無さそうだ。

「そうかい。
俺は平賀才人。
いや、こっちじゃあサイト=ヒラガか。
こっちはメイドやってるシエスタ。」
「ん。」

タバサがシエスタの胸元をチラッと見る。

「……はぁ。」
「?」

頑張れタバサ。
負けるなタバサ。
大きくなる日はきっと来る。
そんな言葉が浮かんでくるサイトだった。








さて、あの後タバサに洗濯を手伝ってもらい、主の洗濯物等が早く片付いたことに頬を緩ませるサイトの横顔を、
少し顔を赤らめたシエスタがちらちら見ていた件は割愛させていただくとして、
サイトは二人と別れると、主の部屋に戻ろうとした。
が、

「やべ……匂いが途切れてやがる……。」

サイトが部屋で肉を焼いたのはもう一つ理由がある。
それは、肉の匂いを辿り、ルイズの部屋にいつでも戻れるようにしていたこと。
だが、何故か匂いが途切れていた。
これでは帰ろうにも適当に水の匂いを辿っていただけのサイトでは帰れない。

「参ったなこりゃ……。
ん?」

ふと視線を横に向けると、緑色の髪をした女性がいた。
何か難しそうな顔をしている。

「あ、そうだ。
あの人に聞こう。」

そうだ。
道を聞けばいいではないか。
サイトはその緑色の髪の女性に駆け寄った。

「あの、すいません……。」
「ん?
あぁ、何かご用ですか?」

女性が振り向く。
緑色の髪を後ろでひとまとめにし、眼鏡をかけた美人がサイトを凝視した。

「あの、俺ルイズの使い魔やってるサイトってもんですけど。」
「まぁ、あの人間の使い魔さん!
これはどうも……私、この学園の学園長秘書を勤めさせていただいているロングビルと申します。」

ロングビルと名乗るこの女性が、手を伸ばしてくる。
サイトも手を伸ばして握手をする。
が、その途端にロングビルの顔が驚愕に染まった。

「あの……どうかなさいましたか?」
「え?
あ、あぁ、いえ、すみません。
少々考え事をしていたもので。」

サイトは少し怪訝な顔になったが、とりあえず部屋に帰るのが先だと思い、本題を切り出した。








「すいませんお世話になりました。」
「いえいえ、人間の使い魔なんて興味深いものを観察できただけでも有意義でしたわ。」

ルイズの部屋の前で談笑する白髪の少年と緑色の髪の女性。
今女性は、この少年が何者なのかが気がかりだった。
先程この少年と握手した際に、ディティクト・マジックをかけた。
すると、見えたのは通常の人間よりも、明らかな差がある筋肉。
この少年の身体のどこにこんな……?
だが問題点はそこではない。
彼の身体に流れる血。
人間の血に混じる多種多様な血。
これは……“龍”の血だ……。









「遅い!」
「すまん。
水場がわからなくってさ。」

サイトが部屋に帰ると、主人がご立腹だった。

「っていうかまだ寝間着なのか!
さっさと着替えなさい。
もう朝だぞ。
学校じゃないのか?」

呆れ顔のサイト。
自分の毛皮の布団をまとめて、部屋の隅に重ねて積む。

「ええ、学校よ。
だから、服。」
「タンスか?
はいはい。」

クローゼットから制服らしき服を取り出し、ルイズに渡す。

「下着も。」
「はいはい。」

引き出しの一番下を開けると下着が大量に入っていた。
若干引きつつも、その中の一枚を取り出し、ルイズに投げた。

「着せて。」
「……………………正気かお前。」

昨日から思っていたが、こいつは恥じらいがないのだろうか。

「だってあんた使い魔じゃない。
そこらの犬とおんなじよ。」
「一応俺男なんだけどな……。」

人間扱いされてないことに落胆しつつも、ルイズの服を脱がしていく。
もとから性欲はあまりないので欲情はまず有り得ないのだが、
なんせ初めてみる女性の裸体だ。
凹凸が少ないとはいえ、目に毒なのは変わりなかった。









「おはよう、ルイズ。」
「……おはようキュルケ。」

二人が支度を終え、いざ授業へと扉を開ける。
すると、燃えるような赤い髪に、露出の高い服を着た褐色の肌の女性が立っていた。
見たところルイズと同じ学生だが、その身体は大人顔負けである。
サイトは大して興味が無いのかさっきから骨で遊んでいる。

「あら、本当に人間なのね~!」

ルイズを余所にサイトを観察する女生徒。
視線を感じてか骨で遊ぶのをやめ、ポケットに次元の裂け目を起動し、しまう。

「私はキュルケ。
キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アインハルツ・ツェルプストー。
よろしくね使い魔さん。」
「サイト!
よろしくする必要は無いわよ!」
「あら、使い魔だからってそこまで拘束することないじゃない?
胸も人としても相変わらず薄っぺらいわねぇ。」
「む、む、む、胸の話はしてないでしょうが!
あなたこそ毎日毎日発情してんじゃないわよこの色情魔!」
「だぁーれが色情魔ですって?
まな板娘!」
「誰がまな板よ!」
「お前ら仲いいなぁ……。」
「「誰が!」」

若干引いた。

「でも、使い魔にするならやっぱりこういう方がいいわよね~。
おいでフレイム。」

キュルケの背後からのそのそと歩いてくる赤く巨大なトカゲ。
サイトはハンターの記憶から火竜を思い浮かべるが、それにしては顔が平べったい。
それに、興味も再び失った。
サイトは主とその友人の口論を見ていたが、いつの間にかフレイムが傍らにいた。

『兄ちゃんも大変だなあ?』
「あぁ、まったく。
あ、お前喋れんの。」
『いや、なんつーか……テレパシーみてーな?』
「ふうん……。
ま、使い魔同士よろしくな。」
『あいあい、よろよろ。』

若干チャラい感じの女性の声がサイトの頭に響いた。
これがテレパシーか……と、主達の喧嘩を余所に、一人頷くサイトだった。









「皆さん、春の使い魔召還の儀式は無事終了したようですね。」

黒板の前に立つ如何にもな格好をした少々太めの女性が教室を見渡す。
教室には一つ目の魔物、カエル、蛇等、様々な使い魔と呼称される生き物が勢ぞろいしている。
サイトは主人の横の床に座っていた。
キュルケのフレイムも一緒である。
なんでかと言うと口論があの女性が入ってくるまで続いていたからである。
やっぱりこいつら仲いいよな……。
と、キュルケを未だに睨む主に呆れるサイト。
キュルケもルイズを睨んでいる。
フレイムと共に溜め息をついた。

「『……友よ。』」

知らぬうちに使い魔同士の友情が生まれたらしい。
実際、朝ご飯すら一緒に食べた仲である。
朝ご飯の最中まで口論するのは勘弁して欲しい。
フレイムが肉を少しくれたので今度こんがり肉をご馳走することにしよう。

「おや、ミス・ヴァリエールは随分珍しい使い魔を召還したようですね。」

黄昏ていたらいつの間にか女性がサイトの前に来ていた。
するとどこからか非難の声がする。

「ゼロのルイズ!
召還出来なかったからってそこらに歩いてた平民を連れてくるなよ!」
「違うわよ!
ちゃんと召還できたわよ!
こいつが出てきちゃっただけ!」

売り言葉に買い言葉。
お前どんだけ口論するつもりだ。
すると、サイトの前にいた女性が懐から杖を取り出して一振り。

「んぐっ……!」
「お友達を侮辱するのもいい加減になさい。
あなたはそのまま授業を受けてもらいます。」

ルイズの悪口を言った男子生徒の口に、赤い粘土のようなものが詰まっていた。
なる程……こいつが魔法……か?

「ミス・ヴァリエールもそこまでです。
授業を始めますよ?」
「はい……申し訳ありません。」

ルイズは素直に頭を下げたが、納得が言っていないようだ。
女性は教壇に戻ると、こちらを振り向いた。

「私の二つ名は“赤土”。
“赤土”のシュヴルーズです。
これから一年間、あなた方に“土”の系統魔法を講義します。
魔法の四大系統魔法はご存知ですね?
ミスタ・マルコリヌ。」

シュヴルーズと名乗ったその女性が再び杖を振る。
すると、先程口に粘土を突っ込まれた太った男子生徒の口の粘土が消え去った。

「は、はい。
“土”、“火”、“水”、“風”の4つです。」

どうやらこの世界には4つの系統の魔法があるらしい。
さらに、失われた“虚無”の魔法の全部で五種類。
そして、先程彼に対してシュヴルーズが行ったのも“土”の魔法なのだろう。
なんだか錬金術でもできそうな勢いだな……と思っていたら、シュヴルーズは杖を振り、ただの石を数個出現させた。

「錬金。」

石を黄金色に輝く石に錬金させた。

「おいおいマジかよ……。」

本当に錬金術が出来るようだ。

「ご、ゴールドですかミセス・シュヴルーズ!?」
「いえ、真鍮です。
私はただの……トライアングルですから。
ゴールドが錬金できるのはスクウェアでも熟練の者でないと。」

いや、真鍮って合金だろ?
そっちの方が純金より難しいんじゃ……と思ったが、それよりも気になる単語があったのでフレイムに聞いてみた。

『メイジの強さと系統魔法の合わせられる数を示すもの。
一番雑魚いので“ドット”。
2つの系統魔法を合わせられる“ライン”。
3つ合わせられる“トライアングル”。
4つ合わせられる“スクウェア”。
あとは王様っぽい奴しか使えない“ヘキサゴンスペル”なんてのもあるみたい。』
「ほほう……。」

どうやら能力の違いを形でわけているらしい。
そこでふと思い出す。

「なあルイズ、ルイズは「では、ミス・ヴァリエールに錬金を実践してもらいましょう。」」

質問をシュヴルーズに遮られた。
内心舌打ちしつつも、視線を元に戻すと教室が騒然としていた。
キュルケが何故か必死で止めている。
なんで?別に構わないだろ?ルイズだってメイジなんだし。
それに、ルイズはどれなのか気になる。

「ルイズ!
 お願いやめて!!」

キュルケが必死に懇願していた。
キュルケが言ったからか、負けず嫌いな性格だからなのかは知らないが、
覚悟を決めたような顔で、

「やります!!」

と、一言。
キュルケはため息をつき、自然な流れで机の下(・・・)へ。
他の生徒も机の下に避難していた。

「え?え?なにこれ?」

一体何が始まるのかさっぱり理解できていないサイト。
教壇に向かうルイズ。
そして、

「さぁ、錬金したい鉱物を思い浮かべるのです……!!」

無駄にテンションの高いシュヴルーズ。

『ど、どういうことなのかしら……?』
「いや、知らん。
 とりあえずお前も隠れたらどうだ?」
『そ、そうさせてもらうわ。』

フレイムが普通の口調になるくらい異様な光景である。
フレイムは自分の主の元へ。
サイトは今から何が始まるのか見届けるために、その場に立ちあがる。
ルイズはぶつぶつと何かをつぶやいている。
魔法の詠唱とかいうやつだろう。
決して見逃すまいと、サイトは眼を凝らす。
そして、ルイズの杖が振り下ろされた瞬間。









―――――――――石は光と共に爆発した。

契約と夜食

才人は目の前の人の群れに呆然としていた。
なんだこいつら……髪染めまくりだな。
いや、違う世界なんだし当たり前か。
それに、前の俺はともかく、今の俺が言えたことじゃないな。
才人の目の前のピンク色の髪の女の子が怪訝そうな顔でこちらを見て、口を開いた。

「あんた……誰?」

……いきなりあんた呼ばわりとはな。
才人は呆れたが、ブリミルの言葉を思い出す。
この少女が自分をここに、この世界に喚んだ“彼女”なのだろう。
ならば、礼を言うべきだ。

「あんたが俺を召喚した奴か。」

口を開く。
第一印象位はよくしておきたい。

「ありがとう。
おかげで退屈な世界から出られた。」

なんか一杯魔物っぽいのがいるな。
狩り……はダメだな。

「俺の名前は平賀才人。
よろしくな。」






ルイズは唖然としていた。
サモン・サーヴァントは通常、幻獣、生物等を呼び出す魔法。
しかし、サモン・サーヴァントに導かれ出てきた自分の使い魔は、白い髪に白い肌、そして紅い瞳の平民だったのだから。
やっと状況を理解できたルイズは、
教師であるコルベールに詰め寄った。

「ミスタ・コルベール!
やり直しをさせて下さい!」

そう、まだ契約はしていない。
だからもう一度呼び出せば今度こそ……。

「残念だが、それはダメだミス・ヴァリエール。」

だが、その僅かな希望は打ち砕かれた。
コルベールは続ける。

「確かに平民を召喚する等異例のことだが、だからといって召喚してしまったのだ。
それに、いささか時間も押してきている。
申し訳ないがコントラクト・サーヴァントを早く。」

それを言われるとぐうの音もでない。
周りを見ると、何人かの生徒が、だれていたのがわかった。






気の強そうな奴だな。
それが才人の自分を召喚した者への第一印象だった。
そして、胸がない。
……最後のは若干失言だったかもしれないが。
彼女が才人に近付くと、腕を組み、何故か顔を赤らめた。

「あんた、感謝しなさいよね!
平民が、貴族にこんなことされるなんて一生ないんだから!」

ツンデレっていうんだったか?
こういうの。

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ。」

彼女……ルイズはそう唱えると、才人にキスをした。

「!?」

平賀才人、17歳。
前の世界でひきこもりだったために、彼女居ない歴=年齢である。
ファーストキスは異世界の誰とも知らぬ初対面の少女(美人)。

「ちょ!ちょ!おま!何やってんだオイコラ!」
「仕方ないじゃない!
契約するにはこれしかないんだから!」
「契約?
ッ!?」

激痛。
身体もある程度強化されているとブリミルは言ったが、

「ぐ……!(痛みが緩和される訳じゃねえんだな……。)」

左肩から先に走る激痛に思わず顔を歪ませる才人。

「契約のルーンが刻まれてるだけだからすぐにおさまるわよ。」
「そうは言ってもな……あんたこれ受けたことあんのかよ。」
「無いわ。」
「だろうと思った……あぁ、痛かった。」

会話してたらどうやらルーンを刻み終えたらしく、痛みはすうっと引いていった。
近くにいた髪の薄い男性は、左腕のルーンを見るとルイズに顔を向けて笑い、

「サモン・サーヴァントはやり直したが、コントラクト・サーヴァントは一回で出来ましたなミス・ヴァリエール。
上出来です。」
「相手が平民だから一発で契約できたんだ!」
「そうそう、じゃなきゃ“ゼロ”のルイズが契約なんか出来るハズないって!」

周りの生徒が騒ぎ出す。
どこの世界にも野次を飛ばす奴はいるものである。

「うるさいわね!
私だってたまには成功するわよ!」
「本当にたまによねあなたの場合。」

金髪ロールの少女が口を開く。

「ミスタ・コルベール!
“洪水”のモンモランシーが私を侮辱しました!」
「誰が洪水よ!
“香水”よ“香水”!」
「あんた小さい頃、洪水みたいなおねしょしてたって話じゃない。“洪水”の方がお似合いよ!」
「よくも言ってくれたわね!“ゼロ”のルイズ!ゼロのくせに何よ!」

まるでガキの喧嘩だな……。
目の前で行われている口論に辟易していると、コルベールと呼ばれた男性がやんわりと遮ると生徒達を先導して空を飛んだ。

「お前は歩いて来いよ!
“ゼロ”のルイズ!」
「“フライ”も唱えられないんだからな!
流石“ゼロ”だ!」

そう言い捨てて飛び去った。
才人はルイズを横目で見る。
少し悲しそうな眼をしていた。





「あんたは何も出来なさそうだから、とりあえず洗濯その他の雑用を頼むわ。」
「決め付けるのはよくないと思うぞ?」

才人はルイズにこの世界のこと、使い魔の仕事を聞かされた。
月が2つあるのは流石に驚いた。

「じゃ、あんた何が出来るの?」
「うーん……調合と狩りと調理?」

前2つはハンターだった素材になったあいつの記憶に入ってたもの。
もう一つは一人暮らしで染み付いた技術とハンターの経験。

「調合?」
「あぁ、調合だ。
回復薬やら解毒薬。
後は罠に強化薬ってとこか。」

とりあえず頭に浮かんだものを口に出していく才人。
ルイズは怪訝そうな顔で才人を見据え、

「あんた、水のメイジなの?」

そう聞いた。
無論、才人が知るハズも無く、なんだそりゃ?で終わったが。

「さて、そろそろ寝るわ。」
「俺はどこで寝ればいいんだ?」
「ん。」

そう言ってルイズは床を指さす。

「……予想はしてたけどな。
 って……お前なにしてんの?」
「着替え。」
「……一応俺男なんだけど?」
「どうせ使い魔。犬やら猫やらと同じよ。
 気にしないわ。」

……男どころか人として見られていなかった。
才人は、短くため息を吐く。

「じゃあ、これ明日になったら洗濯しといて」
「んあ?
 なんだこれ。」

ルイズから投げられたのはシルクの布。
広げてみる。

「……ぱんつ……?」
「じゃ、おやすみ。」

それだけ言うと、ルイズはベッドに入り込み、寝息を立て始めた。
本日二回目のため息を吐く才人。

「……寝るか……。」

そう言うと才人は、次元の裂け目を起動し、ケルビの毛皮で簡単に布団を作ると、その上に寝転がった。

「ここは魔法の世界なのかぁ……。」

イマイチ実感がわかない。
自分を召喚した少女は可愛いのはいいのだが、貴族だ平民だとどこかうるさい。
いや、自分をあの世界から出してくれたのだ。
感謝こそすれ、嫌うなどあってはならない。
そう結論づけると、才人は眠った。






才人は、まだ外が白んできた程度の時間に目を覚ました。

「ふぁ……。
 腹減った……。」

そういえば昨日食ったのは朝飯だけだったのを思い出す。
ぐぅ~……。

「やべ、本格的に腹減って来た。」

何かないかと記憶を探る。
ハンターの記憶の中にあるものがあった。

「ふむ……。」

次元の裂け目を発動。
中から道具を出し、組み立てる。
さらに次元の裂け目から生の肉を出すと、上に置いた。

「~♪~♪」

道具についたレバーをくるくるとまわし始める。
それと共に歌いだす。
でっでっでっでっらんららんららららんららんららら
らららんらららんらららんらららんらららららんでんっ

「上手に焼けました……っと。」

手元には美味しそうにこんがりと焼けた骨付きの肉。
とりあえず、うまそうなので、才人はその肉にかぶりついた。




良い匂いがする。
ルイズが目を覚ましたのは、朝……とも言えなくもない時間帯。
だが、ルイズのまぶたには灯りが当たっていた。
--ランプ消すの忘れてたっけ?
目を開く。






「~♪~♪」

歌が聞こえる。
透き通った男の声だ。
目の前には焚き火が見えた。


「Σって焚き火!?
かかかかか火事!?」
「ん、ルイズ。
おはようさん。」

火の前にいたのは白髪の男。
あぁ、そう言えば召喚したんだっけ。

「な、何やってんのよあんた!
火事になったらどうすんの!」
「火事にはならない。」
「……なんで言い切れるの?」
「こいつはそういうもんだからだ。」
「…………。」

説明になっていなかった。


「っていうかそれ、何なのよそれ。」

ルイズは才人が出した道具を指差し、聞いた。
才人は少し悩むと、傍らにあった生肉を取り出し、道具の上にセットした。

「見てろ?」

そういうと才人はレバーを回し始めた。
そして歌い出す。
…………でっでっでっでっらんららんららららんららんららら
らららんらららんらららんらららんらららららんでんっ

「上手に焼けました……っと。」

才人の手には先程とは違い、こんがり焼けた骨付きの肉が。

「こいつは肉焼きセット。
言うなれば、誰でも、簡単に、骨付き肉を焼ける道具だ。」
骨付き肉を手に笑うと、才人は肉をルイズに差し出した。

「食べるか?
ご主人様?」

笑顔で差し出され、若干困った顔をするルイズ。

「あんたねえ……夜中に肉焼く奴がどこにいんのよ!」
「ここにいるが……。」
「屁理屈こねない!」

まあ、事実ではあるのだが。

「で、食べないのか?」
「……………………食べる。」

ここで勘違いしないでいただきたいのは、ルイズは決して夜中に起き出してきて色々食べ散らかすような子ではないということだ。
サイトが焼いた肉は、それはもううまそうに焼けていた。
滴り落ちる肉汁。
鮮やかな焦げ目。
香ばしい匂い。
これを目にしては、恐らく誰もがかぶりつきたくなるだろう。

「そか、んじゃ待ってな。
今切るから。」

サイトはそういうと腰のナイフを取り出し、肉を切り分けた。
そして皿に盛り付けると、フォークと肉の乗った皿をルイズに差し出した。

「貴族ってのは礼儀作法が大事らしいからとりあえず皿に乗っけてみたけど……骨から直接食いたかったか?」
「な、な、何言ってんのよ!」

ちょっとしてみたかったのは秘密だ。







結論から言うと、すごくおいしかった。
溢れる肉汁。
皮はパリッとして、中は柔らかい。
正直に言おう。
ルイズは今までこんな肉は食べたことがなかった。

「…………ま、まあまあね……。」

プライドの高いルイズはそれを口に出すことはなかったが。
そんなことを言うルイズにもかかわらず、サイトはニコニコ笑いながら肉を口いっぱいにほおばっていた。

「ん?なんだ、ルイズ?」
「ふぇ?
あ、いや、その。」

しばらくぼーっとサイトの顔を見ていたらしい。
慌てて目をそらすと、別に。とごまかす。
が、サイトは急に吹き出すと傍らのもう一つの生肉を道具に乗せて焼き始めた。

「上手に焼けました。
ほれ、食いなルイズ。」
「え、あ、え?」

目の前に差し出されたこんがりと焼けた肉。
う……。と唸る。
か、かぶりつきたい……!
何故か無性にそう思った。

「ほらほら、食わないなら貰っちまうぞ?」

サイトが意地悪く笑いながら肉を降る。
肉の方に目が行ってしまう。
さっき食べた肉の量も結構あったのに……まだ食べる気なのルイズ!
そう自分を心の中で叱るのだが……。

ぱし。
パクッ
「召し上がれ。」

誘惑に負けた。





サイトは少し驚いていた。
が、嬉しくもあった。
今まで、人に料理を振る舞う等皆無であったサイトは、初めて他人に料理を振る舞った。
その食べた人は桃色のブロンドの髪を揺らしながら、ゆっくり味わうようにして肉にかぶりついていた。
時々見せるその嬉しそうな笑顔がサイトを嬉しい気持ちにさせた。

「(本当に美味しそうに食べてくれるなぁ……。)」

どうやら自分の料理を人においしいと言ってもらうのはとても嬉しい気持ちになるというのはほんとうだったようだ。
サイトはそれを実感していた。
次は単純に肉じゃなく、もっと手の込んだ料理を食べてもらいたいものだ。

「……けぷっ。」
「お、食い終わったか?
って、ルイズ……まだ骨に身が残ってんじゃねえか。
仕方ねえな……。」

サイトはナイフで余ってた肉を剥ぎ取るとそれをつまみ、ルイズに寄せた。

「ほれ、あーんしろ。
あーん。」
「あ、あ、あ、あーん!?」
「早くしないと目に肉が飛んでくるという甘い罠。
321」
「わわわはむっ!」

指ごと捕食された。
が、歯はたてていなかったようで、痛みはない。

「……抜くぞ?」

コクコク
顔を赤らめながら頷くルイズを可愛いと思ったのは気のせいだと思うことにしよう。

使い魔は魔物で平民で狩人で。

少年は退屈していた。
彼は平賀才人。
東京都に住む男子高校生である。
勉強もある程度にはこなすし、運動もできるが、若干ひきこもり気味だった。
両親は他界し、一人暮らし。
学費などは叔母が払ってくれているようだが、そんなことに興味はなかった。
学校でも友人と言えるような者はいなかった。
ネットでは友人はいたが、顔を合わせたこともない。

「なんか面白いことないんかねぇ……?」

少年はいつも一人だった。
故にそれを当たり前だと思っていた。
ふと、一緒に遊べる友人を作ればこの退屈も無くなるのかと思ったが、
思っただけだった。

少年、才人は秋葉原に来ていた。
先日、三台のノートパソコンのうち、一台が何かしらの原因で故障したので、秋葉原で修理してもらったのを受け取りにきたのだ。
代金を払い、修理屋を後にする才人。
んっ……。と軽く背伸びをする。

「今日も退屈なことこの上ないな……。
ま、平和なのはいいことだけどよ。」


しばらく歩いたところで、妙なことに気付いた。

「人がいない……。」

才人はここに何度となく足を運んだことがある。
この通りはレイヤーやらオタクやらメガネをかけたスーツ姿のサラリーマンなどでいつも賑わっていた。
ところが、今は人も車もいない。

「どうなってんだ……?」

通りをしばらく進むと、奇妙な鏡を見つけた。

「なんだこりゃあ……。」

見たこともない大きな鏡。
それが少しとはいえ宙に浮かんでいるのだ。
鏡面に文字が浮かび上がった。

“退屈か少年よ。”

才人は驚いた。
が、少しにやりとしたあと、

「あぁ、退屈だね。」

鏡に向かってそう言い放つ。

“退屈しない世界に行きたくないか?”

鏡面は更に文字を映す。
読めないはずの異国の文字。
だが、才人には何故か理解できた。

「連れて行ってくれるのか?」

質問に質問で返す。
鏡面はキラリと妖しく光ると、
再び文字を映し出した。

“お前が望むならば、だがな。”

才人は震えた。
そうか、ノートパソコンが壊れたのも、
人がいなくなったのも、このためだったのだ。
才人はにやりと笑うと、

「連れていけ。
退屈しない世界に。
そこには何が待ってるんだ?
何があるんだ?
剣と魔法か?
魔獣うろつく世界か?」

死んでいた眼が輝きだす。
鏡は文字を映し出す。

“私に触れるがいい”

ククク……と笑う才人。


「連れていけ。」

それだけ言うと、鏡に触れた。
鏡が才人を飲み込んでいく。


鏡は消え去り、人々は再び現れた。
確かにこの世界に存在していた高校生は、この世界から姿を消した。



「どこだここ……?」

才人が目を覚ますと、そこは真っ暗な世界だった。

「まさかここが退屈しない世界じゃねーだろうな……。」
「ここは世界の狭間だよ、平賀才人。」
「んあ?」

後ろを振り向く。
闇の中に鎧を着た男と、白い龍が佇んでいた。

「自己紹介させて貰おう。
わたしはブリミル。
君が今から行く世界の神みたいなものさ。」

鎧を着た男が言う。

「神……?」
『そうだ、神だ。』

龍が口を開き、話し出す。

『我は祖龍ミラルーツ。
全ての龍の頂点にして祖なるもの。』
「……ははは、龍の王様ってか。」

才人は動揺を隠しきれなかった。
しかし、ブリミルと名乗った男は笑顔でこう言った。

「気を楽にしてくれ。
何も僕達は君をとって食おうってんじゃない。
ただ、君に渡したいものがあるだけだ。
ミラルーツ、あれを。」
『うむ。』

白い龍、ミラルーツと名乗った龍が淡く光る。
現れたのは一人の人間。
髪は白く、身体つきは才人と同じ位の少年だった。

「こいつがどうしたってんだ?」
「これから君の行く世界は、少し物騒でね、彼はミラルーツが創り出した身体。
つまりはただの素材さ。」
『左様。
我の創り出した人の雄の身体ぞ。
お主には、この身体と融合してもらう。」
「……融合?
ってことは何か?
俺もただの素材だってか?」

二人(もしくは一人と一匹)のいい方に少し腹を立てたのか、才人の口調に怒気が入る。

「いや、違うよ。
どちらかというと、君は主体だ。
君を強化するために融合をするのさ。
言ったろ?
これから君の行く世界は少し物騒だって。」
「なるほど、多少強くなきゃ生き残れないってか。」
『その通りだ。
しかし、我等の言い方にも非があった。
すまぬ。』
「構わないさ。
それより、融合するんだろ?
構わねーから早くやってくれ。」

そう才人が言うと、ミラルーツが大口を開けて、素材の少年を喰った。

「……へ?」

そして、才人もまた、ミラルーツに飲み込まれた。

「死ぬかと思った……。」

そう言うのは融合を終えた才人。
髪は白く染まっていたが、他には何も変わっていなかった。

「まさか卵になって出て来ることになるなんて思ってなかったぜ……。」
『先に教えた場合、逃げるかも知れぬからな。
手荒い真似をしてすまない。』
「構わない。
でも、ミラルーツ、お前雌だったんだな。」
『我は龍の祖、ミラルーツ。
祖ということは龍を産んだということだ。
なんの不思議もあるまいて。』
「そりゃそうだ。」

少し笑った後、ブリミルが才人に話しかける。

「では、君の能力についての説明をするよ。
まず、第一に、この箱を見てほしい。」

才人が覗き込んだ箱の中には膨大な量の剣、弓、ボウガン、薬や鎧甲、様々な鉱石に草、肉やらなんやらとにかく膨大な量が中に入っていた。

「これはミラルーツからのプレゼントだ。
武器の名前や使い方、道具の使い方は身体がわかるだろう。
そして、これが僕からの贈り物。
待って、今記憶を送る。」

ブリミルはそう言うと、才人の額に手を当てた。

「ぐっ……!」

才人の頭に激痛が走るが、すぐに引いた。
そして才人の頭に流れ込んでくる記憶。

「……なるほどな、その鎧甲を着けることで、自分の意思で魔物になれるってことか。
そして、この箱は俺に流れ込んできた能力、“次元の裂け目”でいつでも取り出し可能。
鎧甲は呼べばくる。
……これでいいのか?」
「あぁ、大丈夫。
だが君は凄いな。
普通は理解するのに三分はかかるのに。」
「んな時間あったらカップヌードルを食べる。」

そう言うと一人笑う才人。
カップヌードルを知らない二人はキョトンとしていたが。



「さて、そろそろ送るよ。
準備はいいかい?」

魔法陣らしきものの中心に立つ才人。
その横をミラルーツとブリミルが挟んで向かい合う。

「あぁ、大丈夫だ。
存分にやってくれ。」
『承知した。
少しの間だったが、楽しめた。
礼を言おう、才人。』
「多分僕達は会うことはないだろうけど、
君の幸せを願ってるよ。」
「あぁ、色々ありがとな。」
「それは君を召還した、彼女に言うことだね。」

彼女?なんだそれは?
それを聞く前に、才人は転送された。





一方、ここはトリステインの魔法学校。
ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールは疲弊していた。
今日は魔法学校の進級試験。
サモン・サーヴァントで、自らの使い魔となる者を呼び寄せる儀式を行い、
コントラクト・サーヴァントで契約をし、晴れて進級出来るのだが……。

「ハァ……ハァ……。」
「ミス・ヴァリエール。
明日に延期しましょう。
あなたは疲れきっている。」

ルイズは魔法の才がなかった。
どの魔法を使っても爆発する。
故に他の生徒はみな彼女を“ゼロのルイズ”と呼ぶ。
魔法成功率“ゼロ”のルイズ。
ルイズはこの二つ名を挽回しようと、何度となくサモン・サーヴァントを行った。
が、結局は爆発。

「ミスタ・コルベール!
もう一度だけ、もう一度だけお願いします!」
「いや、しかしだね、君も随分ボロボロになっている。
またの機会にしよう。」

コルベールと言われた男性は、ルイズに優しく諭すように声をかける。
だが、ルイズも諦めない。

「あと一度でいいんです!
お願いします!」
「わ、わかった。
あと一度だけですよ?」
「ありがとうございます!」

ルイズは杖を構え直した。

「肩の力を抜いて、リラックスです。
ミス・ヴァリエール。」

コルベールの声が聞こえる。
とりあえず言う通りに力を抜き、リラックスする。
うん、今度こそ、出来る。
そう確信したルイズは、呪文を唱え始める。

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。
五つの力を司るペンタゴンよ……!
我が運命に従いし、使い魔を召還せよ!!」

爆発。
また、駄目だった。
私はやっぱり、ゼロでしかないのかな?
そう思った矢先だった。

「おい!煙の中に何かいるぞ!」
「え?」

ルイズは顔を上げ、立ち上がると煙を見据えた。
確かに、煙の中に影がある。
あれが……私の使い魔……!
煙が、晴れる。
しかし、そこから現れた者に、ルイズはこう問い掛けた。

「あんた、誰?」

その者は、人だった。

「あんたが俺を召還した奴か」

髪は白く、身長はルイズより少し高めな位だ。

「ありがとう。
 おかげで退屈な世界からでられた。」

人間。どこか不思議な雰囲気を纏った白髪の人間。
見間違いではなかった。

「俺の名前は平賀才人。
 宜しくな」

才人と名乗るその人間の紅い瞳が、ルイズを見据えていた。

気が付いたら転生してチートなリリカルだった

にじふぁんから移転
自分の厨二魂を注ぎ込んでみたリリカルなのはの二次創作
オリ主最強&設定捏造&厨二&作者の社会のゴミ度がにじみ出る作品
実は訓練作品だったことをここで暴露したいと思います

※オリキャラあり注意


prologue

一話

二話

三話

四話

主人公のプロフィール

五話

六話

七話

八話

九話

十話

十一話

十二話



陰里 愛様に捧ぐ

十三話

十四話

十五話

十六話

主人公の能力整理

十二話 EX

十七話

JS事件報告書

十八話

十九話

ニ十話 1   

二十一話

二十二話

二十三話

二十四話

二十五話

二十六話

二十七話

二十八話

ニ十九話

三十話

三十一話

三十二話

三十三話

二十八話

「気になるわね……。」

部下の入れたコーヒーを飲みながら、時空管理局本局運用部、レティ・ロウラン提督は呟いた。
最近、奇妙な事件が起きている。
無人世界の魔法生物のリンカーコアが、次々に抜かれていくという事件。
魔導士に被害が出ていないため、管理局の上層部も、そこまで重要視してはいないが、彼女は違った。

「あのプロティガウロの主、グリモアがやられるなんて……。」

無人世界プロティガウロ。
管理局が記録する管理外世界の中でも古い歴史を持つ世界で、その世界の全ての生物が魔力を持ち、戦闘用ではないにしろ、植物でさえ魔法を使う。
その頂点に君臨する筈の地轟龍“グリモア”が、倒れた。
岩石の如き鱗はところどころ剥がれ落ち、宝石の如く輝く翼膜はボロボロになっていたところを、管理局の自然保護隊が巡回中で見つけ、治療魔法を施した。
“グリモア”もまた、リンカーコアを抜き取られていた。

「…………。
 相談してみるか……。」

レティは旧友に連絡をとるため、通信を開いた。









時空管理局自然保護隊。
様々な次元世界の自然を保護する名目で、各地を飛び回る隊員たちのことだ。
その自然保護隊である五人の偵察部隊が補足した3つの影。
彼等はそれを追っていた。

「ったく……なんで速さだ。」
「奴ら、逃げ慣れてるな。
 再三の勧告を無視して逃げ回るとなると……次元犯罪者の可能性が高い。」

隊の先達が、加速する。
すると、森の少し開けた空間で、3つの影は停止した。

「観念したか?」
「いや、わからん。
 警戒は怠るなよ。」

影に迫る。

「止まれ!
 時空管理局自然保護隊の者だ!
 詳しい話を聞くので、局まで同行願いたい。」

先達である隊長が叫ぶ。
その視線の先。
影は、まさに影だった。
三人のうち二人は、包帯で全身を覆っていた。
一人はやせ気味の男性のシルエットで、黒い包帯を頭から足の先まで巻いている。
もう一人は女性のシルエット。
紅い包帯を同じく全身に巻いていた。
三人目は、子供。
二つのシルエットの身長の二分の一。
顔には仮面。紅黒い、髑髏の仮面。
その眼の奥の光に、隊員は少なからずおびえた。

「…………。」

三人は、顔を見合わせる。
やがて無言で隊員に向くと、子供が声を発する。

「《……見逃せ……。》」

仮面のせいか、くぐもった、どこか幼い少年の声に、保護隊は少し落ち着く。
そして、なるべく優しく話しかけた。

「すまないが、見逃すわけにはいかないんだ。
 我々も仕事なのでね。」

その反応に、少年はため息を吐く。
横に居た二人の包帯が、頷き合ったと同時に、少年の左右を挟むように立った。

「《……“五月闇”(さつきやみ)。》」
『『形態変化、足甲“五月闇”』』

二人の包帯がとかれ、少年の足に巻き付いていく。
包帯がとかれた中には、ただ何も無い空間だけだった。
やがて包帯がはらりと落ち、少年の足には禍々しい黒と紅の足甲が装備されていた。

「……っ!?」

黒と紅の足甲の膝の部分に、足甲と同じ色の眼がはめ込まれていた。
ギョロギョロと周囲をうかがうようにあたりを見回し、その視線が、保護隊に向く。

「《足甲“五月闇”は……。》」

少年が呟きながら構える。
保護隊も反射的に構えたのだが……遅かった。

「《水を操る!》」

少年の周囲の土から水が溢れ出し、津波となって保護隊に襲いかかる。

「なっ!?
 全員、回避!」

間一髪、彼等は津波を空に飛んで回避した。
津波が直撃した樹は何故かじゅっと音をたて、幹を抉った。

「あの水に触れるな!
 何かおかしい!
 距離を取りながら確実に当てていけ!
 子供だからとて油断するなよ!」
『了解!』

散開。
そして包囲。
各隊員は、魔力弾を少年に向け、放つ。
少年はそれを最低限の動きでかわし、上空に向けて足を振り上げる。

「《五月雨星(さみだれぼし)……黒南風(くろはえ)》」

足から乱れ撃たれる多数の水の刃。
その刃が真っ直ぐ隊員の一人へと向かっていく。

「くっ!」
避けられないと判断したのか、前方にシールドを展開する。









だが、シールドはまるでバターのように、いとも簡単に切り裂かれた。

「ガ……ハ……ッ!?」

どさりと墜ちる隊員。
助け起こしたいが、隊長は無理だと悟る。
油断をすれば、やられる。

「《悪いが……まだやることがある……。
 押し通らせてもらう。》」

少年は構え、一気に飛んだ。
いや、空中を駆け上がったと言った方が妥当だろう。
一気に隊員の一人へ向かうと、バク転しながら顎を蹴り上げる。

「ぐあっ!」

所謂ムーンサルト。
ついでに足の関節で杖を上に蹴り飛ばし、僅かにのぞいている口で杖をくわえると、虚空を足場にし、膝で腹に一撃。

「全員、集中砲火!
 誘導弾であいつの足甲を狙え!」

その声を聞いて、隊員たちは一斉に誘導弾を展開する。
向かってくる誘導弾を蹴り潰し、いくつかを水流で流す。
いまだ少年は虚空に立っている。

「(飛行魔法も使わずに……なんなんだあの子は!
 そもそも魔力を一切感じないのは何故だ!?)」
「《五月雨星……“荒南風”(あらはえ)》」

少年の回し蹴りが空を切る。
その動きになぞるように水流が隊員たちの杖を巻き込んでいく。

「!?」

杖は水の中で溶かされ、跡形もなく消え去った。

「《……もう一度言う。
 頼むから、見逃してくれ。》」水流渦巻く渦中で、少年は佇む。

「《じゃないと……お前等全員……しばらく車椅子で生活してもらうことになる。》」

光を纏う水の柱が彼等を囲う。
いつでも、彼等を再起不能に出来るように。
それでも、睨みつけてくる彼等に、少年はため息を一つつくと。

「《五月雨星……“白南風”(しらはえ)》」

無数の水流が、隊員達を飲み込んだ。









「《あっははは、最後まで、かっこつかないね~……。》」

最後の台詞
↓に後悔してたり。
「《じゃないと……お前等全員……しばらく車椅子で生活してもらうことになる。》」







































五月闇
五月雨が降る頃は雲が深くなり、夜が一層暗くなる。
これを五月闇という。

五月雨星
梅雨の星、アルクトゥルス(牛飼座)の和名。

黒南風
梅雨に入って吹く南風。

水を、刃状にして蹴り放つ技。
水圧で叩ききる感じ。

荒南風
梅雨半ばに吹く南風。

足の動きに合わせて、強い酸性の水を流す技。
人体は少し麻痺させるだけ。


白南風
梅雨が明けるころに吹く南風。

水流で標的の周囲を囲み、電気を含んだ水流が囲み、押しつぶす技。

二十七話

はやて side

勇君がいなくなってからしばらくして。
わたしは、すずかちゃんとシャマルと図書館に来ていた。

「ここに来るんも久しぶりやなぁ……。」
「あれ、そうなの?」
「うん、勇君がいる時はいつも本じゃなくてカードやったし。
 な、シャマル。」
「えぇ、はやてちゃん楽しそうでした。」

なんで勇君が消えてしまったのかもわからん。
ユーノ君(いや、ちゃん?)も「コンビニに行ってくるって言ったっきり帰ってこない」って慌ててたし。
ほんまに、自分勝手な奴。

「さっさと戻ってこんかい、このアホ……。」









ユーノ side

「お母様……。」
「大丈夫だよエル。
 勇は基本的に自由だからね。
 きっとすぐに戻ってくるよ。」

嘘。
ほんとは今すぐ探しに行きたい。
でも駄目なんだ。
今僕はエルの母親なんだ。
それに、勇が帰って来るまで、この家を守らなきゃ。

「早く、帰ってこないかなぁ……?」

ボソッと呟いた。
隣でエルが心配そうな目で見つめていた。









無人世界。
読んで字の如くその世界に人間は居らず、巨大な虫、竜、様々な動物達が闊歩する無法地帯。
その中に、一人の女性の姿があった。

「……。」

女性は桃色のポニーテールを揺らす。
右手には、機械的な片刃の剣が握られていて、その身には、甲冑のような衣服を纏っていた。
やがて、閉じていた眼を見開くと、前方を鋭く睨みつけた。
途端、彼女の真下の砂が盛りあがる。
彼女は、咄嗟にバックステップでそれをかわした。



ギュオォォォォォォォォォオオオォ!!!!!!!!

地中から飛び出してきたのは、巨大な竜。
この無人世界、『プロティガウロ』の主とも呼べる存在である。

全身が岩石のような鱗に覆われ、その大きな翼に張られた翼膜は、宝石の如く輝いていた。

「地轟龍……この世界の主よ。」

彼女は巨大な龍に剣を向ける。
その剣は静かに震えていた。

「恨んでくれて構わない。
 我が主が為……その力を貰い受ける……。」














「烈火の将、剣の騎士シグナム……その魂レヴァンティン!
 推して参る!」

轟音と共に薬莢がいくつか舞った。
















「シャマルか……。」

『シグナム……大丈夫?』

「あぁ……少しキツい。
 悪いが、回収を頼む。」

二十六話

パキポキと指を鳴らす。
拳を握って指鳴らした後に親指を鳴らすのは俺だけ?

「さて……じゃ、今からそっちにいくぞ?」

足に力をこめて、拳を構える。
狙いは……あれ、どっちがアリアでどっちがロッテだっけ?
……まぁ、どっちでもいいか。

「よい……しょぉっ!!!!」

ズドォン!!!

「ガ……ッ!!?」

俺は飛び上がって右の奴を腹パンした。
こいつどっち?わからんでござりゅ。

「ロッテ!?」

あ、こっちロッテさん?
ちょっとやり過ぎ感あるけど大丈夫だよね。
ロッテさんらしき仮面の男を見る。
あら、気絶してる?
猫耳飛び出してまんがな。

「あらら、もう終わり?
 ダメだね~……もう少し耐えてくれよ……罪悪感わくだろ?」

重力で空中にロッテを放り投げる。
空間の中心を指定し、その空間から半径二メートルだけ、無重力状態になる進化した重力操作、“真空”。
作るのに1ヶ月は頑張ったよ俺!
そのまま、重力で見えない床を作り出し、それの上に立つ。

「…………ッ!」

アリアがカードを五枚程取り出し、俺は五重バインドに縛られる。

「貴様専用のバインドを五重だ……もう動けまい……!」

うん……そだね。
ちょっとこれはキツいね。

「でも、動けないことはない。」

パキィィン……ッ!

「なっ……!?」「魔力を乱そうが、俺を拘束しようが関係無い。
 その“力”に鍵を掛ければいいんだ。
 そうすりゃ、バインドなんざただの紙屑に等しい。
 そして、鍵をかけるのは俺じゃなく、俺のデバイスだ。
 俺の魔力がどうこうなろうと、お構い無しにこいつらは動く。」
『さらに言うと、重力操作は魔力を使いませんし。』
『じゃあ希少技能じゃなくね?
 とかは無しの方向で。』
「じゃなきゃ今空中に立てないからな。」

一人と二個で頷き合う。
あ、なんか怒ってる。

「ま、ぶっちゃけお前らは三対二で戦わなきゃならなかったってのが近いな。
 惜しかった。
 またチャレンジしてこい。」
『『形態変化、双拳“春疾風(はるはやて)”』』

アビスとイモータルの形態変化。
こいつらは、文字通り何にでも変化することが出来る。
それはもう武器だろうが防具だろうが、何にでも。
今変化したのはガントレット。
アビスもイモータルも甲にはお互いの色の眼がついてる。
漆黒と紅の双拳、“春疾風”。
正直名前に合わないだろこれ。
なんか禍々しいし。

「相変わらず禍々しいな。」
『それは言わない御約束。』
『我々が作ると、どうあってもこうなってしまうので……。』
「いいよいいよ。
 さ、お仕置きの時間だな。
 哀れな子猫に、邪なる鉄槌を……ってな。」

拳を構え、手で『かかってこい』と合図をする。

「……展開……っ!」

カードを握りつぶすと同時に、大量の魔力弾がアリアの周囲に並ぶ。
ペルソナかっつの。

『数にして、七十ですか?』
『あぁ、恐らくカードに弾数、威力を設定し、それを握りつぶすことで解き放つ代物だ。
 その分誘導は自分でやらなければならないところが難点だが、自信があるんだろう。』

アビスとイモータルが冷静に分析する。
一方その時の俺は、構えたまま動かない。

「シュート!」

大量の青い魔力弾が一斉に動き出す。
目前に迫ってきた魔力弾を、俺は5つ程掴み取る(・・・・)。

「!?」
「この春疾風の力は……魔力を掴み取ること。
 そして、その魔力をそのまま回転と加速を加え、竜巻に変える力を持つ。
 この竜巻は俺の支配下で、規模の縮小、拡大も思いのまま。
 こんな風にな?」

掴み取った4つの魔力弾が旋風を巻き起こし、小さな魔力の竜巻が並んでいた。

ボシュッ!

魔力弾が竜巻に当たる瞬間、それは竜巻の中へ消えていった。

「カマイタチを圧縮したものだと考えてくれていいぞ。
 恐らくその通りだからな。
 ちなみに俺はこれを“東風”(こち)と呼んでいる。」
「くっ……!」

アリアが振りかぶる。
恐らく魔力弾を操作しているのだろう。
駄菓子菓子!

「よっ!」

飛び上がって回転しながら、両手の指全てに魔力弾を掴み、春疾風で“東風”に変換する。
重力の床を作り、着地。
その後、“東風”と共に後退する。

「逃がさん!」
「逃げてんじゃねーよ。
 距離取ってんの。」

無数の魔力弾が俺を追いかける。
でもな、アリア。

「誘導弾は、直線上に置いたら意味無いぞ?」

“東風”を前に配置。
右手を引き、構える。

「“涅槃西風”(ねはんにし)」









アリア side

「……ガ……ぁ……。」

動けない。
痛い。
ダメ、アリア動きなさい。
奴が来る前に。

「あーららぁ……やり過ぎちゃったかね?」

生きてるか?と、緊張感のない顔で奴が近付いてくる。

「あんた……いった……い……。」
「そうか、自分がやられた技位知りたいよな?
 “涅槃西風”は、“東風”をぶん殴ることでその中の風をぶっ放す技。
 ぶっちゃけると、空気を殴ってカマイタチを起こす技だ。」

……そんな滅茶苦茶な……。
ダメだ。勝てるわけがない。
こんな奴にどうやって勝てってのよ。

「じゃ、お前等はここでリタイアだな。
 精々、クロノでも鍛えてやってくれ。
 あと、ギル・グレアムに伝言だ。
 『お前の気持ちなんざわからんし、同情だってする気も起こらん。
 ただ、見ていろ。
 俺がハッピーエンドにしてやるよ。
 でもな?









 その後のフォローよろしくっ♪』
 以上。んじゃな。」
「……まっ!」

顔を上げた時には、奴はもう居なかった。

「……とりあえず……父様に……連絡をしないと……。」

しなくちゃいけないのに、体が重い。
私は意識を手放した。









勇 side

「転移完了。」
『今頃グレアムは驚いていることでしょう。』
『えぇ、ですが……。』
「いいんだよアビス。
 俺決めたから。」

そう、原作に介入する。
面倒だからとか言ってられねえ。
はやてが倒れたとき、それがなのは、フェイト、アリシアやヴィータ達だったらと、想像してしまった。
嫌だった。
ムカついた。
だから俺はこいつを変える。

「呪われた闇の書を……祝福の夜天の書に変えてやろうじゃねーか。」

策がないわけじゃない。
だが、それをするにはとにもかくにも蒐集だ。
管理局に目は付けられたくないし局員からの蒐集は却下。
俺自身が蒐集されたら元も子も無いから却下。
だったらやっぱり……。

「地道に魔法生物で行くか……。」

俺はその場から転移した。


































春疾風
急に激しく吹く春の風。
春はやち、春嵐とも呼ぶ。

東風
東から吹いてくる風で、春風のこと。
春を告げる風として知られている。

涅槃西風
釈迦が入滅(亡くなった)日の陰暦2月15日前後に吹く西風。
浄土からの迎えの風と言われている。




二十五話

はやてが倒れた。
俺達は、並んで料理をしていた。
今日も守護騎士達と、楽しく晩御飯を食べると張り切って料理を作っていたのだ。
シグナムとヴィータは慌ててシャマルとユーノに回復を促し、ザフィーラは電話で石田先生に連絡をとった。
俺はといえば、呆けていた。
……おい。
なんだよコレ。
冗談だろ?
さっきまで、あんなに元気だったんだぜ?
そんな中で、俺はどこからか視線を感じていた。









はやては病院に搬送された。
やはり闇の書の呪いの進行が進んでいるのだろう。
守護騎士達は屋上に集合しているらしい。

「ごめんなぁ、迷惑かけてもて。」
「そんなこたぁ無いさ。
それに、俺はお前と居て、迷惑だと思ったことは一度もない。」

俺は、はやてと話をしていた。
“再生”で見えるようになった身体の損傷部分。
そして、それに伴う痛みの数値化で、まだ軽く胸に痛みが走っているのがわかった。

「あはは、ありがとう。」
「はやく、退院しろ。
そしたら、デュエルしよう。
今度こそ、俺が勝つからな。」
「にひひっ……楽しみにしとくわ。」
「それまでに、勝てるデッキを組んだ方がいいよ勇。」
「うっせーよユーノ。」

うん。
やっぱり楽しい。








帰り道。
人通りも少ない暗い道だ。

「ユーノ、先帰っていいぞ。」
「え?何かあったの?」

ユーノが心配そうに聞いてくる。
その顔にはメガネ状態のエルがいる。

「いや、ちょっと……な。
ユーノ、エルを寝かせてやれ。
俺はさっきのコンビニで買い物してから帰るから。
急にアイスが食べたくなってな。」
「もう、アイス食べ過ぎだよ勇。
少しは自重しなよ僕は抹茶ダッツで。」
「オマエモナー」

軽口を叩きながら別れる。
悪いなユーノ。
エル、ちゃんとお母様の言う事聞けよ。
しばしの別れってやつだ。





「さて、出ておいで小猫ちゃん。
おじさんが遊んであげよう。」









プレシア side

「ふぅ……今日はいい月夜ね。」
「えぇ、まったく。
とても静かでいい夜です。」

自宅の庭にある縁側でお茶を啜る。
最近は毎晩これが習慣になってきて、勇に年寄り臭いて言われたけど、これをやめる気はないわ。

「ねぇねぇフェイト!お月様はなんで暗い中で明るいのかな?」
「それはね、お日様の光がお月様を照らしてるからだよ。」

この子達と、こうしてのんびり出来るのだから。
年寄り臭いと言われたところで変わらない。
第一私は結構年いってるし、アリシアだって実年齢は(ry









まぁ、それはおいといて。
本当にいい夜ね。
フェイトもアリシアも、リニスも。
皆笑顔。
これがずっと続けばいいのだけど……。









勇 side

「「…………。」」

俺の前に立つ二人の仮面野郎。
さて、俺はというと。









バインドで縛られてます。




「……イレギュラーは……排除する。」
「そう、我々の計画のために、お前は……邪魔だ。」
「はいはい、アマコア乙。」

こんな感じのこというやついたよな?

「そいつは私がお前用に特別に作ったバインド。
 動きを封じることが出来るだけではなく、お前の魔力を乱す。」
「あきらめろ。
 抵抗は無意味だ。」

へぇ……。
なかなか面白いじゃんよ。

「くくくくくく……。」
「……何がおかしい。」
「いやぁ……。
 お前がそこまで魔法を使って欲しくないなら、使わないでやろうかなと。」
「……何……?」
「俺用のバインドやらなんやら組み立てたってことは俺について調べたわけだ。
 なら、俺のレアスキルは知ってるんだろ?」

俺はあえて馬鹿にするようにそう聞く。

「現状で確認出来ているのは……なんらかの強力なリミッターを事物、空間、能力問わずにかけることの出来る能力。
 そして、魔力を重力に変える魔力変換資質……。」
「おや、意外と知ってるじゃないか。
 じゃあ、一つだけヒントをやるよ。
 俺はさ、最近魔力が上がったおかげか、そのリミッターをかけられる範囲が広がったんだよ……。
 今までは出来なかった、身体能力にリミッターをかけることが出来るようになった。
 苦労したんだぜ?学校の授業とかで手を抜くの。
 それが今ではそれが必要なくなったわけだよ。」
「……何が言いたい?」

あら、ここまで言って分からないとは……。

「お前等、馬鹿だろ?
 だからさぁ……。」
『身体能力キー、キーⅤを開放します。』
『続いて、キーⅤで余剰魔力をカット。
 魔力値を0へ。』

アビスとイモータルの機械的な音声が鳴り響く。






バキィン!!








「てめーらのバインドなんて……こうだっ!!」
「「!!!?」」

肩を回す。
うわお。いい感じにバキバキと鳴っております。
首も回してみよう。
バッキバキだねっ!

「さぁてとォ!!こっからは楽しい楽しい喧嘩の時間だぁ!!
 殴り合おうぜ、仮面共ォ!!!」

二十四話

「どうしてこうなったし。」

白い湯気が立ちのぼる中、風呂場に俺の声が響いた。




それは、ある一言から始まったのである。

「お風呂に入りませんか?」

夕飯も終わり、俺はエルを膝に乗せてユーノと某蒼い格ゲーでもしようかと思っていたのだが。

「そういえばお風呂入ってないです。
 お父様、お風呂一緒に入りましょう。」
「ん、そういえばそうだね。
 入っておいでよ。
 僕、アビスしてるから。」

ユーノはコントローラーを充電している。
どうでもいいが、彼女は狼執事を使います。

「何言ってるんですかお母様。
 お母様も一緒に入るんですよ?」

なんだと!?
ユーノと顔を見合わせる。

「奥さん、どういうことですかこれ。」
「あらいやだ。
 エルは自分のしたい事を言っているだけでしてよ?」
「どうでもいいけどお前それ似合わんぞ?」
「いや、勇に合わせてあげたんじゃないか。
 っていうかコレどうするの?」

ぼそぼそと内緒話。
ってかアビスもイモータルもなんか言えよ。

『『b』』

サムズアップすんな。





で、洗面所。
そういえば思い出した。

「俺、ユーノと風呂入ったことあるじゃん。」
「ちょ、勇!忘れて!」

ユーノ大慌てである。

「お、おう。
なんか……すまん。」
「いや、あの時はフェレットだったからいいけど……その……恥ずかしいから……。」

フェレットだったらいいのか!?
という疑問はさておいて。

「脱がしにかかってんじゃねーぞセクハラデバイス共。」
『デバイスは人ではありません。』
『故に人間の法律で裁くことは出来なぁい!』

などと言いながらエルを脱がしていくアビスとイモータル。
唖然として見ていると、横から光が。

「ユーノ……。」
「しょ、しょうがないじゃないか!
フェレットモードじゃなきゃ恥ずかしくてすぐのぼせちゃうよぉ!」

フェレットの姿のまま、真っ赤になって叫ぶユーノ。
フェレットモードなら恥じらいもフェレットに寄るのだろうか。

「フルーツジュースはうまかったか?」
「…………お、おいしかったよ……。」
「そいつは何より。」









わしゃわしゃとエルの頭を泡だらけにする。
この作業は意外と楽しい。
エルの髪がサラサラしていて洗いやすいというのもあるのだろう。

「気持ちいいか?」
「ふぁあい……。」

おぉう、ぽややんとしておられる。
疑似ナデポか。
いや、撫でぽややん?

「しかしながら長い髪は少々洗うのに苦労致しますな母さん。」
「そうだね、僕自体髪は余り長くないからねお父さん。」
「「夫婦かっての。」」

ぺちん。
息ぴったり。
気持ちがいいですはい。

「ふぁわ~……♪」
「まずいよ勇!エルがデフォルメ状態に!」
「帰ってこい!」
『水中でも会話出来る我々に死角はなかった。』
『デバイスですからね。』
「イモータル、赤い光が見えてるぞ。」
『ハッ!』
『録画してたんですかイモータル。』
『いや、ま、マスターの為に……?』
「お前はもういっぺん煮込む。」
『い、いやだ!
こんにゃくはいやだぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!』

今日も平和である。









「ゆ、勇……あの……。」
「ん?」
「ぼ、僕も髪……。」
「……髪ないじゃん。」
「じゃ、じゃあ戻るから!」
「…………うーん……?」
「だ……だめかな?」
「……頭出しな。」
「……うんっ……♪」










『イモータル。』
『あぁ……。』
『『録音ならいかんべ。』』
プロフィール

めたるみーと。

Author:めたるみーと。
アニメやゲームのキャラを自分の子供に勝手に認定するめたるみーと。(フリーター)です。
嫁?なにそれおいしいの?

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