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バレンタインデーとはなんぞや

「ばれたいんでー?」

うづきは首をかしげた。
宿を共にする三人、二人のエリスとミネルバとのガールズトークに夢中になっていた。
勿論、彼女の恋人であるラグナのことは根掘り葉掘り聞かれた後である。

「バレンタインデーよ。
 バ・レ・ン・タ・イ・ン!」

ミネルバが強調するように語調を強めた。
エリスたちも興味深そうに聞いている。
なんでも、異国の行事で、バレンタインという行事があるのだとか。
バレンタインという神父の命日だというその日は、何故か愛する人に女性から男性へチョコレートを送り、愛を確かめるらしい。
なぜ人の命日にそんなことをするのかと問うと。

「知らないわよ。
 菓子業界の戦略じゃないの?
 確かバレンタインって戦争中の結婚禁止令破って結婚したい恋人同士をくっつけてたからそれを利用したんでしょ?」

浪漫も何もない。

「でも、素敵ですね。
 そういうの、憧れちゃいます」
「えぇ、私もそういう方が出来たらいいのに……」

目をキラキラさせながら虚空を見つめるエリス二人を横目に、うづきは一人思案していた。
バレンタインとは、恋人たちの行事。
愛を囁き、そして確かめ合う。
話によると、その行事はラグナが昔居たカルディアという町で、冬の感謝祭として行われているとか。
街のあらゆる女子にチョコをもらうラグナを想像した。
そして、自分ではない女と愛を語らい……。

「…………ふぇ…………」
「!?
 う、うづきさん!?」
「な、なにを泣いてらっしゃるんですか!?」

このままではいけない。
うづきはバレンタインに向けて対策をねることにした。

「あーあ……ヒマねー」

ミネルバは手元の飲みかけの緑茶を飲み干した。







































まず第一に、うづきは刺身は作るが、菓子を作ったことは全くない。
せいぜいがねり飴を練ったくらいである。
図書館にいって、本を探すことにした。

「お、めずらしいねうづき。
 何か探し物?」

セルフィが本の山の中、カウンターからひょっこりと顔をのぞかせた。
相変わらず寝ていないのか少しくまができている。
これさえなければかなりの美女なのだが。

「うむ、少々厄介なことが起きてな。
 解決策をさがすためにここに来たのじゃ!」
「ふーん、そっか。
 じゃ、頑張って探してね!
 私はそろそろここ掃除しないとラピスに怒られちゃうからさぁ……」

あははー……と乾いた笑いを漏らすセルフィ。
毎回毎回彼女はラピスに世話を焼かれている。
まぁ彼女の生活を見たら改善したくなるのかもしれない。
以前、ラグナもそう言っていた。

「では、すまぬが勝手に探させてもらうぞ。
 片付け頑張るのじゃ」
「おー、期待せずにねー」

やる気なく手をひらひらさせると、彼女は本棚にとりかかっていった。
うづきはまず二階を調べた。
バレンタインについての本を探すか、菓子の作り方の本がないかとくまなく探したが、結果は惨敗。
モンスターに対しての攻略とか、そんなものばかりである。
バレンタインの『バ』の字もない。
いや、正式には『バーニンッ!テニヌの歴史!~ワイの著書は百八式まである~』という本があるが、それは関係ない。
次、一階。
偶然にも一冊見つけた。
題名は、「バレンタインの歴史」。
いや、歴史が知りたいのではない。
チョコのつくり方が知りたいのだ。

「ぬ?かかおまめからつくるとな?
 ほうほう、してその製法は……?
 なんと!?これの続編じゃと!?
 セルフィ殿!セルフィ殿ー!!」

意外にも載っていた製法。
一応原料のページに偶然持っていた鳥の羽をしおりにする。
本を探し求め、店主を呼ぶ。
しかし、一向に返事はなく、周囲を探すも影さえ見えない。

「むぅ、セルフィ殿はどこにおられるのか」
「セルフィさんならラピスさんのとこですよ」
「ぬひゃあっ!!?」

突然に後ろから聞こえてきた声。
ババッと後ろを振り向くと、そこには恋人であるラグナが、申し訳なさそうにうづきを見ていた。

「あはは……驚かせちゃったみたいで……すいません」
「い、いや!こちらこそ気付かずに……して、セルフィ殿がどこかに?」
「あ、はいそうなんですよ。
 ラピスさんのとこに連行されました」

セルフィの不摂生な生活はトランルピア中に知れ渡っている。
なので、看護師で、シスターでもあるラピスによくしょっ引かれ、説教+手料理バイキングをもらっているのは周知の事実である。
なので、連行というワードにはいささかも驚かないのだが、何よりも心配なことが彼女にはあった。

「あ、あの……ラグナ殿は何故ここに?」

そう、自分の恋人、ラグナのことである。
時々図書館に来ることは聞いていたが、まさかこのタイミングとは。
先程のチョコの歴史本をさっと後ろに隠す。

「いや、ちょっと……セルフィさんがですね。
 連行されたときに……」

『み、みせばんよろしくー!!
 きゃあああああああっ!!!』

「と……」
「……ラピス殿、毎回荒っぽいのじゃ……」

意外と鍛えられているシスター兼看護士。
人ひとり担ぐことなど容易であり、その証拠に連行されるときは大抵ラピスが担いで行く。
その後ろを、とある青年が野菜を持って追いかけることもザラである。
ちなみに、主にその野菜はセルフィのご飯になる。

「まぁ、そういうわけで、ちょっとだけ店番です。
 僕も、ちょこっとひまなので」

にっこりと笑顔を向けるラグナ。
が、うづきはそれどころではない。

「で、何かお探しですか?」
「い、いや!大丈夫なのじゃ!
 今、そう!たった今読み終わっての!」

そ、それじゃあのーっ!と手に持った本を適当な本棚に戻し、走り去っていく。
その姿をラグナはぽかんとした目で見ていた。





























「チョコ?あるわよ?
 一応作り方の本もセットでいっとく?」

最初からここに来ればよかった。
雑貨屋“マテリアル”でうづきは思った。
市販のチョコレートを溶かし、型に入れて冷やして固めるだけでよかったのだ。
“かかお豆”とはいったい何だったのか。

「すまぬのロゼッタ殿……こ、このことはくれぐれも……」
「はいはい、ラグナには内緒にしとくわよ」

サプライズしたいなんて、かわいいわねー?身長差故か、妙に子ども扱いしてくる店主ロゼッタ。
勿論自分の身長が低いことは自覚しているが、子供扱いは非常に気分がよろしくない。
自分だって立派な大人である。

「まぁ、よい。
 今日ははやく帰らねばならんからの。
 それじゃ、また今度なのじゃロゼッタ殿!」
「はいはーい、彼氏によろしくねー?」

ちゃかすでないっ!そういうと、一目散に宿屋へと帰っていく。
そんなうづきを見て、ロゼッタは一息つくと呟く。

「あたしも作ろうかしらねー……こんな美人ほっといて恋人作ったアイツに」
































「何?ちょこれいとを溶かしてかためるだけ?
 むぅ……これは手作りと言えるのか?」

などといいつつもしっかりと湯煎で溶かしていく。
少しばかり手つきは危うい。包丁は得意だが、炒めたり、ゆでたり、火を使うものはあまり得意でなかったりする。
焼き魚なら何とかできるが……。
何はともあれできているのだから問題はなかろう。そう心の中でつぶやくと、どろどろに溶けかかっているチョコを溶かしていく。

「あとは型に入れて冷蔵庫で固めるだけと。
 ふっふっふ、異国の菓子とて、わらわにかかればこんなものよ!」

ふくらみのほとんどない胸を張る。
あったとしても巫女服は露出の少ない衣装で着やせして見えないだろうが。
型はオーソドックスにハート型。
一口サイズのやつをいくつか作ることにしていたので、流し込んで形を整えて冷蔵庫に入れて放置。
それだけで出来上がりである。

「明日が楽しみじゃのー……♪」

エプロンを外し、一息つく。
丁度というかなんというか。湯煎に使った少しばかりぬるくなったお湯をもったいなく感じ、それを温め、お茶を入れる。
ゆのみに注ぎ、ずずず…と飲む。

「……ほぅ……」


























「ラグナ殿ー!」

バレンタイン当日。
うづきはラグナの自宅前に突撃していた。
朝の七時。この時間、おそらく彼は畑仕事にいるだろうと検討をつけていた。
手には、昨日作ったチョコレート。

「あ、うづきさん!」

ラグナを見つけたうづきは猛ダッシュ。
勢いをつけてラグナに抱き付きに行く。
農作業で鍛え上げられた彼の体は、小さなうづきの体をしっかりと受け止める。

「おっと……今日はどうしたんですか?
 かなりご機嫌ですね」
「おぉ!そうじゃそうじゃ。
 渡すものがあるのじゃ!」

少し浮かれ気味のうづき。
その懐にあるチョコレートを取り出そうとする。

「へぇ、奇遇ですね!
 僕も、うづきさんに渡すものがあったんですよ」
「なんと?」

手が止まる。
なんだろう。ラグナからのプレゼントなら、なんであろうと嬉しいが……。
うづきは皆目見当がつかず、首をかしげた。

「じゃじゃーん!
 チョコレートケーキです!
 久々に作る割には美味しく出来たと思いますので……うづきさん?」

うづきは戦慄していた。
ラグナが取り出してきたのは1ホールのチョコレートケーキであった。
脳内でとある人物が苦しみながら呟く。

『話が違うっすよ……!
 だって俺……特別って……!』

このイベントは、女性が男性にプレゼントするものではなかっただろうか。
あれ?なんだかおかしい。
自分の作ったちんまいチョコレートと、眼前のケーキを見比べる。

「ぐっ……カハッ……!」

倒れた。

「え、えええぇぇぇっ!!?
 ど、どうしたんですかうづきさん!?
 チョコレートはお嫌いでしたか?」

ラグナに料理スキルで勝てるとは微塵も思っていなかったが、ここまでの差を見せ付けられるとさすがに凹む。
ぶっちゃけプライドやらなんやらがまとめて叩きおられたのだが、当然というべきかラグナは大慌てである。

(そうじゃった……ラグナ殿は……料理が得意じゃった……そんな相手に愚かにもこのような物を渡そうなど……)
「あれ?うづきさんなにか落ちましたよ」
「NOoooooooooooooooooooo!!!」

思わず異国語が飛び出るうづき。お前は誰だ。
ラグナが拾い上げた可愛らしい包装の小さな袋。
もちろん、うづきがロゼッタの雑貨屋にて購入した代物である。
中身は、当然のごとく昨日うづきが得意げにつくった小さなチョコがいくつか入っていた。

「この匂いは……チョコですか?」
「あぁ……うぅ……じ、実は……今日はラグナ殿の以前住んでいた街で言う冬の感謝祭であると聞いて……」

事情を話すと、うづきのバカみたいに沈んだ気持ちは自嘲に変化していた。
チョコレートケーキ☆(オーシャンズ並感)を魅せられて(誤字にあらず)、自分のチョコと見比べられたらまず死にたくなる。
相手が男性であれば尚の事である。

「笑ってくれラグナどの……わらわはそんな小さなものしか作れんかったのじゃ……。
 盛大に笑ってくれ……」
「?
 なんでです?」
「え?」

俯いていた顔を上げると、チョコレートケーキを入れた箱をしまって、うづきのチョコレートの入った袋を大事そうに両手で持つラグナの姿があった。

「恋人が作ってくれたチョコレートを笑うなんて、ありえませんよ。
 僕、そんなひどい男に見えますか?」
「そ、そんなことは……でも、ラグナ殿みたいには……」
「いいんですよ。
 僕はとっても嬉しいです。うづきさん、この間の図書館で会った時にチョコの本見てましたよね?
 僕のために、慣れないお菓子作りを調べて、作ってくれたんでしょう?」

バレていたとは。
うづきはちょっと恥ずかしくなって、顔を俯かせた。
だが、次の瞬間、ラグナに顔を上げさせられてしまう。
そして刹那、唇に柔らかい何かが触れる。

「えっ!?
 あの、らぐな……どの?」
「ありがとうございます。うづきさん。
 もう一度言いますけど、とても嬉しいです。
 えーっと……あはは……今のは、お礼ということで……?」
「その、えっと、じゃあ……わらわのほうからも……」

双方の顔が今一度重なる。
顔を話した二人が恥ずかしそうに笑うと、うづきはさっきまでの落ち込み気味な気分が嘘みたいに吹き飛んでいた。
それ以上に、幸せでいっぱいになっており、自然と顔が笑みを浮かべてしまう。

「あの……もう一回……ダメでしょうか……?」
「えっ!?
 その……う、うぅ……」

ラグナが攻めの姿勢を見せた。
うづきは困惑し、躊躇ったが、さっきの柔らかい感触とともに湧き上がった恥ずかしい気持ちと、それ以上に幸せな気持ちには抗い難く……。

「ん……っ」
「ん……」

離れた二人の顔が、赤くなっていたのは、ふたりの名誉のために、内緒にしておくべきだろう。























おまけ このあと滅茶苦茶(ry

「そういえば、チョコレートケーキ、一緒に食べませんか?」

「む?
 わらわはかまわんが……いいのかの?
 こちらはろくなものを作れなかったというのに……」

「一緒に食べましょうよ!
 第一、これひとりで食べるのはきついですし、最初から一緒に食べるつもりで作ってきましたから」

「む、だったら……ご馳走になろうかのお……。
 あ、じゃが、来年は負けないくらいすっごいのを作ってやるから覚悟するのじゃぞ!!」

「ふふ、期待していますよ?」

「うむ、期待しておれ!」














おまけ2 ついでに

つぶて「じいにこのような贈り物を……うぅ……じいは……じいは感激ですぞおおおおおおおおおおおおおおお!!!
     うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!!!」



~とある町~

???「むぅ?
     今、何か声が聞こえたような……気のせいですかな?
     はっ!こんなことをしている場合では!折角セルザウィード様が戻ってきたのですから、復帰パーティーと参りますぞ!
     セルザウィード様……!私は……私は……嬉しゅうございますぞおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!
     うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!!!」
















おまけ3 折れねえ心と今昔の縁

この日のラグナ家に、贈り物が届く。
アネットは必死に頑張ったが、ポストには全て入りきらず、たまたま畑仕事をしていたモンスターに保管を頼んだ。
それは20個を超えるチョコの箱や袋であった。
恋人がいたとしても決して諦めないという固い意志を感じる本命チョコレートと、昔の縁で送られてきた義理チョコの中に、アネットはそっと自分のチョコレートを置いた。

トランルピアの冬の感謝祭は、諦めない心と縁でできている。





































バレンタインに間に合った。
良かったと思う。

書き始めたのいつだと思うかね?

二年前です(ガチ)
ほんとは二年前の今日に書き始めて頑張ってたんすけど……まぁかけねえことかけねえこと。
おまけに色々ありすぎて草が生えますわ状態。
しにたい。純粋にしにたい。文章力にもさらにクソ度に磨きがかかった。
RFFのSSなんかいまさら書いてる奴おるか^~?

初めて台本形式じゃないラグナ×うづきでしたが、いかがでしたでしょうか。
ほかのも更新しないとなぁと思いつつ、本日のところはこれで失礼を。
いつものより長めになってしまいましたがこれにて。
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Author:めたるみーと。
アニメやゲームのキャラを自分の子供に勝手に認定するめたるみーと。(フリーター)です。
嫁?なにそれおいしいの?

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