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三十二話

幾度となく交差する剣閃が夜空を白く、赤く染めていた。
白い炎が空を舞い、赤い光が宙を翔ける。
それを悔しげに見つめながら、高町なのははひたすらに回復へと勤めていた。

「レイジングハート、まだ?」
『今しばらくお待ちください。
 消費した魔力も、そしてなにより、マスターの傷を癒すことも、何も終わってません』
「でも、アリサちゃんが!」

焦っている。
なのはの友人が今、自分のために戦ってくれているのだ。
行って助けなければ。

『それよりも、通信が届きません。
 どこかから通信妨害がかかっているようです』
「それは……つまり、あの子がやってるってこと?」
『いえ、この結界をはったのが彼女であることは恐らく間違いではありません。
 ですが、この結界自体には通信妨害はありません。彼女の肩にいるあのぬいぐるみが発生させている可能性はありますが、彼女の援護で精一杯と思われます。
 おそらく、協力者のものかと』
「他にも、私たちを狙ってる人がいる……ってことだね」

なのはは緊張を隠せない。
どこかにもう一人、自分を狙ってくる人間がいる。
それを考えるだけでも恐怖が体を支配していく。
どこかから自分を狙ってくる者がいる。それは何故、どうして、いつ、どこから狙ってくるのか。
その不安が、なのはの成長を促していた。

「レイジングハート。
 見つけるよ、その協力者さん」
『?
 マスター?』

レイジングハートを通して魔力を巡らせる。
エリアサーチは、サーチャーと呼ばれるものを飛ばすことで視界を増やす探査魔法である。
如何にもなそのサーチャーは、優れた魔導師が見ればすぐに自分が見つけられたと警戒する。
できることなら、警戒すらさせず、こちらを意識することなく。
静かに、そして一瞬で終わらせるために。

「できるだけ小さく……確実に、魔力ダメージで仕留めるには……」

模索していく。
そうして出来上がったのは一つのスフィア。
大きさはおよそ人差し指の先ほどのピンク色のスフィアは、くるくると回転しながらなのはの周囲を回っている。

「付き合って、レイジングハート」
『Of course my Master』

レイジングハートがバスターモードへと変形する。
そのトリガーを、なのはの小さな手が握りしめる。

「探して、私を狙う敵を」
『Move search』

動くものすべてを捉える魔法。
ムーブサーチが広がっていく。
何物にも悟られぬ微弱な魔力波。故に、わずかな動きにも離散していく波が、結界を駆け巡っていく。

「これは、ヴィータちゃんとアリサちゃん……ほかには……」

荒々しいその戦いを除外し、波を進めていくなのは。
そして、一つの反応を見つけ出す。

「息をしているような動き……。
 多分、魔力を隠ぺいするためのちょっとした結界……ここかな?」
『恐らくは』

愛機の反応に、なのはは確信する。

ここに、私を狙ってくる人がいる……!

「ユーノ君の転送魔法、勇くんのドレイン、クロノ君の魔力操作……全部束ねて……!
 この魔法……!」

魔力によって研ぎ澄まされたスフィアはレイジングハートの先に止まると、その自転を速める。
そして、レイジングハートの前に展開されるのは、ほんの小さな、スフィア一つ分がギリギリ入る穴。
その先には、先ほど感知した人間。

「ここから撃ち抜く。
 全部喰らいつくして!
 ブラスタースナイプ!」

放たれる回転するピンク色のスフィア。
小さな転移のための穴を潜り抜け、彼女を狙う者を倒すために。































「あ、はやてちゃん?
 すみません、いつものオリーブオイルと鉱石がなくて……ちょっと遠くのスーパーまで買い物に出ます」
『そうなん?
 別に無理せんでもええのに……鉱石は買ってきたらあかん』
「帰りにほかのみんなも拾って帰りますね。
 なるべくはやく帰りますから」
『そんなに急がなくてもええよ?
 ゆっくり、な?鉱石はダメやで?』

主との連絡を終えて、シャマルが指先に魔力を込める。

クラールヴィント。
表だって戦うことのないシャマルの武器は、この四つの指輪のみである。
その本質は、癒しと補助。
しかし、彼女自身、攻撃手段がないわけではない。

「お願いね、クラールヴィント」
『Ja.』

既に標的の居場所はわかっていた。
通信の妨害を続けながら、魔力を隠蔽し、攻撃をする。
ヴィータには悪いが、少し耐えてもらおう。
闇の書は、いつのまにかヴィータのもとを離れ、彼女の傍らにあった。

旅の鏡は、湖の騎士シャマルと風のリングクラールヴィントによる転移魔法の一種である。
それにより、直接リンカーコアをぶち抜き、闇の書に蒐集させる。
それがシャマルの最大の攻撃手段。
見られてなく、さらにこちらに動いてもいない場合でなければ、この攻撃は間違いなく外れるのだが、それを成功させ続けているのが彼女、シャマルの実力を裏付けている。

『Pendal form』

指輪から二色の宝石が飛び出し、二本の魔力の糸が指輪の宝石をつなぐ。
ペンダルフォルム。二つのペンデュラムが指輪から伸び、円を描いた。
これが、《旅の鏡》。円形に囲ったその先には、ターゲットの体内へと通じている。

「早めに終わらせて……帰らないとね」

呟いて、手を鏡へと近づける。
そして、そのまま貫いた。





































「「え?」」














なのはと、シャマルの呟きは、ほぼ同時だった。
なのはの胸から手が生え、シャマルの胸には桃色の矢が突き刺さっていた。

シャマルの腕がなのはのリンカーコアを正確に捉えたように、なのはの新しい魔法、“ブラスタースナイプ”もシャマルのリンカーコアを捉えていたのだ。

「ぐっ……!」
「が……ッ!」

先に動いたのはシャマルだった。
シャマルは手元の闇の書を開く。

「しゅうしゅ……う……かいし……!」
『Sammlung』

闇の書のページがゆっくりと埋まっていく。
次に動き出したのはなのはの放った矢。
矢、“ブラスタースナイプ”は、なのはの魔法、“ディバインブラスター”を収縮し、回転させることで貫通力を持たせ、放った瞬間に回転する矢へと変化する魔法である。
“ディバインブラスター”と異なる点は、まず着弾地点が爆発しないこと。
そして、着弾地点から半径30cmに魔力を喰らうフィールドを形成すること。
それをこれにより、シャマルのリンカーコアから直接魔力を喰らい、その魔力を周囲に離散させているのである。

「あ……ぐぅっ……!」

なのはの口から苦悶の声が漏れる。
激痛が彼女の胸を襲っていたのだ。
それは、当然のことと言えた。

「まだ……まだ……!
 あと一つ……仕事が……残ってる……!」

レイジングハートを担ぎ上げると、収束を始める。
それは、彼女の切り札であるスターライトブレイカーの構えだった。

『マスター!?』
「撃って……レイジングハート……わ、私は大丈夫……だか、ら……!」

レイジングハートの抵抗を押し切り、レイジングハートに魔力を押し付けた。
周囲の魔力を集め、極大の魔力砲を放つ収束砲撃。
それを魔力を喰われながら放つのに、どれほどの集中力が必要になるだろうか。
苦痛に耐えながら放とうとしているそれは、“スターライトブレイカー+”。
周囲の魔力変換したあとの魔力をも収束することで、条件付きで魔力変換を可能にする。
チャージ時間が長いという欠点を、改善ではなく逆にチャージ時間をのばすことでさらなる威力を求めるなどの改造を施した収束砲撃。

「チャージ……開始……」
『10…9…8…7…6…5…』

レイジングハートが秒刻みにカウントをとる。
レイジングハートの先には、魔力が収束していくのがはっきりとわかった。

「そん、な……!
 こんな状態、で……砲撃だ、なんて……!」

シャマルは驚愕していた。
蒐集されながら、なおかつ自分に魔法を当てながら強力な収束魔法を放つことが、どれほど困難なことか。
それを、自分の主の同じぐらいの幼さの少女が行おうとしている。はっきり言って無謀以外の何者でもない。
それでも、彼女の魔力収束に迷いはなく、確実にこの結界を破壊し得る威力を持っていた。

「させな……い……!」

シャマルはさらに闇の書による蒐集をはやめた。
恐るべきスピードで小さい彼女から魔力を奪っていく闇の書は、そんな状況においても怪しく光を放つだけだ。
しかし、シャマルの努力も虚しく、レイジングハートは魔力の収束を終えた。

「スタァ……ライト、ブレイカー……タイプブレイズッ……!」

なのははレイジングハートを振り上げる。
先に収束している魔法には、アリサの炎熱変換が追加されていたのか白い炎をまとわせていた。

「ホーリー、フレア……!
 ブレイカァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」

白き炎纏いし星の輝きが、結界を貫いた。




















































『……ごちそうさまぁ』

荒れ狂う炎の中、少年が一人荒地に立っていた。
周囲には、倒れ伏す管理局員達。
所々にやけどを残しながらうめき声を上げる彼らは、魔力を余すところなく喰い荒らされ、射撃魔法どころか飛ぶことすらかなわないほどに衰弱しきっていた。

『弱すぎ!
 お前ら弱すぎ!
 あんまり魔力たまんねーしよォ!
 クソだよクソ!管理局ってのもこんなもんかァ?』

少年は声を荒らげながらそばに倒れた局員を蹴り飛ばす。

『おい』
『あぁ?
 お、なんだよお前かよ。
 そっちは終わったのかァ?』

翼を持つ少年に声をかけたのは、眼を持つ足を持った少年。
肩を掴み、それ以上やる必要はないと諌める。

『こちらは終わった。
 この研究所のサンプルの魔力は全てもらったあとだ。
 データも二度と復元できないように破壊しておいたが……おそらくバックアップはあるだろうな』
『めんどくせェー!
 もうちっとマシな相手いねぇんかよ!』
『相手にこだわるな。
 俺たちはあまり時間がない』
『そりゃあお前みたいに知識への欲求でできてたらいいだろうがよ。
 俺ァそういうわけにいかねーの!戦いてえんだよ!』

少年はダダをこねるように地団駄を踏む。
それを足を持つ少年が呆れたように肩をすくめる。

『では、アイツはどうだ』
『アイツゥ?』

指をさした先。
そこには山に巻きつく巨大な蛇が鎮座していた。
この無人世界の主、“ヨルムンガンド”。

『いいね』
『だろう?』

足甲を装備した少年と、双翼をはためかせる少年。
二人は空へと翔け上がると、蛇に向かって各々の技を繰り出した。

『“五月闇”……“白雨(はくう)”!』
『“初嵐”!“稲妻”ァ!!』

蛇とふたりの少年の戦いが始まった。
































お待たせしました。
ようやくです。ようやく書き終えました。
作品はまだ続きますけどね。

その場その場で即興って辛い。
やっぱりある程度のプロットは必要ですね!
次の作品書くときは用意します!(用意するとは言ってない)










ホーリーフレアブレイカー
使用者 高町なのは

スターライトブレイカー+の魔力収束は、魔力変換後の魔力の残照をも拾い集め、己のものとする。
結果、アリサの放った魔力を収束し、この技が生まれた。
白い炎は対象を焼き尽くし、結界を食い破る。




ブラスタースナイプ
使用者 高町なのは

彼女のオリジナル魔法“ディバインブラスター”を小型化。
空間跳躍をする矢となる。
回転することで貫通力を押し上げ、薄い障壁なら貫けるほどの貫通力を持つ。
着弾した対象の魔力を勝手にバッテリー替わりにして周囲へと魔力を離散させる。
スターライトブレイカーによる魔力収束をやりやすくする目的もある。



ムーブサーチ
使用者 高町なのは

動くものを捉える微弱な波を放つ探査魔法。
微弱ゆえに、ほんの些細な動きさえも捉える。









白雨

夕立とも。
夏の夕方に急激に激しく降る大粒の雨のこと。

稲妻

遠い夜空に音もなく電光が走ることがある。
その閃光のことを指す。稲光とも。
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Author:めたるみーと。
アニメやゲームのキャラを自分の子供に勝手に認定するめたるみーと。(フリーター)です。
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